濃縮飲料、未経験者の獲得が焦点 AGFに続きネスレもテレビCM

無糖タイプの濃縮コーヒーの主な商品。(左から)サントリービバレッジ&フード「割るだけクラフトボスカフェ」、ネスレ日本「スターバックス コーヒークラフト」「ネスカフェ エスプレッソベース」、味の素AGF「ブレンディ」ポーション
無糖タイプの濃縮コーヒーの主な商品。(左から)サントリービバレッジ&フード「割るだけクラフトボスカフェ」、ネスレ日本「スターバックス コーヒークラフト」「ネスカフェ エスプレッソベース」、味の素AGF「ブレンディ」ポーション

濃縮飲料市場で、未経験者との接点づくりが課題になっている。味の素AGFは昨年、「ブレンディ」ポーションで、同社のポーション商品として初めてテレビCMを展開し、新規購入者が増えたという。今年はネスレ日本も、濃縮コーヒー「ネスカフェ エスプレッソベース」で、同社の濃縮飲料カテゴリーとして初めてテレビCMを投入している。市場が広がる中、まだ使ったことのない生活者に飲み方や楽しみ方をどう伝えるかが、次の成長に向けた焦点になっている。

濃縮タイプの飲料は新しいものではない。「カルピス」に代表される希釈飲料は、長く家庭に根付いてきた。近年伸びてきたのは、コーヒーを中心とした濃縮飲料だ。1杯分ずつ使えるポーションタイプが市場を牽引し、ボトル入りの濃縮コーヒーでも商品展開が広がってきた。

背景には、コーヒーの飲まれ方の変化がある。年間を通じてアイスコーヒーを飲む人が増え、ミルクや水、炭酸水などで割って楽しむ飲み方も広がっている。重たい大容量飲料を持ち帰りたくないというニーズや、冷蔵庫内で場所を取りにくい省スペース性も支持される理由になっている。昨年は、コーヒーだけでなく、炭酸飲料や茶系飲料にも濃縮タイプの商品が広がった。

濃縮飲料の多様なフレーバー。(左から)「割るだけクラフトボスカフェ チャイラテベース」、「スターバックス コーヒークラフト キャラメル」、「ネスカフェ エスプレッソベース 甘さひかえめ」、「ブレンディ」ポーション 甘熟苺オレベース
濃縮飲料の多様なフレーバー。(左から)「割るだけクラフトボスカフェ チャイラテベース」、「スターバックス コーヒークラフト キャラメル」、「ネスカフェ エスプレッソベース 甘さひかえめ」、「ブレンディ」ポーション 甘熟苺オレベース

ボトル入りの濃縮コーヒーでは、サントリービバレッジ&フードの「ボス」ブランドが存在感を示している。現在の「割るだけクラフトボスカフェ」シリーズは、ミルクや水と割るだけで、ラテやブラックを手軽に楽しめる商品だ。1本で約1.5~2L分を作れる経済性や、持ち運びやすさ、冷蔵庫で場所を取りにくい使い勝手も打ち出している。

「割るだけクラフトボスカフェ」のラインアップ
「割るだけクラフトボスカフェ」のラインアップ

同シリーズの2025年年間の売上数量は前年比103%、直近3カ月では前年比110%以上で推移している。今年はブランド誕生10周年に合わせ、シリーズ全商品のパッケージをリニューアルした。リニューアル後の3~4月のシリーズ売上数量は、過去3年で最高となった。

品目数が増え、店頭でシリーズ商品が並ぶ機会が広がったことも、認知や販売を後押ししたとみられる。3月10日に発売した新商品「チャイラテベース」も好調な出足となった。

「最強!濃縮割り師決戦 2026」で紹介されているアレンジレシピ
「最強!濃縮割り師決戦 2026」で紹介されているアレンジレシピ

ネスレ日本も、濃縮コーヒー市場で未経験者の獲得を強化する。同社は6月、濃縮コーヒー「ネスカフェ エスプレッソベース」をリニューアル発売する。ボトルデザインを刷新し、テレビCMやインフルエンサー企画を展開する。拡大する濃縮コーヒー市場で、ブランドの存在感を高める考えだ。

同社によると、濃縮コーヒー市場は2022年から2025年の3年間で約1.5倍に拡大した。直近でも前年に比べ2桁伸長している。「ネスカフェ エスプレッソベース」の購入者のうち約70%を濃縮コーヒーカテゴリーの新規購入者が占めたという。発売52週後のリピート率も40%以上となった。

同社は、濃縮コーヒーが支持される理由として、冷蔵庫内で場所を取りにくい「スペースパフォーマンス」、1杯当たりの単価を抑えられる「コストパフォーマンス」、好みに合わせて濃さや割り材を変えられる「自由なカスタマイズ性」を挙げている。

「ネスカフェ エスプレッソベース」は、1本で約15杯分が作れる500mlボトル入りの商品だ。「甘さひかえめ」と「無糖」の2種類を展開する。今回のリニューアルでは、ボトル上部に「約15杯分」と表示し、“割って楽しむ”特徴を分かりやすくした。

インフルエンサーを起用した「最強!濃縮割り師決戦 2026」では、15人がアレンジレシピをSNSで発信する。スターバックスブランドでも「スターバックス コーヒークラフト」を展開し、家庭で自分好みの一杯を作る飲用スタイルを提案している。

味の素AGFは「ブレンディ」ポーションとポムポムプリンのコラボを発表。発表会には榮倉奈々さん(中央)とAGFの徳永主任が登壇した
味の素AGFは「ブレンディ」ポーションとポムポムプリンのコラボを発表。発表会には榮倉奈々さん(中央)とAGFの徳永主任が登壇した

味の素AGFも「ブレンディ」ポーションシリーズで、未経験者との接点を広げている。5月21日から新TVCM「Let’sポーション ポムポムプリン」篇を関東・関西・中京エリアで放映した。同日から24日までは、六本木ヒルズで体験型ポップアップイベント「ポムポムポーションCafe」を開催した。会場では、ミルクや水、炭酸水で割る飲み方を提案し、商品に触れる機会を作った。

「ブレンディ」ポーションは、1杯分ずつ使える個包装タイプの商品だ。コーヒーや紅茶、いちごオレ、抹茶オレ、フルーツティーなど幅広い味を展開する。ポーションカテゴリーは2025年度の金額ベースで前年比142%となった。なかでも「ブレンディ」ポーションは前年比約160%と大きく伸びた。同年度の販売杯数は約4600万杯となり、2002年の発売以降で過去最高を記録したという。直近の1~4月も金額ベースで2桁増と好調に推移している。

味の素AGFも、商品を知らない層への浸透を重視している。「ブレンディ」ポーションは発売から20年以上が経つ。一方で、まだ認知に課題があるとして、昨年、同社のポーション商品として初めてテレビCMを展開した。CMをきっかけに初めて購入した生活者が増え、これまでインスタントコーヒーやレギュラーコーヒーを購入してこなかった層にも広がったという。

今年は、デビュー30周年を迎えたポムポムプリンを公式サポーターに迎えた。10代から30代を含む幅広い層との接点づくりを進める。

3社の取り組みに共通するのは、濃縮飲料を「知っている人だけが買う商品」にとどめず、飲み方や使う場面を具体的に伝えようとしている点だ。使ったことのない人にとっては、商品の使い方や飲用場面をすぐには思い浮かびにくい。

各社はテレビCM、SNSでのアレンジ提案、キャラクターとのコラボ、体験型イベントを通じ、未経験者や若年層が商品に触れる機会を広げている。味や価格だけでなく、生活者に使い方をどう想像してもらうかが、濃縮飲料市場の次の成長のカギを握る。

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食品産業新聞

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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