【日清オイリオG】玉子加工製品に加える大豆粉末製剤を発売、ジューシーな食感に

「ソイプルーブEG30」使用例 だし巻き玉子
「ソイプルーブEG30」使用例 だし巻き玉子

〈鶏卵がリスク素材とも捉えられる中、安定供給可能で品質やおいしさ維持・向上〉

日清オイリオグループは今年1月、大豆粉末製剤「ソイプルーブEG30」を新発売した。冷凍食品などの玉子加工製品の原材料に加えることで、ジューシーな食感に仕上げられるのが特徴だ。

日清オイリオG「ソイプルーブEG30」
日清オイリオG「ソイプルーブEG30」

玉子焼きをはじめ、チャーハンやパンケーキなど、幅広い商材の主原料に使われる鶏卵が価格の高騰や調達不安からリスク素材とも捉えられている中、安定供給可能で、品質やおいしさの維持向上につながる同製品は注目されている。10月15~17日に東京ビッグサイトで開催される「食品開発展2025」でも目玉として紹介する予定だ。

加工用事業部加工用商品開発部の近藤伸隆企画開発課長と岡崎敏樹企画開発課主席に、同商品をはじめ、昨年発売した粉末状大豆たん白の「ソルピーDH‐1」、同社の強みであるMCT(中鎖脂肪酸)との組み合わせ提案といった大豆たん白事業の取り組みについて話を聞いた。

日清オイリオG 岡崎敏樹企画開発課主席、近藤伸隆企画開発課長
日清オイリオG 岡崎敏樹企画開発課主席、近藤伸隆企画開発課長

「ソイプルーブEG30」は、大豆粉に独自の加熱処理を行うことでコクを付与し、玉子加工製品の風味を損なわないように設計している。卵の一定量の置き換えが可能だが、「単なる代替ではなくプラスアルファの機能を付与できる」と訴求する。

例えば、冷凍のオムレツの場合、解凍時に生じるドリップを抑える機能がある。「冷凍や冷蔵保存に耐えられ、食感もジューシーになる点がユーザーに認められている」と手ごたえを語る。

22年に鳥インフルエンザの流行で鶏卵の価格が高騰した「エッグショック」は記憶に新しい。「卵は物価の優等生として使われていたが、外部環境から卵価は上げ止まっている。様々なメーカーに聞いても、価格が高いことに加え、供給不安があるリスク素材と捉えられている」と指摘する。

卵の単なる置き換えではなく、品質向上剤としても提案しており、これまで市場になかった製品として「引きは強い」と発売後の反響も大きいという。「安定調達という観点から使い続けていくというユーザーもある」と安定供給が可能な点でも支持されている。最近では玉子加工製品以外の加工食品でも採用が広がっており、ユーザー側から新たな効果について教えてもらうこともある。

〈食品開発展で粉末状大豆たん白「ソルピーDH‐1」やMCTも提案〉

さらに同社は昨年、粉末状大豆たん白の「ソルピーDH‐1」を発売した。分散性が良いためダマができにくく、低い粘度を保つのが特徴だ。主に高たん白飲料に使われることを想定している。栄養補給の面では、飲料以外の食品でも採用されている。こちらも食品開発展で大々的にアピールする。

「味も非常に良い」と強調する。飲料用たん白のネックとされるえぐみも抑えている。粉末プロテイン飲料はホエイ(乳)たん白が主だが、動物性と植物性のたん白を一緒に摂取した方が良いという知見も広まってきたことで、ホエイたん白と大豆たん白を合せた飲料開発も進んでいる。また肉・魚系の加工食品メーカーにも植物性たん白の需要は拡大しており、動物性と植物性の「ダブルたん白摂取」という考えもあるようだ。

栄養訴求の面では、大豆たん白とMCTの組み合わせを提案している。例えば、シリアルバーのメニュー提案で高たん白粉末とMCTを一緒に提案している。

「MCTはある一定量を含有すれば機能性表示が可能であり、なおかつ大豆たん白を使うことで、高たん白で満足感のあるメニューを提案できる」と説明する。若い人には身体作りを、年配の人にはフレイルの予防というように、幅広いユーザーに提案することも可能だ。

BtoBにおける用途提案では、冷食や畜肉加工品など最終製品の価値向上のため、たん白だけでなく、油脂も提案できるのが強みだ。例えばメンチカツは衣にも大豆たん白と油脂が役に立ち、具材は油脂で食感を変えることができること、仕上げにはフライオイルを提案できる。「1つの食材をさまざまな角度からソリューションする提案に力を入れている」として今後も注力する。

食品開発展では昨年までMCTのみを出展していたが、今回はコマ数も増やし、「健康」、「風味」、「改質」をテーマに提案する。

「健康」はMCTや高たん白を、「風味」の部分では、素材の風味を引き立てるエンハンスや、油を置き換えることでマスキングできることなどを提案する。「改質」については、日持ちの向上や食感の長持ちなど食品の改良について提案し、新製品の「ソイプルーブEG30」を中心にアピールする。

〈大豆油糧日報2025年10月15日付〉

媒体情報

食品産業新聞

時代をリードする食品の総合紙

食品産業新聞

食品・食料に関する事件、事故が発生するたびに、消費者の食品及び食品業界に対する安心・安全への関心が高っています。また、日本の人口減少が現実のものとなる一方、食品企業や食料制度のグローバル化は急ピッチで進んでいます。さらに環境問題は食料の生産、流通、加工、消費に密接に関連していくことでしょう。食品産業新聞ではこうした日々変化する食品業界の動きや、業界が直面する問題をタイムリーに取り上げ、詳細に報道するとともに、解説、提言を行っております。

創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
主な読者:
食品メーカー、食品卸、食品量販店(スーパー、コンビニエンスストアなど)、商社、外食、行政機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)、その他地域は第3種郵便による配送
購読料:
3ヵ月=税込15,811円、6ヵ月=税込30,305円、1年=税込57,974円