甲信食糧、GX魚加工工場を甲府市内に竣工、環境負荷低減に注力

屋上の地中熱プラントと中込社長
屋上の地中熱プラントと中込社長

山梨県の業務用食品卸、甲信食糧は2月、地中熱エネルギーと工場からの排熱エネルギーを利用したGX魚加工工場を甲府市内に竣工した。経済産業省と環境省の助成を受けて、環境負荷低減に注力。人手不足が進む中、ホテル・外食・給食における魚加工工程を引き受け、地域の食事提供を支える。

工場は、山梨県甲府市国母6-6-1に建設した。敷地面積は約610平方メートルの2階建てで甲府地方卸売市場と隣接している。側には国道20号線が通り交通の便も良い立地だ。

中込武文社長に新工場の特徴を尋ねると、GXが挙がった。GXとはグリーントランスフォーメーションの略称。化石燃料(石炭・石油)を使わず、クリーンなエネルギーの活用で温室効果ガスの排出削減を目指す取り組みを意味し、世界で注目を集めている。

中込社長は「日本政府も2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、今後10年で150兆円を超える官民投資を見込んでいる。これから企業を選ぶ際には、その企業のGXへの姿勢が問われるだろう。当社も選ばれる企業になるため、GXに注力した」と語った。工場では、地中熱、廃熱、太陽熱の3つのクリーンエネルギーを採用している。

地中熱は、東京スカイツリーや東京国際空港国際線ターミナルの冷暖房設備や歩道の融雪・凍結防止等に利用されているが、食品工場では初めての試みだという。工場では、地下17メートルを掘り、太いパイプを通して地下水の温度(15℃程度)を採熱し、空調や床の冷暖房や給油に活用している。地下水の温度は季節関係なく一定なので、夏場では冷却までのエネルギー消費を、冬場では 加熱までのエネルギー消費を効率よく抑えることができる。また、従来はそのまま捨てられていた工場からの排水からも再熱し、再びエネルギーとして工場の冷暖房に再利用している。これら地中熱と廃熱の利用で年間CO2排出量は約62%削減、年間消費電力は約75%節電できるという。

GX工場のエネルギー循環(イメージ図)
GX工場のエネルギー循環(イメージ図)

中込社長は「20年ほど前から当社は地域の資源を活用した商品開発や地産地消に取り組んできたが、今回の新工場完成を機にエネルギーの地産地消にも取り組みを深める」と意気込みを語った。

工場では、要望に応じて各種切身加工、味付け、調理、盛り付け、梱包を行う。ホテル・旅館、スーパー、通販、学校給食と、各業態の求めに応じて、オーダーメイドで請け負う。魚種は白身魚から、青魚、鮭類、赤魚、山梨県産の魚・・・とありとあらゆるものを揃え、納品形態もバラ詰めと真空パック、冷凍、チルド・・・と柔軟に対応。

中込社長は「人手不足などにより、どの食業態でも厨房における細かな加工ができなくなっている。その中で、何かお手伝いできることはないかと考え、魚加工を考えた。2月の内覧会やスーパーマーケットトレード・ショーでは、とても反応が良く、多くのお求めをいただいた」と語った。

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2019年には、東京五輪に向けて、日本栄養士会の鈴木志保子副会長監修『アスリートとスポーツ愛好家のためのレシピ』。
2020年には、平成30年間の給食業界の動向をまとめた「平成時代の給食から令和へ」。
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2022年には、「給食とSDGs」。
2023年には、「次世代に伝えたい学校給食」。

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