【みそメーカーの営業本部長に聞く】マルコメ営業本部・泉文和本部長 価格改定の影響で物量落ちるも、離反に繋がらないような対策講じる

マルコメの強さは価格競争だけではない。米をはじめとした原材料の高騰という環境下においても、業績で前年を超えてみせた。圧倒的な商品力を支える営業力にも注目したい。そこで、マルコメの泉文和営業本部本部長に2024年度の振り返りと今後について話を聞いた。
──24年度(24年1~12月)を振り返って
ここまで原料事情が厳しくなると、弊社は米みそ主体のメーカーなので、米の仕入れで困ったことは、170年の歴史を振り返ってもなかった。それなりの対策をしないといけなかった。それは今期に繋がってくることだと考えている。
価格改定を実施しているので、売上では前年を超えることはできた。しかし、価格改定した影響で、物量が落ちるタイミングがあった。そこに危機感を覚え、離反に繋がらないような対策を講じたが、消費者に比較的商品を愛していただいていた部分で助けられたと考えている。
──25年3月期の業績について
全体の売上、販売数量ともに5%増となった。厳しい情勢の中、前期比を上回れたことはありがたいこと。みそでは、主力の液みそや顆粒みその伸長が継続している。即席に関しては大容量が人気だ。物価高による節約志向により、大きく2ケタ増となっている。生塩糀、生しょうゆ糀も前年を上回っている中で、乾燥米こうじも想定以上に伸びている。これは節約志向の一環と自分好みの甘酒を作りたいという両軸が伸長していると推察している。
厳しい時代の中、簡便・節約志向のお客さまが多く、即席みそ汁の販売が好調だった。コスト的に低いポーションタイプ、お得感が強い大容量タイプが伸長した。同時にフリーズドライ顆粒という簡便でおいしいタイプの販売も伸びており、価格志向だけではなく、簡便性とおいしさを求められるお客さまの二極化は現在も進展している。
フリーズドライ顆粒みそは、みそと即席みそ汁の両面から提案を展開している。ペーストのみそからのアプローチでは、液みそ、顆粒みそと提案を展開していく。一方、即席みそ汁のブロックタイプのフリーズドライみそ汁が伸び悩んでいるので、弊社ではそこのゾーンの売上を伸ばしていくために顆粒みそを提案する。顆粒みそのおいしさを体験した人は、強烈なリピーターになっていただいている。
〈いろいろなニーズに単品、単品で答えていく商品力が強烈なリピーターを作る〉
──主力商品の業績が前年を超えてくる御社の強さについて
いろいろなニーズに単品、単品で応えていく商品力が弊社の強さといえる。お客さまのニーズにマッチした商品群には、強烈なリピーターが付く。主力商品は強烈なリピーターが付く商品が多く、それが売上をけん引し、弊社の強さになっている。フリーズドライ顆粒は、分母は小さいが伸び率が高い。糀甘酒も同じ。本当にいい商品だと認識していただけるとリピーターとなり、買い続けていただける。リピーターにとっては、もはや価格ではなく、価格改定があっても、買い続けていただいているのが現状だ。
──米糀ミルクについて
ミルクに関しては、マルコメ独自の甘さを抑える発酵技術を使用している。牛乳のように毎朝飲める飲料で、既存のアーモンドやオーツなどの植物性ミルクを愛飲されている方からの評価が高い。カフェ業態からの要望が多い。コーヒーの割材でラテに使っていただいている。バリスタからの評価も高い。凄い勢いで導入が進んでいる。ソイラテなど他の植物性ミルクと比べても、米糀ミルクの採用率はラテ全体の中で数倍、採用率が高いと聞いている。「おいしさがたつ」という感想で、注文率も高いそうだ。Instagramで取り上げられる数も多く、これまでにない売れ方をしている。米糀ミルクは市販品なので、コーヒーの割材として専用に設計したバリスタエディションを後発で出した。今後はそちらの方の伸び率の方が高くなるのではないかとみている。現在、凄い問い合わせと採用をいただいている。
〈大豆油糧日報 7月3日付〉