ごま生産量-中南米原産予想で相場に先高感

軟化していた食品白ごまの相場は底を打ち、来年以降は上昇の可能性が出てきた。火種は、食品ごまの主な輸入先である中南米の生産減だ。価格の低下と、天候不順による単収減などで産地の作付意欲が減退しており、春収穫の生産量の低下は必至。パラグアイにいたっては、ここ数年で最も減産とする予想もある。世界のごま価格に影響を与える中国の今年の輸入量は前年比10~20万t増加の90~100万tと、過去最高を更新する見通しだ。世界的にごまの需給はタイトな傾向が続いており、価格動向が注視される。

新穀の動向では、ごまの一大産地であるインドのメーンクロップの大減産が懸念されたが、直近の情報では減産は限定的だった模様。アフリカは豊作の見通しとなった。ただ、中南米の減産見通しから、パラグアイ産で既に上昇の動きも出てきた。今後中南米が減産となり、アフリカへの依存度が高まれば、原料高へシフトする可能性は高い。マイナークロップのごまは、供給面で不安定な要素が常にある。天候異変が重なれば、急騰もありえる。

世界のごま価格に影響を与える中国の今年の輸入量は前年比10~20万t増加の90~100万tと、過去最高を更新する見通しだ。一方、日本の輸入量は、今年は平年並みの16万t程度で着地しそうだ。15年が10・1%増の18万5000tだったこともあり、在庫水準は高い。

在庫水準の高さがメーカーを苦しめている。通常、食品ごまメーカーは4ヵ月から1年分の原料をもって操業しており、為替や相場の動きとタイムラグがある。白ごまは15年上期まで高値の状態が続き、後半から軟化傾向が続いたが、為替は16年1月末まで120円前後の円安圏にあった。その後は円高に振れたが、タイムラグからすると、コスト高の原料を使用しており、収益的に厳しい状況が続いている。現状は、トランプ円安で110円台となっており、今後の為替動向も気になるところだ。

価格の上げ下げの反応の早い業務用で、大手を中心に秋から値下げが相次いだ。その矢先に、天候不順や台風の影響で野菜が高騰し、堅調だったごまの販売に急ブレーキがかかった。ごまは、ごま和えだけでなく、ドレッシングやたれなどの調味料に多く使われており、野菜高騰の打撃を受けた。さらに10月は、昨年10月放送のテレビ効果でねりごま特需となった反動もあり、20~30%ダウンしたメーカーも少なくない。11月も引き続き減少したところが散見された。

厳しい環境だが、加工ごまメーカーでは、需要拡大のため、レシピ提案や料理教室、食育イベントの実施といった地道な活動を続けている。

堅調に伸ばしている家庭用ごま油も同様で、メーカーは容器の工夫や情報発信により、さらなる需要拡大を図っている。容器の工夫では、竹本油脂の「卓上用ごま油(太香)」に続いて、日清オイリオグループも一滴から注げ、鮮度を維持できる容器入りの「日清かけて香る純正ごま油145gフレッシュキープボトル」を発売した。