ONODERA GROUP、新潟で38haの稲作事業 地元農家を雇用、初年度200トン計画
外食・給食事業等を手掛けるONODERA GROUPが、新潟県関川村で稲作事業に参入している。地元農園の従業員を雇用し、約38haの農地を自社農場として運営する。初年度は約200トンの米の生産を見込む。5月8日に現地を取材すると、農家の雇用安定と生産性向上を図りながら、直播栽培や衛星画像、AIなどを活用した農業にも取り組んでいた。
近年、米価の上昇や米の供給不安を背景に、外食・給食企業の間では、米を安定的に調達するため、稲作事業への参入や契約農家との連携を強める動きがみられる。
ONODERA GROUPは、2024年12月から関川村の伊藤農園と連携してきた。今回、伊藤農園の全従業員をONODERAファームが雇用し、同農園が管理していた約38haの農地を自社農場として運営する体制に移行した。

元伊藤農園社長で、ONODERAファーム米生産事業本部新潟事業部執行役員に就いた伊藤賢氏は、「米作りに専念できるようになった。毎月決まった給与が支払われることで、豊作や不作、米価の変動に従業員の生活が左右されにくくなった」と話す。
農家を企業の従業員として雇用することで、収入の安定や休暇を取りやすい環境を整え、農業の担い手確保につなげる考えだ。
同社は、生産現場の負担軽減や気候変動への対応を目的に、新しい栽培方法やデジタル技術の導入も進めている。
その一つが、水田に種を直接まく直播栽培である。苗を育てて田植えをする一般的な方法に比べ、育苗や田植えにかかる作業を減らせる可能性があるとして、一部の圃場で試験を始めた。
高温や水不足への対応としては、植物の生育を助ける農業資材「バイオスティミュラント」も試験的に導入した。今回はビール酵母由来の資材を使用し、発芽や発根への影響についてデータを収集する。効果については今後検証する。
圃場管理では、衛星画像とAIを使い、農地ごとの地力の違いを把握するシステムを導入した。トラクターや田植え機などの農機にはセンサーを取り付け、作業記録や収量、食味、農機の状態などをデータ化する。
収集した情報を基に、農地ごとに農薬や肥料を散布する時期や量を判断し、ドローンなどを使って散布する。従来、農業者の経験や勘に頼る部分が大きかった作業をデータとして蓄積し、再現性を高める狙いがある。
ONODERAファームの畑裕之社長は、「データを実際の作業に落とし込み、経験のない人でも稲作に取り組めるようになれば、若い世代が農業を始める際のハードルを下げられる」と話す。
同社は、将来的に関川村での作付面積を約100haまで広げ、約500トンの生産を目指している。今後は、試験的に導入した栽培技術やデジタル技術の効果を検証しながら、生産体制の拡大を進める考えだ。







