ミツカングループ、2024年度決算は売上・営業利益とも過去最高、納豆や北米事業が引き続き好調

ミツカングループの2024年度(2025年2月期)決算は、売上高は前年比4.6%増の3,138億円、営業利益は103.4%増の206億円の増収増益となり、売上・利益ともに過去最高を更新した。国内では納豆が引き続き好調だったほか、北米でのパスタソース事業が好調に推移するなど、マーケティング施策が奏功したとしている。
東京オフィスで6月11日に行った決算説明会には、中埜裕子ミツカンHD社長、吉永智征ミツカン社長兼CEO、濱名誠久ZENBJAPAN社長が出席し、エリア別に概要を説明した。

日本+アジア事業の売上高は1.7%増の1,188億円となった。食酢は、調理用食酢で初の機能性表示食品「いいこと酢」などを新発売し、それらは売上増に貢献したが、全体市場の縮小が響いた。ぽん酢は、「味ぽん」の60周年記念の各種施策が寄与するなど好調だった。
納豆は2024年6月に価格改定を行う一方で、「金のつぶ パキッ!とたれ とろっ豆」、「同 たれたっぷり!たまご醤油たれ」といった主力商品の強化策も寄与し、売上・数量ともに前年を上回った。業務用はインバウンドの増加を背景に市場全体が回復し、つゆ、食酢など、ほとんど全てのカテゴリーの売上が伸長した。
◆新ブランド「Fibee」想定通りの進捗、大阪工場と北米で生産増強への設備投資
発酵性食物繊維をおいしく手軽に摂ることができる新ブランド「Fibee(ファイビー)」は、全13種類の幅広いラインアップをとりそろえ、取り扱い店舗の拡大など、販売企業との取り組み強化が進むなど、想定通りの進捗と評価した。
ZENB事業は、ブランド認知の向上と商品ポートフォリオの拡充に重点課題として取り組んだ。その結果、テレビCMの継続的な投入によりブランド認知率は16.9%に伸長、商品は「ZENBヌードル」が好調に推移したほか、豆粉で作った「ZENBブレッド」が第2の柱に成長していると評価した。
2025年2月にはリテール向けに品質・価格を見直した新商品「ZENBスパゲッティ」を発売し、約100社の企業に取り扱いが拡大しているとした。
北米事業は3年連続の増収、パスタソース事業は安定的に伸長、食酢を中心とした調味料事業も、家庭用商品が堅調に推移している。
欧州事業は4年連続の増収を確保したが、現地通貨ベースでは減収としている。日本食業務用事業は急激な成長からは鈍化し、家庭用ピクルスの売上も前年未達だった。
続いて、中埜ミツカンHD社長は今期の方針について、「北米、欧州の急激なインフレは落ち着いてきたと見ているが、関税政策など取り巻く環境は不透明な状況だ。日本は人口減少や生活者の調理離れにより家庭内調理の減少が続いているが、業務用においてはインバウンドなどによる外食市場拡大の兆しがみえている」との認識を示した。
その上で、5カ年中期経営計画(24~28年度)で掲げた「成長戦略」、「技術戦略」、「人・組織戦略」、「サステナビリティ戦略」の4つのグループ戦略に沿って、具体的な打ち手を着実に行っていく考えを示した。
将来の成長につながる事業の開発・育成、各事業の市場環境に合わせた新規顧客の獲得、新規チャネル開拓の取り組みを積極的に進めるとしたほか、インフラ基盤の整備では、大阪工場と北米で老朽更新を含めた生産増強への設備投資を行う。
また、国内家庭用調味料市場が縮小していく中で、「Fibee」に続く新カテゴリーの開発を進めるとしている。
〈大豆油糧日報 6月13日付〉