【竹本油脂】創業300周年記念パーティー開催、搾る圧搾製法にこだわり続け幅広く評価
竹本油脂は12日、名古屋市内のホテルで関係者ら約200人を招き、創業300周年記念パーティーを開催した。伝統の圧搾製法にこだわり続けてきた同社の、誠実なものづくりを未来へ継承する姿勢が鮮明に表れた催しとなった。
「マルホン胡麻油」を使用したスペシャルフルコースが振る舞われたほか、5月から全国放映中の新テレビCMでブランドアンバサダーを務める俳優・町田啓太さんが登壇する一幕もあり、会場は大いに盛り上がった。開会にあたり、主催者を代表して竹本元泰社長があいさつした。
享保10年(1725年)に灯明油を製造する搾油業を創業し、文明開化により灯火用油の需要が減少したことから、大正3年(1914年)に食用ごま油の製造へ転換。さらに1923年の関東大震災後、混乱下でも供給を続けたこと、顧客の信頼を獲得し販路拡大につながったことなど、同社の歩みを紹介した。
ごま油については、化学溶剤を使わず圧力のみで搾る圧搾製法にこだわり続け、「食卓から外食、加工食品、一流料理店に至るまで幅広く評価をいただいている」と述べた。
竹本社長は「300年の歴史は、幾度となく困難を乗り越えてきた歴史でもある。今日まで事業が続いているのは、関わってくださった皆様の温かい支援のおかげ。これからもお客さまの声に真摯に向き合い、創造性と責任感をもって社会に価値を提供し続ける企業を目指していく」と力を込めた。
〈堅実な仕事ぶりがブランドの信頼支える、300年続けた伝統と革新は油脂業界の誇り〉
来ひんを代表し、タテノコーポレーションの館野洋一郎社長(全国油脂販売業者連合会会長)があいさつし、竹本油脂の長年の品質第一の姿勢に敬意を示した上で、「竹本社長、竹本専務をはじめとする役員、社員一人ひとりの誠実で堅実な仕事ぶりがブランドの信頼を支えてきた。今後も業界をけん引する存在として、さらなる飛躍を期待したい」と述べた。
乾杯あいさつは、島商の島田豪社長(東京油問屋市場理事長)が行った。島田社長は、竹本油脂とは大正時代から続く長い取引関係に触れ、「300年にわたり地道に真面目にものづくりを続けてこられた伝統と革新は、油脂業界の大きな誇り」と述べた。
また、「当社も享保の創業であり、同じ年月を歩み、今日この場をともに迎えられることは大変光栄」と語った。さらに、大学時代に応援指導部に所属していたことに触れ、エールを込めて乾杯の音頭をとった。パーティーの終盤にスペシャルゲストの町田啓太さんが登場すると、会場は大きな拍手に包まれた。
町田さんはトークの中で、学生時代からごま油を愛用していたエピソードを紹介したほか、竹本社長・専務との会食で天ぷらを味わった際の感動にも触れ、「あまりにおいしくて」、後日、自宅で太白胡麻油を使って天ぷらを揚げ、友人たちに振る舞ったところ好評だったという。ごま油は洋食やデザートなど幅広く合うことへの驚きを見せながら、「いろいろな料理に挑戦したい」と笑顔を見せた。
中締めのあいさつは、マルキチの木村顕治社長(関西油脂連合会会長)が行い、「油の一滴を大切にするように、未来へ向けた一点一点を積み重ねていくことが歴史になる」と述べた。竹本油脂の竹本信二郎取締役専務執行役員はお礼のあいさつの中で、ごま油事業を支える多くの関係者へ感謝を述べた。さらに料理人・天ぷら職人ら「プロの現場」で支えられていることへの感謝を述べ、「これからもきちんとした品質の油をお届けすることをお約束したい」と力を込めた。竹本専務は、「300年という時間はあまりに長く、正直どう受け止めればいいのか悩んでいた。そんな中で、ふと私は来年還暦を迎えることに思い至った。60年を5回重ねれば300年になると気づき、会社がもう一度『還暦』を迎えられるくらいまで発展させたいという思いが湧いてきた。来年は創業1年目のつもりで、フレッシュな気持ちでまた取り組んでいきたい」と決意を述べた。

〈大豆油糧日報 2025年11月17日付〉







