【日清オイリオG 決算】油脂・油糧全体で通期28億円減益、喫緊の取り組みは価格改定の完遂
日清オイリオグループの25年度(26年3月期)上期の連結決算は増収減益となった。
油脂・油糧セグメントでは、販売単価は上昇するも、油脂コスト上昇や家庭用の販売数量減に加え、販管費増加も減益要因となった。通期の油脂・油糧セグメントの営業利益は、コスト要因で58億円の悪化、全体で28億円の減益を見込む。久野貴久社長は上期の状況を踏まえた喫緊の取り組みとして、「何をおいても国内油脂の価格改定の完遂だ」と強調した。
上期の油脂・油糧セグメントにおける営業利益の増減を見ると、コスト要因37.5億円、販売数量要因8億円、販管費・その他8億円がそれぞれ減益要因となった。販売単価要因17億円、加工油脂5億円の増益要因はあったが、トータルで31.5億円減益となった。
通期業績は下方修正しており、売上高は5,400億円、営業利益は150億円を計画している。油脂・油糧セグメントの営業利益はコスト要因で58億円減、販売数量要因16億円減、販管費・その他25億円減をそれぞれ見込む。販売単価要因で62.5億円増、加工油脂で9.5億円増を見込むが、トータルでは28億円減益を見込む。
販売単価要因の内訳は、業務用・加工用で57.5億円増、家庭用は5億円増としている。販売数量要因の内訳は、業務用・加工用1.5億円減、家庭用は14.5億円減を見込む。なお、販売数量は、業務用・加工用が1%減、家庭用が10%減、加工油脂は1%増を見込んでいる。
〈搾油環境変化の理解が徐々に進む、チョコ油脂は28年度に数量26%増・粗利62%増〉
久野社長は11月14日開催の決算説明会で、中期経営計画「Value UpX」の進捗について説明した。
上期に直面した課題として、国内油脂の汎用油の価格改定の進捗遅れ、家庭用の販売数量減少、オリーブ油の収益圧迫を挙げた。一方で、グローバル油脂・加工油脂におけるチョコレート油脂の販売数量、価格改定は概ね計画通りに進捗しているとした。
喫緊の課題について、「何をおいても国内油脂の価格改定の完遂だ」と強調した。オリーブ油の数量回復と利益率改善の両立にも取り組みとした。
価格改定について、「昨年の10月から価格改定のお願いをしているが、進展・進捗はスローペースだ。家庭用はPB、NBの関係もあり、市場浸透がなかなか図れないが、10~12月の商談に向けて、搾油環境の大きな変化と業界内での認識、顧客の理解は徐々に進んできている」とした。
「過去にも21~22年に、これまで例のない回数と金額幅の価格改定をお願いしてきた。当時はモノがタイトな状況だったが、今回は搾油の構造上の問題で起きており、説明が通り切らないところもある。原料環境だけでなく、物流費、人件費など、われわれのコストアップ要因もしっかり説明しないといけない」と述べた。
中計最終年度となる28年度の中長期成長に向けた取り組みとしては、「家庭用の数量減は一過性ではなく、定着した動きも想定される。十分な分析を踏まえ、市場の変化に対応した数量回復とともに、市場環境に見合った製品ポートフォリオの更なる在り方の研究、それを踏まえた持続的成長につながる戦略のブラッシュアップを考えている。中計でも盛り込んでいるが、もう一段ブラッシュアップを加えていく」と対応について述べた。
継続する取り組みとして、CBE(Cocoa Butter Equivalent=ココアバター代用脂)を中心としたチョコレート油脂の拡販による利益成長と、化粧品原料の拡販とグローバルシェアの拡大を挙げた。ISFグループについて、「チョコレート油脂の上期の進捗は計画通りで、CBEは順調に増加している。下期の計画では引き続き販売数量を増やしていく。前中計中に実施した設備投資が下期から段階的に完了してくることから、着実に販売数量を伸ばす。主要顧客との取り引き拡大、新たな付加価値品の開発も進めていく」と語った。
28年度に向けた道筋として、25年度起点でチョコレート油脂の数量は26%増、売上総利益は62%増を目指す。「CBEをめぐる環境は昨年から状況が変わってきている。足元のチョコレート需要の減少や、CBEの価格への影響、新たなマーケットの参入も考えられるとするが、いまのところは価格面では25年度ベースで考えている」とした。
〈大豆油糧日報2025年11月18日付〉







