セブン‐イレブン、冷凍フルーツなど好調 「らしさ」追求した商品で売上拡大へ【コンビニ冷食の今#2】
セブン‐イレブン・ジャパンの冷凍食品は、「Dole アサイーボウル」などのフルーツを使った商品や、「クックイック」シリーズなどが順調に推移し、新規の来店者確保にもつながっているという。今後は商品の改良なども進めて、冷凍商品を主力カテゴリーに育てることを目指す。FF・冷凍食品部 冷凍食品チーフマーチャンダイザーの井手口美紗氏に話を聞いた。

――冷凍食品市場全体の動向は。
今年に入っての市況としては、値上げや原料高騰の影響もあり数量ベースでは前年を下回るが、販売金額は前年比で1%増ほど。節約志向や米価の高騰で、パスタなどの麺類やスナック類、冷凍フルーツ、ワンプレート商品は順調に推移しているようだ。
コロナ禍以前の冷凍食品は、弁当品などストックニーズに応えた商品の販売が中心だった。コロナ禍を終えた昨今、食卓でメインとなるおかずとして冷凍食品を活用する家庭が出てくるなど、冷凍食品で日々の生活を豊かにしたいというニーズも出ている。また、飲食店の味を家庭でも楽しみたいというニーズも強まり、付加価値の高い冷凍食品の販売も着実に増えてきている。そのため、大容量品などの値ごろ感のある商品と、付加価値の高い商品に、ニーズは二極化していると考えている。
――貴社の動向は。
今年の1~8月は、前年同期と同程度の水準にあった。
現在、当社のプライベートブランド「セブンプレミアム」シリーズは約100アイテムを展開している。良かった商品は、今年3月に先行して発売した「Dole アサイーボウル」や、チョコバナナやチョコイチゴといったチョコをかけた冷凍スイーツなどが好調だった。スイーツ関連のカテゴリーの強化は進めていて、新たな利用者の獲得にもつながっている。5月に実施した韓国フェアに合わせてリニューアルした「セブンプレミアム カルビクッパ」も支持された。
健康系の商品も、主力商品と比べると販売数はそこまで高くないものの、「同 鶏むね肉とブロッコリー」や「同 寝かせ玄米おむすび」などはリピート率が非常に高い。SNSでも、低カロリーを意識している人は少なくないため、健康志向にマッチした商品の支持は着実に広がっている。
他にも、トレー付きのパスタや中華麺など、コンビニならではの商品の提案にも力を注ぎ、堅調な推移を見せる。他にもコスパに優れた商品や、トライアル需要を取り込める新規カテゴリーの提案も強化している。
今年8月に発売15周年を迎えた「セブンプレミアム ゴールド」も、買われ方が変化してきているように感じる。家で過ごす時間を充実させたいという需要はコロナ禍以降も続いている。ひと手間加えることで美味しく食べられる「金のマルゲリータ」は、今も人気商品の一つだ。二極化のニーズが冷凍食品でも起きていて、市場では有名飲食店が監修した商品の販売が支持されている。当社でもこうした商品の販売は順調だ。
24年11月に投入した「クックイック」も、セブン‐イレブンとして新しい客層の取り込みにつながったと感じており、継続的に強化している。このシリーズは、トースターで焼く、鍋で煮込むなど、レンジ以外の調理で簡単に美味しい料理を楽しめる商品群として提案を進めている。鍋などは非常に好調だった。

ただ、一部商品では苦戦が見られた。セブン‐イレブンの冷凍食品がお客様からまだ認知されていないほか、差別化された商品を作り切れていないことが要因なのではと考えている。
また、4月には新たにワンプレート商品を投入した。男性をターゲットにボリューム感のあるメニューを用意したが、このカテゴリーはさらに成長させられるのではという思いもある。そのため、コンセプトやターゲットの見直しを検討し、新たな商品を投入したい。
――現在の課題と、今後の取り組みは。
セブン‐イレブンのイメージとして、「セブンカフェ」やおにぎりは出てくるが、冷凍食品はまだそこまで認知されていない。そのため、利用してもらうための機会を増やすと同時に、より広く知ってもらうことが今後の課題だと感じている。
冷凍食品を初めて買うきっかけとしては、ひとり暮らしを始めるなど、生活環境が変化するタイミングが多い。即食性の高い商品や、ひと手間を加えることでより美味しく食べられる商品など、幅広いニーズに対応できる商品を展開していることを伝え、多くの方に一度でも商品を試していただけたら嬉しく思う。セブン‐イレブンはチルド商品を購入される方が多いため、日々の食卓の中に冷凍食品をプラスしていただくと、食卓が手軽に充実するのではと考えている。また、イベントやSNSと連動したキャンペーンも継続して実施したい。
そして、さらに販売を伸ばすべく、冷凍食品は惣菜や米飯、パスタといった各カテゴリーの品ぞろえなど継続して見直しを進めている。新商品に加えて、味やパッケージを刷新した商品などを順次投入する予定で、当社らしさを追求した商品を送り出せるのではと考えている。各カテゴリーで改良などを進めて、セブン‐イレブンらしさを追求したい。
〈冷食日報2025年11月14日付〉







