日清オイリオ、オリーブ油立て直しと価格改定で増益へ、油脂・油糧セグメントの展望

日清オイリオグループは5月16日、本社で久野貴久社長が決算説明会を開催し、2025年度の見通しを語った。増収増益を計画する2025年度の油脂・油糧セグメントの営業利益の増減要因としては、販売単価要因で102億円の増益を見込んでいる。久野社長は、「ジャンプアップ要因はオリーブ油の立て直しと、付加価値型の持続的な成長を図ることに加えて、価格改定となる」と説明した。
オリーブ油のコスト環境はスペインでは落ち着いてきているとし、「改めてオリーブ油市場にアプローチしていく」と述べた。価格改定については需給を背景とした先高感から、「3~4月にかけて価格改定のモメントはしっかりと出てきている。もう一段しっかりと浸透させていく」と力を込めた。
10月と4月に実施した価格改定の進捗状況について、久野社長は以下のように語る。「10~12月、1~3月はバルクを中心に一部理解をいただき浸透してきたが、その他の汎用油についてはなかなか浸透に至らなかった。その後、3~4月にかけて、関税をめぐって相場が乱高下するなどの外部環境の問題もあるが、一方でファンダメンタルズが明確になってきた」。
「菜種は需給がタイトな状況がはっきりしてきており、大豆は作付も減っている。特にオイル面では相当タイトな需給状況が現実になってきている。そういった背景もあり、それまでの半年間の動きからすると、3~4月にかけて価格改定のモメントはしっかりと出てきていると思っている。需給を背景とした相場の先高感なので、もう一段しっかりと伝えて価格改定を浸透させていく」。
また、オリーブ油のコスト環境について、「スペインについては比較的供給が元に戻ってきており、欧州市場で価格反映が行われている。一方で、イタリアは昨年裏年だったため引き続きタイトな状況で、原価的には大きくは下がっていない。イタリアとスペインのコスト差は比較的顕著な一年だと思っている。しかし、手の付かない高値だったスペインの状況はある程度落ち着いてきているので、改めてコスト環境を踏まえて手立てを講じる」と展望を語った。
その上で、「昨年度のオリーブ油の家庭用市場は、数量面では大きくダウンしたが金額面はほぼ前年並みをキープできた。量と価格のバランスを取りながら、需給状況を反映しながら、立て直しという表現をするが、改めてオリーブ油の市場に対してアプローチしていく」とした。
◆荷待ち時間の解消を第一優先で成果、バルクは出荷能力上昇とコスト削減を両面で
2025年度の油脂・油糧セグメントにおける営業利益増減として、大豆や菜種などのコスト要因で46.5億円の減益を見込む。加えて販管費・その他要因での34.5億円減益のうち、物流費と労務費はそれぞれ10億円弱のコスト上昇を織り込んでいるという。
物流問題の対応について、「社会的課題の中でも荷待ち時間の解消を第一優先ということで、2024年度は手を付けた。川崎に集約した出荷機能の強化で、磯子工場発の荷待ち時間は相当少なくなり、成果は出てきている。同じようなことを名古屋工場、堺工場でしっかりと進めていく。磯子工場のように外部倉庫化するかについては検証していくことになるが、社会課題解決を図ることを優先して進めている」と説明した。
バルクの物流については、「工夫しているが、まだまだ不十分な点もある。充填のところでも、出荷能力や出荷の効率性を上げるため、中長期的な投資を行う必要がある。出荷能力が上がらないと結果的には待たせることになるので、解消するためには出口の能力を上げることも合わせて進めていく。そうするとコストばかりが積み上がることになるが、できるだけ回転率を上げるなど、効率化の中でコスト削減を図るという両面で進めていきたい」と述べた。
今後も続くと予想される物流課題については、「当社に限らず、食品業界全体の課題なので、コストはかかるかもしれないが先行してしっかりと対応し、選ばれる会社になることを目指す」と強調した。
〈大豆油糧日報 5月20日付〉