「発酵バレーNAGANO」和食の日に設立、長野県内の発酵食品産業8団体・企業が初連携

「発酵バレーNAGANO」キックオフイベントの様子(右から4番目が発起人代表の青木時男・長野県味噌工業協同組合連合会理事長)
「発酵バレーNAGANO」キックオフイベントの様子(右から4番目が発起人代表の青木時男・長野県味噌工業協同組合連合会理事長)

長野県内の8つの発酵食品産業団体(みそ・日本酒・ワイン・しょうゆ・漬物・納豆・チーズ・酢)からなるコンソーシアム「発酵バレーNAGANO」は11月24日の和食の日に、キックオフイベントとして基調講演とパネルディスカッションを長野県内のホテルで開催した。

「発酵長寿県、長野」の認知拡大とこれまで以上に訪日外国人観光客の目的地となることを目指したもの。11月25日には同じ会場で展示即売会や各種体験イベント、トークセッションなどが行われた。

11月24日に行われたキックオフイベントの主催者あいさつで、発起人代表の青木時男・長野県味噌工業協同組合連合会理事長は、「『発酵バレーNAGANO』は長野県の発酵に関する8つの団体が一堂に会してコンソーシアムを設立、運営を共同で行うもの。その規模は各業界を合わせると、最大318社、延べ人数6,107人の横断的組織になる。まさに、全国に先駆けた発酵に特化した他に例を見ないユニークな組織となる。発酵食品による地方創生のひとつの事例になればと考える」と全体像を説明した。

また、「発酵バレーNAGANO」の役割については、「もともと長野県は全国のみその生産量50%以上のシェアを占めている。日本酒の蔵の数は全国で2番目に多く、野菜も全国で最も消費しているまさに、発酵長寿県である。このような素晴らしい食文化に恵まれた長野県の良さを『発酵バレーNAGANO』から日本国内はもとより、世界に発信していく。具体的な活動内容は、国内でのイベントの連携、国内海外への展示会の出展、製品開発の連携、広報活動の連携、観光ツーリズムの連携、産学連携による研究開発拠点の形成などになる。これらの活動は『発酵バレーNAGANO』だけでは困難なこともあるので、県並びにご後援していただいている企業の更なるご支援ご協力をお願いしたい」と呼びかけた。

さらに、日本における課題や「発酵バレーNAGANO」の設立意義について、「日本国内の地方都市における人口減少問題は深刻で、長野県も同様だ。また、昨今の著しい円安やウクライナ侵攻による原料高や安定供給問題はコロナ禍を経た食品業界にとっても、甚だ厳しい状況には変わりはない。これらの状況から少しでも脱出するためには、もはや既存の業界のありようでは限界がくるのではないかという観点から『発酵バレーNAGANO』は従来の縦割りの業界に横串を刺した民間ボトムアップの形態で立ち上げた。これまでにない産学連携による各界の知識や技術の共有を通じて生まれる今までにない発酵食品の創出につながることを理想としている」と力強く説明した。

〈西・内閣審議官「長野県を起点にこの取り組み全国に広げてほしい」〉

西経子・内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局内閣審議官は、「今年は、2013年に和食文化がユネスコ無形文化遺産登録されてから10周年を迎える。このタイミングで、『発酵バレーNAGANO』が設立できたことは明るい未来しかない。こういう取り組みは広がりが大事で、仲間に入りたい人も入れてみんなで輪を広げていってほしい。日本全国でも発酵に関わる仕事をしている人はたくさんいる。『発酵バレーNAGANO』を起点に他の県とも連携して、この取り組みを全国に広げていけたら素晴らしい」と今回の取り組みを絶賛した。

パネルディスカッションでは、長野県酒造組合の宮坂直孝会長や長野県立大学の中澤弥子教授、長野県産業政策監など産学官で活躍している5人が登壇して、「発酵バレーNAGANO のために産学官連携で何ができるか」を討論した。

〈大豆油糧日報2023年11月28日付〉

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