【トップインタビュー】さとの雪食品・植田滋代表取締役社長CEO、「美味しいとうふ」はじめ付加価値商品の売上構成比3~4割を目指す

さとの雪食品 植田滋社長
さとの雪食品 植田滋社長

――貴社の今後の方針を

豆腐はデフレの象徴のような商品なので、付加価値商品に注力する必要がある。白物は各社発売しているので激戦だ。付加価値商品は廃れ流行りもあるが、やってみないとヒットするかどうか分からない。

当社は2015年から大豆加工食品の付加価値を高めようと「感豆富」というブランドを立ち上げ、「大豆のプリン」や「おからのパフ」を開発・発売したり、「素材たのしむ」シリーズ、「SOYソーセージ」など、白物豆腐ではない大豆加工食品に取り組んできた。

そしてこの度、市場でバータイプの豆腐の認知度が高くなってきたことを受け、「とうふスティック」で参入した。今後も付加価値向上にチャレンジし、継続して販売できる商品を生み出したい。

白物でかなり成功したのが「美味しいとうふ」シリーズだ。180円以上という高価格帯で販売いただいており、このような高価格帯で展開できる付加価値商品で、当社の白物豆腐での売上の3~4割に構成比を高めたい。

さとの雪食品 九州産大豆 美味しいとうふ絹ごし
さとの雪食品 九州産大豆 美味しいとうふ絹ごし

――貴社(3月期)の上期販売実績は

計画通り増収で推移している。主力の「美味しいとうふ」シリーズで4個小分けタイプ(充填・木綿・絹ごし)が支持され、好調を続けている。1個当たりの内容量を減らす、さらに小分けするなど、もっと極端な小分けタイプを出してもいいのかもしれない。

「鍋八」は、昨年に「累計販売1億パック突破記念キャンペーン」を実施したこともあり、好調だった。今秋は価格を改定したがその好調を維持したい。

3月発売の「旨味贅沢2個小分け」は、計画の2倍で推移しており、夏場にかけて売れた商品だ。「美味しいとうふ」と棲み分けを懸念していたが、パック水を入れずに濃厚な味に仕上げるという商品特徴が分かりやすく伝わった。

さとの雪食品 旨味贅沢2個小分け
さとの雪食品 旨味贅沢2個小分け

〈「とうふスティック」輸出・常温化へ、「紙パックとうふ」は57カ国に輸出〉

――新商品「とうふスティック」を発売した経緯を

「豆腐バー」が市場に定着してきたからだ。当社は、安心安全で、おいしさを保ったまま日持ちさせる技術を持っており、勝算があると考えた。他社の真似ではなく、進化させた違った商品を上市した。

ターゲット層は 10~30代女性で、その商品認知度を高めるために、各種SNSの活用をして情報を発信していく。

将来、当商品が常温流通可能となれば、輸出したい。ハラールやヴィーガン、乳アレルギーの人に需要があると思う。国内での配荷拡大を進めながら、輸出の可能性を探りたい。

さとの雪食品 とうふスティックガトーショコラ
さとの雪食品 とうふスティックガトーショコラ

――「紙パックとうふ」の輸出の進捗は

順調だ。ヨーロッパやアジアを中心に57カ国に輸出している。アジアでは幹が太くなってきて、昨年は大きく伸長した。第一にそのおいしさを評価いただいており、次いで、日持ちする点。為替の影響で、値ごろに現地で買えることも好調の要因だろう。

さとの雪食品 ずっとおいしい豆腐
さとの雪食品 ずっとおいしい豆腐

海外では豆腐は加熱して食されることが多いが、安全安心な当社の「紙パックとうふ」は生で食べられ、出来立ての味を味わえる。アジア地域では現地の消費者から「持って来て欲しい」との引き合いもあり、今の伸長に満足せず、現状の2倍、3倍に売上を伸ばしたい。

国内でも販売数量が増えている。Amazonで予想以上の売行きで、一番増えた。12個入りの箱単位で購入されており、いつでも家庭で使えるのが利点となっているのだろう。「ずっとおいしい豆腐」、「かためのおいしい豆腐」両方ともまとめ買いされている。

さとの雪食品 かためのおいしい豆腐
さとの雪食品 かためのおいしい豆腐

――下期施策について

「とうふスティック」の拡販に注力するとともに、気温を見ながら秋冬商品を投下する。さらに消費者キャンペーンなどを通して「美味しいとうふ」シリーズのさらなる拡大を目指す。

〈大豆油糧日報2025年9月26日付〉

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昭和33年(1958年)1月
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