【未踏のマーケティング】ハナマルキ「液体塩こうじ」など塩こうじ事業は15億円に伸長/平田伸行取締役マーケティング部長インタビュー

ハナマルキ・平田伸行取締役マーケティング部長
ハナマルキ・平田伸行取締役マーケティング部長

2012年10月に発売した、ハナマルキの「液体塩こうじ」。塩こうじを搾って液体化する独自の製法を開発し、新しい基礎調味料として販売に注力。「液体塩こうじ」を含めた塩こうじ事業は15億円(2021年)までに伸長した。

ハナマルキの主力商品である、みそや即席みそ汁では、創業から長年積み重ねてきた販売、PR手法が存在したが、「液体塩こうじ」の場合はまったく新しい商品となり、どう販売していくか、まったく手探りの状況からのスタートだった。

では、どうやって成長を実現したのか。液体塩こうじのPRを担当した、平田伸行取締役マーケティング部長は、「液体塩こうじのPR面でまず着手したのは、当社のホームページの整備。ホームページはPRの『基地』みたいなもの。液体塩こうじのテレビCMを放映して、ホームページを見てもらっても、情報が薄ければCMの効果が出ない」とし、加えてウェブ検索対策として「液体塩こうじ」のウェブコンテンツやニュースを増やすことなど、土台の整備にじっくり取り組んだ。

そして、次に取り組んだのは「レシピ開発」だ。「液体塩こうじ」は、こうじに含まれる酵素の働きにより「素材のうま味を引き出す」特徴があり、液体化することによって、肉・魚の下味から、煮物・炒め物などの味付けまで、調味料として幅広く使用できるもの。使い方が多岐に渡るため、とにかくレシピを増やしていくことにも注力したという。

「現在、レシピの掲載数は700に迫ろうとしている。液体塩こうじは汎用性が高いのでまだまだレシピを増やしていく。当面は1000掲載を目標にしている」。

ホームページでは、動画を使ったレシピも掲載、公式ユーチューブで「液体塩こうじでおうちごはん」を展開するなどレシピ訴求には力を入れている。

使い方を知ってもらうために「体験」にも注力する。「店頭での試食販売を実施し、どの店舗でどのメニューで何本売れたのか。情報を集約し検証を行い、どうやったら売れるのかを営業部の社員含め、社内で徹底的に議論しノウハウを蓄積していった」。

〈前例のないチャレンジの連続。全社員一丸で塩こうじ事業を伸長〉

PRでは、コラボレーション企画もひとつの軸となっている。「これまで東京メトロのジューススタンド、イタリアンレストラン、パンベーカリー、渋谷センター街のクレープ店など、汎用性の高い液体塩こうじの特性を活かすために、さまざまなコラボを実施した。これからも意外性のあるコラボを仕掛けていきたい」。

「液体塩こうじ」には前例がないので、とにかく、チャレンジの連続だったという。事業は宣伝PRだけでは成功しない。全社員が一丸となって取り組んだことが伸長の要因だと語る。

新しい挑戦は、液体塩こうじだけにとどまらない。22年9月、米こうじから生まれた新しいコク味調味料、「熟成こうじパウダー」を業務用商品として新発売した。発酵熟成させた塩こうじを加熱乾燥することで粉末化した発酵調味料で、コク味成分「メラノイジン」の働きにより、味の厚み強化・味わいの持続性向上など、多岐に亘る機能を持つ。

「粒タイプ、液体タイプ、そして今回粉末タイプを開発した。お客様のニーズに細かく応えることができる。『塩こうじならハナマルキ』と、しっかり認識してもらうよう、これからも塩こうじを国内外に広めていく」。

液体塩こうじで培った独自にマーケットを作っていける実行力こそ、ハナマルキの最大の武器と言えるだろう。

〈大豆油糧日報2022年11月8日付〉

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