全油販連「おいしさデザイン工房」で油脂未来セミナー最終回、価値ある何かを掴み結実へ
全国油脂販売業者連合会は9日、東京都中央区のJ-オイルミルズ「おいしさデザイン工房」で、第9回「油脂未来セミナー ~油の花から実へ~」を開催した。同セミナーは今回が最終回となり、油脂の基礎知識を学んで実習を行った後、ディスカッションと発表が行われた。
館野洋一郎会長は最終会となる同セミナーを振り返り、「『油の価値を的確に理解し伝えることができる力』、『油の新しい価値を創り出すことができる力』を問屋がしっかりと身に付けて、油脂メーカー、消費者のどちらにとっても価値のある存在に業界全体としてなっていこうという目標を立てた。第1回は平成30年5月に開催し、コロナ禍を挟んで、あしかけ7年ほどになる。同セミナーには副題が付いていて、『油の花から実へ』と書いてある。数十年前に、われわれの上の世代が油の花を咲かせようと、『油の花フォーラム』を行っていた。花が咲いた後には実がなるので、われわれの業界でしっかり花が咲くように、結実するようにと願ってサブタイトルを付けた。今日は最終回ということで、油がどういうものなのかを身をもって体験して、それをユーザーや消費者に伝えていくことができるように、皆で手を動かしながら、価値ある何かを掴んで結実になるようにしたい」と力を込めた。

続いて、J-オイルミルズの高橋一司執行役員営業統括部長兼東京支社長が、「油は本当に貴重なものと信じている。食品やメニューをおいしくするのは油が全てを担っている。おいしさへの利用はもちろん、機能面でも効果を発揮し、健康面でも油は身体になくてはならない。われわれは特殊なスターチも作っている。「いかに油を使いこなすかが、おいしさのキーファクターになるが、『おいしさデザイン工房』では、特殊な澱粉を使いながら、一つの事例だが、喫食前にギリギリまで油感を残すというようなことを、職人も技術者も含めて毎日考えている。油を販売するために、われわれのスターチも使いながら、いかに油を有効利用するかという観点で考えている」と述べた。
〈業務用の3つのトレンド挙げ、異なる油種を使った3つの演習を〉
その後、油脂の基礎知識として、油脂の5つの役割や代表的な油脂の特徴について学び、J-オイルミルズの工場で撮影された植物油ができるまでの流れを説明する動画を放映した。実習では、業務用油脂のトレンドとして3つ挙げた。「フライ用油脂選定で重視されるポイントの変化」として、付加価値のある油が求められるようになっていると紹介した。「セントラルキッチン(CK)活用促進」では、CKを使用するメリットとして、調理の一元化によるコストダウン、品質の安定化、オペレーションの効率化などがあると説明した。「サラダ油誕生から101周年」では、ドレッシング・マヨネーズのトレンドを紹介した。その後は3チームに分かれて、異なる油種を使った3つの演習をローテーションで行った。「天ぷら実習」では、えび天を菜種油と太白ごま油の2つの油種で揚げて、風味の違いを体験した。「マヨネーズ実習」では、大豆油、菜種油、オリーブ油の油種ごとの生食使用時の味わいや風味の違いを体験した。「上海焼きそば実習」では、炒め油と汎用油によるこびり付きや味わいの違いを体感した。
〈大豆油糧日報2025年12月15日付〉








