JAS規格の見直し検討会、仕組み自体は維持する考え-日本マーガリン工業会

〈ネガティブなイメージを払拭するため、マーガリンとは別名称による規格化も検討〉

日本マーガリン工業会は2025年7月17日、7月度理事会を開き、最近の業界動向について報告した。臨時総会では、同工業会・マーガリン公正取引協議会の役員が変更され、雪印メグミルクの田川福彦副社長を理事に選任した。任期は前任者の残存期間(27年度の定時総会の日)まで。

協議事項では、JAS・品質規格の見直し検討会の報告が行われた。消費者庁による食品表示基準などの見直しが進められ、海外でもコーデックスなど油脂規格の見直しに関する議論が進んでいることを受けて、マーガリン業界でもJAS規格を見直すことになった。

食用加工油脂生産量は、2008年をピークに減少傾向となっている。「食の安全に係る問題や、需要先のダウンサイジング、コロナ感染症の発生、食品ロス削減対策などさまざまな影響を受けた」と説明している。24年の生産量は57万8,000tで、うち家庭用は2万9,000t、業務用54万9,000tとなっており、1980年の水準まで低下している。

見直しにあたり、消費者や実需者へアンケートを実施したところ、消費者側の意見では、約9割が一定の品質が保証されていると回答した。一方で、健康に良くないというネガティブなイメージを抱いていることが分かった。

実需者側の意見では、消費者が商品の選択をしやすくなるような、分かりやすくメリットのある規格に見直すべきとの意見が挙がった。また、ネガティブなイメージを払拭できる規格や、海外で一般的になりつつある規制(部分水素添加油脂の使用規制など)を採り入れることを要望する意見もあったという。

また、検討委員による無記名アンケート調査を実施したところ、マーガリンにブランド価値がなく安物という市場認識になっていることが指摘されたほか、ネガティブなイメージを払拭するために、「大豆ミート食品類」などマーガリンとは別名称による規格化をする提案がなされた。

加えて、現行の規格が、消費者や実需者が求める新たなニーズ(諸外国での食品安全規制への対応など)には対応していないことが明らかになった。

とはいえ、現行のJAS規格に一定程度需要があることから、仕組み自体は維持する考えを示した。しかし、そのメリットは低下しているため、JAS規格に係る認知度の向上やPR活動の実施が必要になるとした。

新たな規格については、食用加工油脂の需要を促進すること、また消費者が抱いているネガティブなイメージの払拭を念頭に検討する。

PR活動では、同工業会のXアカウントでは「#わたしの朝マーガリンフォトキャンペーン」を7月に開催した。

〈大豆油糧日報 7月30日付〉