コーヒー、広がる「新領域」 大麦、水素焙煎、10秒抽出、フルーツ

新たな飲用者や飲用機会の開拓に向け、コーヒー各社が自社の強みを生かした商品を展開
新たな飲用者や飲用機会の開拓に向け、コーヒー各社が自社の強みを生かした商品を展開

大麦を加えたコーヒー、水素で焙煎したコーヒー、最短10秒で抽出できるレギュラーコーヒー、フルーツと組み合わせたコーヒー――。コーヒー各社から、新しい発想の商品が相次いでいる。若年層のカフェインや苦味への意識、タイムパフォーマンス、健康、気分転換など、コーヒーに求めるものが広がる中、各社はこれまでコーヒーをあまり飲んでこなかった人にも間口を広げようとしている。

その動きは春夏から目立っていた。各社はアイスコーヒーの提案を強め、若年層やライトユーザーとの接点を拡大。苦味を抑えた商品やフルーツと組み合わせた商品、短時間で楽しめる商品も登場した。秋冬はさらに、原料や焙煎、抽出、コーヒーマシンにまで新しい提案が広がる。

味の素AGF「ブレンディ 大麦とコーヒー」。大麦エキスをブレンドした新提案
味の素AGF「ブレンディ 大麦とコーヒー」。大麦エキスをブレンドした新提案

中でも、原料そのものに踏み込んだのが味の素AGFだ。10月から「ブレンディ 大麦とコーヒー」をテスト販売する。インスタントコーヒーに大麦エキスをブレンドした同社初の商品で、カフェイン量は一般的なコーヒー浸出液の半分。苦味を抑え、大麦の香ばしさとコーヒーのまろやかさを組み合わせた。

開発の背景には、若年層で家庭用コーヒーの購入率が低下していることがある。AGFによると、2017年と2025年を比べると、10代と20代の購入者は推計で約50万人減った。そこで同社は、カフェインや苦味が気になる人にも楽しみやすい、新たなコーヒーの選択肢を提案する。

UCC上島珈琲「ゴールドスペシャルプレミアム カフェヌーヴォー」。家庭用の量販店向けで初めて水素焙煎を採用
UCC上島珈琲「ゴールドスペシャルプレミアム カフェヌーヴォー」。家庭用の量販店向けで初めて水素焙煎を採用

UCC上島珈琲は、焙煎方法に新しい技術を取り入れる。秋冬には、量販店などで販売する家庭向け商品として初めて水素焙煎を採用した「ゴールドスペシャルプレミアム カフェヌーヴォー」を投入する。

水素焙煎は、都市ガスなどに代わって水素を熱源に使う。UCCは大型水素焙煎機を富士工場に導入し、2025年から量産を開始。焙煎時にCO2を排出しない環境負荷の低減に加え、焙煎を細かく制御できる点も特徴だ。「カフェヌーヴォー」では、華やかな香りと豊かなコク、余韻を打ち出す。UCCは技術そのものより、まず味で選んでもらう考えで、水素焙煎を新たなおいしさにつなげる。

キーコーヒー「JET BREW」。最短10秒で抽出できる
キーコーヒー「JET BREW」。最短10秒で抽出できる

キーコーヒーは、レギュラーコーヒーの淹れ方を変える。「KEY DOORS+ JET BREW(ジェットブリュー)」は独自のフィルター構造を採用し、最短10秒で抽出できる。湯を注いだ後、フィルターを上下に振り、時間によって濃さも変えられる。

同商品は2025年に発売。今年は山田涼介さんを「KEY DOORS+」のアンバサダーに起用。9月にキリマンジャロを100%使用した「JET BREW キリマンジャロ」も投入し、手軽さに加え産地による味わいの違いも訴える。

ネスレ日本「ネスカフェ クーラー」。フルーツとコーヒーを組み合わせた
ネスレ日本「ネスカフェ クーラー」。フルーツとコーヒーを組み合わせた

ネスレ日本では、春夏のアイス施策が新しいユーザーとの接点につながった。「ネスカフェ アイスブレンド」は水に溶ける手軽さを訴求し、発売2年目の今年も販売金額が前年の倍近くまで伸びた。これまでインスタントコーヒーを飲んでいなかった20~30代も購入している。今春には、フルーツの香りとコーヒーを組み合わせた「ネスカフェ クーラー」も発売。水や炭酸で楽しむ商品として、コーヒーを飲む機会が少なかった人にも提案した。

10月は、家庭用コーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」の新モデル「kotone(コトネ)」を発売する。「朝や夜に使うと子どもが起きないか心配」といった声を受け、シリーズ史上最高レベルの静音設計と最もスリムなサイズを採用する。静音化やスリム化で日常的に使いやすくし、家庭で飲む機会そのものを増やす狙いだ。

AGFは原料、UCCは焙煎、キーコーヒーは抽出、ネスレ日本は飲み方やマシンなど、それぞれの強みを生かした提案を進める。

原料高が長期化する中、各社はこれまでのコーヒーの枠を広げ、苦味やカフェインが気になる人、淹れる時間をかけたくない人など、新たな飲用者と飲用機会の開拓を進めている。

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食品産業新聞

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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