【マーガリン市場動向】家庭用は米の高騰でパン食増加、バターの値上げも追い風に
今期のマーガリン市場は、日本マーガリン工業会が集計する食用加工油脂生産量(25年1~9月)によると、家庭用は前年比2.5%増の2万1,362t、業務用は同2.5%増の12万873tとなり、いずれも前年を超えた。家庭用・業務用ともに、高騰するバターの代替需要に応えた。
家庭用マーガリン市場の4~8月は、インテージSRI+によると、金額ベースで同5%増で推移している。
カテゴリ別では、プレーンタイプは3%増、ヘルシータイプは4%減、グルメタイプ(バター風味・バター入り)は8%増、ケーキ用は5%増となり、ヘルシータイプのみ前年を下回った。
物量ベースでは1%減と、ほぼ前年並みを維持した。
米の高騰により、食パンの需要が伸長したことで、マーガリンの需要も増加したという。バターの価格改定も追い風となった。各社が3月と7月に実施した値上げに伴い、バターとマーガリンの間に価格差が広がり、値ごろ感のあるマーガリンに需要がシフトした。特にグルメタイプはこの傾向が顕著だった。
一方、ヘルシータイプは昨年に続き前年実績を割り厳しい状況だ。消費者の節約志向が高まる中でヘルシータイプは割高感があり、購買層も60代以上と高めなことが影響した。
ケーキ用については、ケーキ用バターも前年を超えていることから、節約志向を受けて手作り需要が高まっていることが推察される。
雪印メグミルクでは、中容量品を、縦置きもできるパッケージデザインに刷新した。ドラッグストアのような狭い売り場においては、省スペースで陳列できるような商品の引き合いが今後は高まることが予想される。そういう意味では、チューブタイプもこの課題に対応可能と言える。
〈業務用はバター風味や低コンパウンドが伸長、風味を補強する製品が多数登場〉
業務用加工油脂の動向は、バターの高騰により、バター風味マーガリンや低コンパウンドマーガリン、バター風味の添加剤などが伸長した。
諸コストの上昇を受けて、汎用品と高機能品との二極化が進んだという。
カカオの高騰も継続しており、チョコレート風味の添加剤や、ココアの風味を底上げするマーガリン、チョコレート用油脂などの引き合いが高かった。
また、抹茶の価格も上昇したことで、抹茶の風味を底上げする機能性油脂が好調だったメーカーも見受けられた。
新製品では、あらゆる風味を底上げする機能材を上市したメーカーが複数みられた。
プラントベースフード(PBF)は、不足するラードの代替需要が高かった。さらに、プラントベースかつ汎用性が高い新製品の上市が目立つ。例えば、ミヨシ油脂では、食感改良効果も持つラード風味の粉末油脂「クラフトパウダー ラード風味」と、食品に多汁感を付与する油脂「ノヴァメルト」をプラントベース仕様で上市した。また月島食品工業では、輸出商品に使いやすくアレルギーにも対応したマーガリン「ラブールイーリス/MB」を上市している。
〈10月食用加工油脂生産量は1.4%減、マーガリン類の家庭用7.1%減・業務用2.4%増〉
日本マーガリン工業会が20日発表した25年10月の食用加工油脂生産量は、前年同月比1.4%減の5万1,794tとなった。うち、マーガリンは3.0%増の1万2,959t、ファットスプレッドは5.4%減の4,433tとなった。
マーガリン類の用途別では、家庭用は7.1%減の2,728t、学校用は33.3%減の35t、業務用は2.4%増の1万4,628tとなった。

〈大豆油糧日報 2025年11月21日付〉







