共同船舶、くじら肉無人販売店「くじらストア」本店オープン、月島もんじゃストリートにて冷凍自販機でくじら製品販売、5年以内に100店舗目指す

同船舶・所英樹社長と「くじらストア」
同船舶・所英樹社長と「くじらストア」

共同船舶(東京都中央区)は8月18日、鯨肉商品を販売する自販機無人店舗「くじらストア」本店をオープンした。場所は、東京・月島の人気スポット「月島もんじゃストリート」。こうした無人店舗を、今後5年以内に100店舗まで増やす目標を掲げる。

共同船舶は世界で唯一、母舟式捕鯨を行っている国内最大の捕鯨会社。2023年1月から、鯨肉商品の自販機無人店舗を首都圏に3店舗(東京・大井町、東京・糀谷、横浜・元町)、関西に1店舗(大阪・梅田)の計4店舗を設置。24時間いつでも鯨製品を購入できる自販機による無人店舗「くじらストア」を展開してきた。

「くじらストア」では、冷凍自販機で刺身用の最高級部位・尾の身や赤身、本皮、ベーコンといった冷凍商品を、常温自販機で希少部位の須の子を使った缶詰などドライ商品を販売している。

今回オープンした5店舗目となる「くじらストア」本店は、立地が豊洲市場に近く、東京都中央区豊海の共同船舶本社にも近いことから、鯨肉の主要な販売拠点となる。また、捕鯨の認知拡大や理解促進を目的とした情報発信機能を充実させ、「本店」としての役割を担う店舗に位置づける。

従来店舗は白い内装で、鯨肉自動販売機の設置をメインとしていたが、「本店」では店舗内でパネルを用い、普段は知る機会の少ない捕鯨方法等、視覚的に学べるスペースを設置し、販売だけでなく捕鯨への認知拡大も図っていくという。

〈鯨肉の販売チャネル縮小に対応、消費者交え商品開発にも着手〉

8月18日、「くじらストア」本店で所英樹社長が報道陣の取材に応じた。

所社長によれば、一部の広域大型量販店や通販サイトでは、今でも反捕鯨団体による妨害に怯え、鯨製品を一切取り扱っていない現実があるという。そうした抑圧された販売環境により売場が縮小されたため、どこで買えるかという問い合わせも増えているそうだ。共同船舶では、鯨肉を扱わない大型量販店の近隣エリアを中心に今回のような無人店舗を設置する計画で、今後5年以内に100店舗を目標に出店を進める考えだという。

また、共同船舶では2023年、「鯨を食べて若返ろう」「(鯨は)100年とってもだいじょうぶ」の2つのキーワードで鯨肉のプロモーションを展開する。

前者については、従来から共同船舶が行っている訴求を、よりシンプルなメッセージで表現したもの。

後者については、SDGsの観点も含めて訴求。日本では、国際捕鯨委員会(IWC)で合意された厳格な管理方式で捕獲枠が割り当てられており、これを守れば「100年間捕鯨を続けても鯨は1頭も減らない」というお墨付きが与えられている。また、食物連鎖の頂点に君臨する鯨だけを保護していると、生態系のバランスが崩れ、水産資源の減少などで人類の食糧問題・海洋生態系の観点からも問題となることが想定され、「鯨を食べて海のSDGsに貢献しよう」と呼びかけているという。

一方で、自販機で販売する商品の開発でも取り組みを強化。商品開発においては、消費者を交えて消費者の意見を反映させた開発に着手しており、2024年春にはその取り組みによる商品を投入することを予定。今後は自社ブランド「くじらの王様」の商品ラインナップを充実させる。さらに2023年秋には、同ブランドの売上の一部を鯨の生息環境の保護に取り組む慈善団体に寄付する取り組みも開始するという。

所社長は「くじらストア」展開の意図について「我々は原料会社であり、当店だけでなくどの流通経路でも、鯨肉が普及すれば良いという考えがある。必ずしも当店で買ってもらえなくても、露出を増やし鯨肉の知名度が上がることを意図して取り組みを進める」など話した。

なお、共同船舶では今期、アイスランド産の高品質なナガスクジラを使ったステーキハウスの開業も計画しているという。

〈冷食日報2023年8月22日付〉

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昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
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