ホクト、冷凍きのこで市販用冷凍野菜事業に参入

ホクト「とれたて1番♪長野県産カットエリンギ」
ホクト「とれたて1番♪長野県産カットエリンギ」

〈とれたてを急速冷凍でおいしさ・香り・食感で差別化〉

きのこ生産大手として知られるホクト(長野県長野市)はこのほど、国産急速冷凍きのこ2商品を発売し、市販用の冷凍野菜市場に参入する。「とれたて1番♪」シリーズとして「長野県産カットエリンギ」「富山県産カットブナシメジ」(各250g/希望小売価格398円税抜)の2品をすでに10月中旬から、関東・長野の一部店舗で先行販売している。21日、東京・大森の同社東京支店で発表会を行った。商品概要については、加工食品事業本部商品開発課の豊田清起主任が説明した。

今回は新商品として「とれたて1番♪長野県産カットエリンギ」「同富山県産カットブナシメジ」の国産冷凍きのこ2品で市場に参入した。開発に当たっては消費者インタビューを実施。可処分所得が高く、自身や家族の健康に気をつかう、国産志向の女性をターゲットにしたという。また、消費者インタビューによりカットサイズなどをヒアリングし、消費者に使いやすいカットサイズで製品化した。

ホクト「とれたて1番♪富山県産カットブナシメジ」
ホクト「とれたて1番♪富山県産カットブナシメジ」

また、パッケージデザインも調査をもとに消費者に刺さる訴求点が好まれて目立つパッケージで表現されているデザインに決定したという。

中身は、通常の冷凍野菜や輸入冷凍きのこと異なり、ブランチングを施さず収穫後は即日出荷ですぐに急速冷凍し、採れたてのおいしさをキープする。なお、冷凍きのこの生産自体は国内協力工場で行う。

同社ではすでにエリンギやブナシメジで市場占有率が高い生鮮きのこに加え、生鮮で簡便性の高いカットきのこも展開しているが、簡便性に加えて採れたてのおいしさ・香り・食感を持つ急速冷凍きのこで市場拡大を図る方針だ。

すでに10月半ばから関東のイトーヨカドー、サミット、東急ストア、ヤオコー、長野のツルヤの一部店舗で先行販売を開始している。

また、認知度を高めるため、新発売キャンペーンとして「とれたて1番♪」購入レシートにより抽選でQUO カード1,000円分が50人に当たるキャンペーンも開始した(応募締切26年2月28日)。

〈きのこ消費の落ちる夏場に冷凍を生産し生産効率向上効果も〉

発表会では、同社開発研究部部長でテレビ番組などで“きのこ博士”と称される大内謙二氏と、冷凍生活アドバイザーの“冷凍王子”こと西川剛史氏によるトークショーも開催された。

大内部長によれば、きのこを冷凍すると旨味成分が増えるという研究結果はあったものの、ホームフリージングでは食感が劣るなどの課題もあったという。一方、エリンギは冷凍・乾燥耐性を強くするトレハロースを多く含み、急速凍結をすることで、きのこ本来の香りである「菌臭」も強くなり、香りが大きく増えるそうだ。

ホクト東京支店で発表会を実施
ホクト東京支店で発表会を実施

なお、今回の商品に使用するエリンギ・ブナシメジは、同社の品種改良によってカットした際により廃棄ロスが出にくい品種を使っているという。

また、生鮮きのこの消費量は夏場に落ち込む傾向があり、夏場に冷凍きのこを生産することで通年での生産能力・生産効率が向上する効果も見込まれるという。

今後は市場の反応も見ながら、他のきのこなど新たな商品の開発も進めるという。

〈冷食日報2025年11月26日付〉