味の素冷凍食品「AJINOMOTO BRAND ギョーザ」ブランド名やロゴなど刷新、商品の更なる認知向上へ【ブランドの創りかた】
味の素冷凍食品の看板商品『ギョーザ』。発売から50年以上経つ今年2月、新たなブランド『AJINOMOTOBRAND ギョーザ』としての展開を開始した。「味の素冷凍食品が手掛ける冷凍餃子」であることをより前面に押し出すことで、『ギョーザ』の目的買いにつなげるほか、『レンジでギョーザ』や『しょうがギョーザ』など他の餃子商品の認知向上などを図る。このブランドの立ち上げの背景や目的などを聞いた。
〈売上金額は23年連続トップ 50回以上の改良〉
『ギョーザ』は油や水は不要で、誰が調理しても簡単に羽根付き餃子を作れる人気商品だ。冷凍食品市場を代表する商品で、1972年の発売以来、販売は今も広がり続けている。インテージのデータによれば、冷凍食品市場で単品の売上金額は2003年から23年連続でトップを維持してきた。52年間の累計販売個数は20億袋を超えたという。
「永久改良」という考えのもと、商品の改良は常に進めていて、細かな部分も含めてこれまでに50回以上の改良を行ってきたという。時代に合わせた味の調整に加えて、フライパンに張り付かないよう羽根の品質向上にも取り組んでいる。
今年2月から、『AJINOMOTO BRAND ギョーザ』ブランドとしての展開を開始した。背景には、拡大する冷凍餃子市場がある。
マーケティング本部リテール製品戦略第1グループ長の松浦嵩氏は「新規メーカーの参入などで冷凍餃子は商品の種類が増え続けているため、お客様が売場で何を購入するか迷ってしまうことがあると考えられます。当社としては、『味の素冷凍食品の餃子』であることをより強く伝えるべく、新たなブランドの立ち上げに至りました」と話す。

同社の餃子商品は、これまでロゴの配置やパッケージなど商品ごとに異なっていた。ブランドの立ち上げをきっかけに共通のロゴの使用や統一感のあるデザインに変更し、より『味の素冷凍食品のギョーザ』であることを明確に伝えられるようにしている。
ブランドの立ち上げは2023年から準備を進めてきた。約600人を対象にWEB上で実際の売場を模した画像を映し、パッケージの視認性を確認したところ、現行のロゴが最も売場で見やすいとの評価を得た。
そして今年2月、リニューアルを実施した。「フライパンからの剥がれやすさ」は、9割以上のフライパンで張り付きの改善を確認できたという。品質面も改良した。
また、King&Prince の永瀬廉さんを起用した新CMの放映も開始した。CMの最後に「味の素 ギョーザ」という音声を流し、ブランド名の印象付けを狙っている。
「お客様にテレビCMを見てもらい、何が印象に残ったか調査をした結果、最後の『味の素ギョーザ』の部分が印象的だった、というコメントを多数頂きました。狙い通りになったと思っています」と力を込める。
テレビCMに加えて、今年は大阪にて特設店舗「AJINOMOTO BRAND ギョーザステーション」を、4月から約3カ月間出店した。刷新した『AJINOMOTO BRAND ギョーザ』を調理から楽しめる場として多くの人が訪れたという。
「このイベントで初めて私たちの『ギョーザ』を焼いてくれる方もいました。イベントを通じて実際に触れていただき、新たなファンづくりにつながったと感じます」と振り返る。
〈冷凍餃子の購入経験者は2割強 市場のけん引目指す〉
今後は、冷凍餃子自体の喫食者をいかに増やすかが重要になるという。
同社によれば、1年間のうちに冷凍餃子を購入したことのある人は、全体の45%ほど。そのうち味の素冷凍食品の冷凍餃子の合計になると、全体の25%程にとどまる。
松浦氏は「残りの75%の人は私たちの餃子を1度も買ったことがない。冷凍餃子の購入経験者を60~70%まで引き上げるとともに、私たちのファンになっていただくことが、今後の重要な取り組みになります」と話す。
そのために、商品の改良は今後も続ける方針だ。「主力商品だからこそ、より良い商品を届けるために、改良は絶対に欠かせないと思っています。張り付きだけでなく、調理性や味なども含めた『永久改良』を続けたいです」と強調する。
また、『ギョーザ』に並ぶ次の主力商品として、『レンジでギョーザ』にも期待を寄せる。フライパンは不要で、レンジで約3分温めるだけで香ばしい餃子が味わえる商品だ。独自の技術でレンジ加熱による皮の硬化を改善し、餃子の味わいをより引き立てる食感を実現したという。

販売は順調に推移しており、「市場全体ではまだ大きな金額ではありませんが、将来的には今の10倍近くまで伸び、次の主役になってくれると期待しています」(松浦氏)と自信を見せる。
最後に松浦氏は『ギョーザ』について、「冷凍餃子の中で、私たちは『ギョーザ』に絶対の自信があります。一度食べてもらえたら、きっとまた食べてくれると信じています」と力を込める。
加えて、「長年支持され続けている商品として、改良を続けることも使命だと考えています。『AJINOMOTO BRAND ギョーザ』というブランドを通じて、冷凍餃子カテゴリー全体をけん引できるよう取り組みたいです」と語った。
〈冷食日報2025年11月27日付〉








