ダイドードリンコとアサヒ飲料が自販機事業で包括業務提携、新会社を2023年1月設立

自動販売機(ダイドードリンコ、アサヒ飲料)
自動販売機(ダイドードリンコ、アサヒ飲料)

ダイドードリンコとアサヒ飲料は9月15日、自動販売機事業に関する包括的業務提携契約を締結したと発表した。

包括的業務提携の内容は「直販事業の一体的運営」「相互販売」「製造受託」「環境領域の協業」の4つ。業務提携のねらいは、売上・利益面といった財務面でのシナジー創出と、環境領域での協業により社会的課題の解決にあるという。

清涼飲料業界の自動販売機市場は、コロナ禍前より縮小している。2021年の清涼飲料自販機の総台数は、220万台となり、2019年比で95%、2020年比で98%だった。販売数量は、4億3200万箱で、2019年比で85%、2020年比で100%となっている(出典:飲料総研)。

両社は9月15日にオンライン発表会を行い、ダイドードリンコの中島孝徳社長は、今回の業務提携について次のように語った。「ダイドードリンコとアサヒ飲料社は、自販機事業の成長、発展を図るべく、両社の市場価値を目的とし、今回両社の展開する自販機事業において新たに運営会社を設立して、ダイドーグループとして一体的に運営していくほか、商品、製造、環境領域において業務提携契約を締結した」。

ダイドードリンコとアサヒ飲料は、2023年1月23日に自動販売機事業を運営するダイナミックベンディングネットワークを設立する。新会社は共同株式移転により設立し、ダイドードリンコの100%出資子会社であるダイドービバレッジサービス、ダイドービバレッジ静岡、ダイドーベンディングジャパンの3社と、アサヒ飲料の100%出資子会社であるアサヒ飲料販売、九州アサヒ飲料販売、ミチノクの3社の現場で作業を行う計6社を統括する。新会社の出資比率は、ダイドードリンコ66.6%、アサヒ飲料33.4%。新会社の設立は、両社の強みや特徴を活かし、売上や利益といった財務的な視点だけでなく、労働負荷低減による将来的な人手不足、雇用確保という課題解決につなげるねらい。

提携内容について、「直販事業の一体的運営」では、ダイドードリンコがノウハウを有するIoT技術を活用した(自動販売機を訪問し製品を補充する)オペレーションシステムを展開していくことで、オペレーションスピードと品質管理能力、生産性の向上だけでなく、労働負荷の低減により将来的な人手不足、人材確保という課題の解決も図る。

「相互販売」では、既に2018年3月からアサヒ飲料の「三ツ矢サイダー」、「カルピスウォーター」をダイドードリンコの自動販売機で販売し、2019年3月からダイドードリンコの「ダイドーブレンド微糖世界一のバリスタ監修」をアサヒ飲料の自動販売機で販売している。2023年3月以降にはダイドードリンコの自動販売機で「ウィルキンソンタンサンレモン」「モンスターエナジー」の2品を販売し、アサヒ飲料の自動販売機で「ダイドーブレンドデミタス微糖」を販売。両社の主力ブランドの接点を拡大し、さらなる飲用機会の拡大と自動販売機の魅力度向上を図る。

「製造受託」では、2023年以降をめどに、ダイドードリンコの商品の一部についてアサヒ飲料の工場で製造受託を行う予定。今後、両社で製造原価の低減を図るべく協議する。

「環境領域の協業」では、環境負荷低減に向けて、自動販売機経由で効率的な資源の回収に取り組み、PETボトルの水平リサイクル率向上など社会的課題の解決を図るとしている。

アサヒ飲料の米女太一社長は、ダイドードリンコとの今回の提携について次のように語った。「自販機市場はコロナ禍の影響もあり縮小傾向だが、清涼飲料市場の販売構成比で約20%強を占めている。また、お客様が飲みたい時に気軽に購入できる買い場として、お客様との接点を広げる上でも重要だ。当社は自販機ビジネスに明るい未来を描いている。(ダイドードリンコと)健全な競争環境は保ちながら、非競争領域のオペレーションの効率化を両社で図り、相互販売による品揃えの強化でお客様満足のさらなる向上を図りたい」。

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