外食3月期 上位10社中9社が営業減益・赤字

◎食材価格・人件費高騰が収益圧迫

外食企業の2014年3月期業績が出揃った。営業利益ベースによる増益は45社中17社で、円安の進行による食材仕入れ価格の高騰、人手不足を起因とする人件費の上昇などコストアップアップが利益を押し下げた。対売上高営業利益率の平均は2・5%で、前期(3・7%)より1・2ポイント下回っている。

本紙は主な上場外食企業の15年3月期決算をまとめた。それによると増収は45社中29社で昨年と同数(昨年は44社中29社)。営業利益ベースによる増益は17社で、昨年より10社減った(同27社)。

外食産業における消費税増税の影響は限定的だったものの、食肉を中心に輸入食材価格が高騰、光熱費などエネルギーコストも上昇、採用難から人件費も高騰するなど、前期決算以上に様々なコストアップが、収益を圧迫した。減益企業は23社で、赤字は3社。消費税率のアップや食材価格の高騰を反映し価格改定を実施するなど客単価は上昇傾向で、客数の落ち込みをカバーした。

上位10社のうちトリドールを除いた9社が営業減益(8社)・赤字(1社)となり、大手にとっては厳しい決算となった。トップのゼンショーホールディングスは、「すき家」「ココス」「ジョリーパスタ」「はま寿司」の既存店売上高が前年を上回ったものの、「すき家」の一時的な営業休止、牛肉価格をはじめとする食材価格の上昇などによる影響額が大きく、営業利益は69・3%減と前年を大幅に下回った。

前期に続き、居酒屋業態は、既存店売上高の減少に歯止めが掛からなかった。コロワイドはカッパ・クリエイトホールディングスの第4四半期が連結されたことで売上高が2ケタ増も、輸入食材価格の値上がりに加え、「甘太郎」などの居酒屋業態の苦戦で、営業利益は2ケタ減。またワタミの国内外食事業の既存店売上高は6・6%減と前年を大幅に下回り、「和民」など100店舗の撤退も実施した。

上位10社のうち、唯一増収増益となった「丸亀製麺」を主力に展開するトリドールは、肉盛りうどんなどの高単価商品が好調、既存店の躍進を導いた。

一方FFでは、日本KFCホールディングスが、微増収もピザハット事業の不振で、営業利益が63・2%減となった。キャンペーンの強化で販管費が増加、円安による食材コストの増加も加わり、同事業の減損損失は約4・8億円を計上。ただしチキンの国産化を進めたKFC事業は、不採算店の整理、店舗の再配置で1店舗当たりの収益を改善したことで、既存店売上高が3・1%増と前年を上回った。モスフードサービス「モスバーガー」も既存店売上高は前年超えとなったが、売上原価の上昇が営業利益の2ケタ減を招いた。

中堅企業でも大幅減収の企業が目立つ一方、サンマルクホールディングス、あみやき亭は営業利益率が10%超と、高い収益率を達成。売上高、営業利益ともに2ケタの増収増益となったのは、サトレストランシステムズ、あみやき亭、ジー・テイスト、WDI、エー・ピーカンパニー、アスラポート・ダイニングなど。