【ロッテ】商品情報を“触って”確認する「ココヨム」開発 他社へ無償開放、普及めざす
ロッテは8月26日、商品名や賞味期限、アレルギー情報などの記載位置が触って分かるパッケージの仕組み「ココヨム」を発表した。紙箱に設けた四角い溝を目印にすることで、視覚障害者が音声読み上げアプリを使う際、スマートフォンのカメラを向ける場所を探しやすくする。2026年9月から「チョコパイ」「プレミアムガーナ」などへ順次導入するほか他社にも無償で開放し、業界共通の仕組みとして普及をめざす。
「社会課題の解決は企業価値を向上させる重要な戦略だと認識している」と執行役員経営戦略部サステナビリティ推進部収益企画部の宮野啓治氏。2024年、研究情報戦略部パッケージ研究課内にインクルーシブデザインチームを発足。日本国内の視覚障害者数は164万人、加齢により視力が低下しやすい65歳以上の高齢者は3622万人と言われ、触ることでいち早く商品情報にアクセスできる「ココヨム」を開発した。
「ココヨム」普及推進プロジェクトチームの本村あかね氏は、「障害者や高齢者など、従来の商品設計で除外されがちだった人たちを開発の初期段階から巻き込むことで、結果的にさまざまな人にとって快適なデザインになる」とし、障害者の視点を生かした事業を展開するミライロに協力を仰いだという。
視覚障害者への聞き取りでは、読み上げアプリを利用していても「情報がパッケージのどこにあるか分からない」「同じ形の箱では中身や味を判別できない」といった声が寄せられた。カメラを少しずつ動かしながらパッケージの各面を読み取る必要があり、商品を自分で選ぶことを諦める人もいるという。ミライロ社長の垣内俊哉氏は、「これまでの技術が解決してきたのは『読むこと』で『探すこと』は未解決だった。『ココヨム』は、その空白を埋めることができる」と強調する。

「ココヨム」は、触って分かるデボス罫線の四角い溝が目印だ。枠内の表示は「ココヨム」で始まり、「ココマデ」で終わる。音声で読み上げた際にも、必要な情報の範囲が分かりやすいよう工夫した。表示内容は企業や商品に応じて変更できる。食品では商品名や賞味期限、アレルギー、アルコール使用の有無などを想定している。
枠の溝は、加工のしやすさと触覚による判別のしやすさを両立する一本線の四角形とした。視覚障害者が位置を認識するまでの時間が最も短かった1.4mmを採用した。紙箱の型更新時に、既存の設備へ加工を加えれば、新たに機械を導入する必要はないという。
ロッテは9月から「チョコパイ」「カスタードケーキ」「プレミアムガーナ」の一部商品に「ココヨム」を導入し、順次ほかの紙箱商品へ広げる。パウチ包装など、紙箱以外の包装形態については技術検証を進めていく。
ロッテは仕組みの統一性を保つため商標登録と特許出願を行っているが、一定の条件を満たせば使用料を取らずに他社へ提供する考えだ。宮野氏は「当社の商品だけが便利でも真の課題解決にはならない」とし、各社・団体へ理解と参画を呼びかける。
ロッテは2030年までに国内外で「ココヨム」の共創の輪を広げ、社会実装を加速する。40年をめどに日本で定着した仕組みを海外へ拡大し、50年には世界のさまざまなパッケージへの導入をめざす。







