【マーガリン業界動向】家庭用は節約志向で大容量品やケーキ用の支持高まる

マーガリン売り場
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2024年度家庭用マーガリン市場は、インテージSRI+によると、前年比4%減となった。J-オイルミルズが家庭用マーガリン類事業を昨年3月末に終了し、同社の市場規模が約10%と推定されていた状況下、各社が需要を受け止め、一定程度カバーした。

カテゴリー別では、プレーンタイプは前年比3%減、ヘルシータイプは9%減、グルメタイプ(バター風味・バター入り)は1%減、ケーキ用は4%増だった。

プレーンタイプやグルメタイプは、高騰しているバターの代替需要に応えることが多かった。各社、春や秋に大型マーガリンの増量キャンペーンを実施し、これまでJ-オイルミルズの商品を購入していた人が、他社製品を試すきっかけにもなった。「抜けた穴をほぼ埋められた」(メーカー)と評価する声も聞かれる。

健康志向が高い人の購入が多いヘルシータイプは、小型が多く、プレーンやグルメタイプの大型と比較すると割高となる。物価高が続いているため、コストパフォーマンスの点で需要が弱まったと推測される。

ケーキ用は、菓子などの手作り需要が高まったことが起因した。一昨年にコロナウイルスが5類に移行して以降、手作りの菓子を渡すことに抵抗感が少なくなった消費者が多く、バレンタイン以降、毎月伸長しているという。また、原材料費が上昇したことで洋菓子店のケーキも値上がりしたことも背景に考えられるという。

なお、米の価格が高騰しているが、米からパンへのシフトする動きはあまり見られていない。

◆業務用は各社でカカオ高騰ニーズに応える、風味添加剤や代用脂など

業務用加工油脂の24年度は、汎用品は苦戦した。最終製品のダウンサイジングに加え、業界全体で価格改定が行われたため。国産バターの不足や海外産バターの高騰により、バター風味の添加剤や、低コンパウンドマーガリンの引き合いが高まったようだ。

一方、食品ロスの低減や食感改良など、付加価値のある機能材は伸長した。このうち、少量添加タイプはレシピの配合を大きく変えずに済む点が支持されている。

また、カカオ高騰に対応する製品が多く見られるようになってきた。

日油が上市しているチョコレート風味の添加材「チョコエース」だけでなく、ココアやチョコレート風味を増強するマーガリン「ココアップ」をミヨシ油脂が3月4日に新発売した。日清オイリオグループでは、チョコレート用油脂が好調に推移している。

さらに、月島食品工業では、少量添加でコクをつける「リッチエール」を新発売し、チョコレートを使用した食品にも効果を発揮することを訴求している。

プラントベースフード(PBF)では、焼き菓子が作りにくいとされてきたが、プラントベースの焼き菓子づくりに貢献する製品も上市されている。ADEKAの「デリプランツ EG-W」は卵不使用で焼き菓子を作れ、卵不足にも対応できる。ミヨシ油脂では「米粉と大豆粉のケーキミックス」を発売し、卵や乳不使用で洋菓子を製造できる。

〈大豆油糧日報 6月10日付〉

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