みそ市場、上期の出荷量は3年ぶりに前年同期超え/米を買いだめしている消費者がみそを買う流れも影響か

みそ業界の明るい話題として、25年上期の生産量が2年ぶり、出荷量では3年ぶりに前年同期を超えた。トップメーカーのマルコメは価格、数量とも2ケタ増で推移しており、信州みその中小メーカーも、金額のみならず数量もプラスで推移しているところが少なくない。
原料米の高騰をはじめとしたコスト増から価格改定が行われている中での好調要因については、発酵ブームの追い風や、買いだめされている米を消費する際のみそ汁の需要の高まりといった考察もある。輸出拡大の寄与もあるだろう。商品面では糀歩合の高いみそが引き続き好調なようだ。
全国味噌工業協同組合連合会がまとめた25年の上期(1~6月)のみその生産量は2年ぶり、出荷量は3年ぶりに前年超えで折り返し、市場回復へ期待が高まっている。1~7月の生産量では4.4%増の2万9,929t、出荷量も2.5%増の2万9,526tとプラスで推移している。前年を割ったのは、5月の生産量のみで、出荷量は7月まで増加が続いている(グラフ)。

また、総務省統計局がまとめた1~7月の家計調査(表)を見ると、支出金額や平均単価は価格改定が行われたこともあり、プラスの月が目立つ。本来価格が上昇すると数量は減るトレードオフの関係になりそうだが、購入数量についても前年を超える月が多く、累計でも4.5%増と伸長している。

〈外食の価格高騰、米を買いだめしている消費者がみそも買う流れなどが理由か〉
数量増については各メーカーも明るい話題と捉えている。「考えられる要因の一つとして、外食の値段が上がり、内食化が進んでいるとの見方がある」という意見がある。一方で、「令和の米騒動」で米の価格高騰が世間をにぎわせているが、パンやパスタなどに主食がスイッチしていることが指摘され、乾麺パスタなどは実際に大きく伸びているもようだ。
直感的には、ご飯と一緒に食べられるみそ汁用途が中心のみその需要が落ちても不思議ではない。ただ、米の高騰を受けて買いだめしている消費者も多いことが想定され、「自宅で山積みになっている米を食べないといけない。みそも買う流れになっている可能性はある」といった分析もなされている。
また、「今年は暑かった。塩分補給で健康的なみそ汁を朝1杯飲む提案をしてきた効果が出てきているのだと思う」と、業界で取り組んできた地道な活動が実を結んでいると、肯定的にコメントしている。
〈大豆油糧日報 2025年10月9日付〉