テクニカン「凍眠生酒」発売、旭酒造・南部美人など全国26の蔵元とコラボ、搾りたての味を冷凍で楽しめる

テクニカン「凍眠生酒」
テクニカン「凍眠生酒」

瞬間凍結機「凍眠」を手掛けるテクニカン(横浜市都筑区、山田義夫社長)は5月19日から、凍らせた搾りたての生酒「凍眠生酒」36銘柄の販売を開始した。

日本酒「獺祭」で知られる旭酒造(山口県岩国市)の「獺祭 純米吟醸磨き三割九分寒造早槽」や、南部美人(岩手県二戸市)の「南部美人 スーパーフローズン」、天吹酒造(佐賀県三養基郡)の「天吹 あいらぶすし 生 スーパーフローズン」など、全国26の蔵元とコラボレーションした36銘柄を展開する。解凍しながら味わえるため、解凍途中の風味の違いも楽しめるという。

テクニカンが展開する冷凍食品セレクトショップ「TOMIN FROZEN(トーミンフローズン)」のECサイトや横浜の実店舗で購入できるほか、東京・中目黒にある居酒屋「まこちゃん中目黒店」でも提供している。今後は他の飲食店でも取り扱えるようにするほか、扱う蔵元や銘柄の拡大や、冷凍した日本酒の海外輸出も視野に入れているようだ。

横浜「TOMIN FROZEN」店舗で行われた「凍眠生酒」発表会の様子
横浜「TOMIN FROZEN」店舗で行われた「凍眠生酒」発表会の様子

5月18日に行われた発表会で、テクニカンの食品事業部長である前川達郎常務取締役は「なかなか楽しめなかった搾りたての味を、家庭や飲食店だけでなく、世界中でも楽しめる」と語った。

生酒は、一度も火入れをしていない日本酒で、酵母や微生物が生き続けているため、常温で保存してしまうと酵母や微生物が活発に働き、味わいが変化していくという。そのため、冷蔵で保管するのが一般的で、賞味期限は未開封で製造年月から半年ほどと言われている。

冷凍保存しようにも、従来の冷凍技術の場合は水とアルコール分が分離してしまい、味が大幅に劣化してしまうだけでなく、凍結時に水分が膨張して瓶が破損してしまうことがあるため、蔵元では日本酒を冷凍するという文化はなかった。

しかし、急速冷凍装置「凍眠」の使用で水分の膨張を抑制できるため、瓶は割れず、アルコールと水分の分離は非常に少ないため、搾りたての味わいを楽しめる。また、解凍する途中で舌触りなども変化するため、その過程での味の違いも感じられる。また、生酒の熟成が好きな人は冷凍酒を解凍してそのまま数か月冷蔵庫で保存しておけば、その間に風味の変化を感じることもできる。

また、生酒の海外輸出にも期待が寄せられている。物流量の観点から蔵元1社では負担が大きいものの、複数の蔵元で一緒に輸出できれば海外進出のハードルを下げられる。

〈冷凍と搾りたての生酒の差はほぼ無し/南部美人調べ〉

冷凍した日本酒について南部美人の久慈浩介社長は発表会で、「みぞれ酒などとは違う、生酒の品質そのままの味わい」と話す。南部美人のサイトで公表している、岩手県工業技術センターで実施された冷凍日本酒の官能検査の結果によると、搾ったばかりの生原酒と、瞬間冷凍した生原酒では数値的な差はほとんどなく、冷凍のほうが穏やかになったという評価だったという。

また、流水で急いで解凍したものと、ゆっくり解凍したものとの味の違いはなく、半年間冷凍したものと、瞬間冷凍せずに同じ期間マイナス5度の冷蔵庫で冷蔵したものを比較分析すると、冷蔵貯蔵はイソアミルアルコールやアセトアルデヒドなどの劣化成分が増えたのに対し、冷凍貯蔵は品質が安定していたことが分かった。久慈社長は「(冷凍は)時を止めて、距離をゼロにできる技術。感動を分け与えられたら」と期待を寄せた。

急速冷凍装置「凍眠」はアルコールによって一般的な急速冷凍よりも食品を速く凍らせられるという。解凍後も食品の味や風味の劣化を低減でき、凍結前の鮮度のまま産地から消費地へ輸送できるなどのメリットがあるようだ。

◆冷凍食品セレクトショップ「TOMIN FROZEN」ECサイト

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昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
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