【改革を成功させた経営者に聞く】フジワラテクノアート藤原加奈副社長 / 地方の中小企業のモデルケースとして注目、多様な人材が活躍できる組織に

フジワラテクノアート藤原加奈副社長
フジワラテクノアート藤原加奈副社長

地方の中小企業のモデルケースとして大きな注目を集めるのが、醸造機械メーカー首位のフジワラテクノアート(岡山市北区)だ。

トヨタやNTTなど大企業も視察に訪れ、昨年12月には製造業として異例の第5回日本サービス大賞「優秀賞」を受賞した。24年には5人の採用枠に約800人が応募。大手メーカー出身の高度人材も多かった。この6年間の新卒採用者の離職率は0%。人的資本経営を実践している同社が、いかに働きやすい職場環境であるか伺い知れる。高い評価を得るブランド力を築き上げてきた藤原加奈副社長は、「一つのことではなく、いろんな改革の積み重ねだと思っている」と振り返る。

昨年12月、同社は「醸造文化を支える、技術と感性のフルオーダーメイドサービス」で、第5回日本サービス大賞「優秀賞」を受賞した。藤原副社長自身は個人賞として、「日経ウーマン」の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2026」、フィガロジャポンの「Business with Attitude(BWA)アワード2025」をダブル受賞した。
「2015年に承継の覚悟を決め副社長となった。これらの賞をいただいたのは昨年末で、ちょうど10年の節目になる」と述べる。
「母は専業主婦としての経験を活かし、働きやすい環境づくりや出産・子育てを支える制度を整え、女性が活躍できる基盤を築いてくれた。私はキャリアとライフの実現に向け働き甲斐や働きやすさを追求してきた」とこの10年の取り組みについて話す。

15年に、まずは社員インタビューからスタートした。すると社員の一番の不満は人事制度だと分かったという。「経営理念を刷新し、人事制度を大幅に変えた。自律的に仕事をする社員、能力やスキルだけでなく姿勢やスタンスの両面を備えた人が昇格するようにした。仕事の質で評価する制度に変えたことが一つの起点だと思う」と話す。
以前の人事制度の運用では残業や出張が多くない社員が評価されにくい傾向があったが、「労働時間や性別に関わらず昇格できる仕組みになったことが多様な人材が活躍できる組織に繋がった」と述べる。

〈醸造に加え新たな市場や産業の創出、副産物や未利用資源を微生物の力で有価物に〉

もう一つの起点は、19年に開発ビジョン2050「醸造を原点に、世界で微生物インダストリーを共創」を策定し、ビジョン実現のために取り組んできたことだ。
「微生物を使ったものづくりは当社のコアコンピタンスだ。今までは醸造業界を中心に事業を行ってきたが、醸造に加え新たな市場や産業の創出にも取り組んでいる」と説明する。
異業種の共創パートナーは25年8月現在、海外を含め18件にのぼる。「食品の副産物や未利用資源を麹菌などの微生物の力で有価物に変えることで様々な社会課題解決につながれば」と今後の構想を語る。

改革に成功した地方の中小企業のモデルケースとして、講演依頼も多く寄せられる。月に3~4回、累計では100回以上講演してきた。政府の有識者会議にも参加する。「自分の経験を共有して、地方の中小企業、製造業の発展に貢献できれば」と力を込める。

【プロフィール】ふじわら・かな 1978年

岡山市生まれ。2001年慶応義塾大学経済学部卒業、大学4年時に父が急逝、専業主婦の母が社長就任。味の素での営業を経て、05年フジワラテクノアート入社、取締役就任。07年慶大院経営管理研究科修了(MBA取得)。15年取締役副社長、21年から現職。経営者であり、2人の子供を育てる母でもある。

〈大豆油糧日報 2026年3月10日付〉

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昭和33年(1958年)1月
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