ファミマ第2四半期、事業利益は上期過去最高、日販過去最高更新も

〈細見社長「加盟者の営業利益拡大を最重視」〉
ファミリーマートが10月8日、発表した2026年2月期第2四半期連結業績は、営業総利益が前年比100億円増(4.6%増)2,297億円、営業利益に相当する事業利益が99億円増(19.1%増)617億円、当期利益は特殊要因(※)を除いた実質92億円増(27.2%増)430億円と増収増益で、事業利益は上期として過去最高を更新した。
また、チェーン全店平均日販は前年比2万2,000円増(3.8%増)59万5,000円で過去最高を更新した。10月8日、東京・芝浦の本社で決算発表会を開き、細見研介社長らが業績について話した(※決算書上の当期利益は、前年同期に中国事業再編に伴う一過性利益316億円を計上した裏年に当たり前年比33.0%減の減益。カッコ内の増減率は本紙算出)。
営業総利益は前年同期比で増加し、主に既存店の売上向上と広告・メディア事業の拡大が寄与した。オリジナル企画「ざっくり40%増量作戦」や新商品「ファミチキレッド」の販売好調などで既存店日販が48カ月連続で前年を上回り、好調に推移した。
商品カテゴリーでは「おむすび」やファミチキレッドが寄与した「フライヤー」、小型サイズ商品が好調な「惣菜」、売場面積拡大効果が出ている「菓子」、コンビニエンスウェアが引き続き好調な「日用品」が伸長したという。
事業利益は、宣伝販促の強化や、公的支援縮小による水道光熱費負担増・キャッシュレス比率増加による決済手数料の増加など外部環境変化によるコスト増があったが、直営店の減少による経費減やさまざまなコスト見直し等で販管費を前年並に保てたことで、ほぼ営業総利益の増加分が増益となった。
細見社長は「上期の総括として、インフレ時代に対応し、新しい時代の消費者とコンビニは何か、加盟店と一丸となって追求する気持ちが良いモメンタムに繋がっていると確かな手応えを感じている」と話した。
商品・マーケティング分野では、新型のおむすび製造機を昨年度までに全国の工場に設置完了し、大谷翔平選手をアンバサダーに起用したおむすびのキャンペーンも実施した。それが「凄まじい効果を挙げ、米飯の売上拡大に寄与したばかりでなく、加盟店の意識高揚にも好影響を与え、それがいまだに継続している」(細見社長)という。また、増量企画やファミチキレッドの好調に加え、「たのしいおトク」各種キャンペーンが「インフレ時代の顧客ニーズを捉え、商品と価格のバランスを取りながらお客様の期待を超えるたのしいおトクを提供できた」(同)という。
一方、顧客接点強化を目指すカスタマーリンクプラットフォーム戦略として、リアル店舗ではイートインの売場化による売場面積拡大に加え、コロナ禍や人口減少に対する店舗ネットワークの修正が一巡し、8月末の国内店舗数は前年比62店舗増の1万6,335店舗と再度増加に転じた。デジタル施策では、デジタルサイネージ「ファミマビジョン」の設置店舗は1万1,000店舗を超え、ファミペイアプリのダウンロード数は2,700万件を突破するなど拡大した。
下期は、商品販促企画では引き続きおむすびを中心とした中食商品を強化。大谷選手との新たなキャンペーンや、たのしいおトク企画を継続して実施する。
サービス強化ではファミマカードの新規募集を10月1日から開始。ファミペイとの連携による5%ポイント還元施策を行う。加えてセブン銀行との提携による新しい金融サービスプラットフォームを立ち上げる。
上期、同社がフランチャイズチェーンの最重要指標として重視する平均加盟者利益はコロナ前との比較で33%増と伸長し、過去最高を更新した。また、これまで重視されてきたチェーン全店平均日販も前年比2万2,000円増の59万5,000円と過去最高を更新し、既存店日販は前年比4.1%増と伸長した。
ただ、細見社長は「ゼロ金利でコストが安定している特異な時代の拡大競争の状況と、今は環境が全く異なる。金利が復活しインフレが常態化しているので、当社は顧客の利便性に加え、加盟者の効率的な営業利益拡大に視点を移している。昨今の人手不足・人件費高騰を踏まえ、省人化を進めながら効率的に利益を稼ぐことを最も重要視していくべきと考えている。人件費をかけながら日商(日販)を追いかけるという世界はもう終わりだと思う」と話した。
〈冷食日報2025年10月9日付〉