日東ベスト 新社長に嵯峨氏、ユーザー・消費者視点から商品・サービスの質向上に挑む

日東ベストは6月25日の定時株主総会後の取締役会で、塚田莊一郎氏を代表取締役会長に、嵯峨秀夫氏を代表取締役社長執行役員に選定した。日配食品事業で黒字化を達成した実績を持つ嵯峨氏は、「ユーザーや消費者の視点から、商品・サービスの質を高めたい」と述べ、現場感覚を生かした改革に意欲を示した。
嵯峨社長は入社42年目の65歳。2001年から爽健亭に出向し、日配食品に24年間携わってきた。2020年、海外事業本部長に就任(現任)。2022年からは、ベトナムにおける日配惣菜等販売事業を手掛けるジャパン・ベスト・フーズの法定代表者も務める(現任)。
6月26日に都内で開かれた記者会見で、塚田会長は嵯峨社長について「日配部門を長くやってきた。爽健亭とジャパン・ベスト・フーズを黒字化した実績がある。その能力を本体の日東ベストで発揮してほしい」と紹介した。
嵯峨社長は「業務用の冷凍食品の製造・販売の経験はほとんどないが、日配は結構、冷凍食品を使うため、ユーザーや消費者寄りの視点から、会社の商品・サービスの質を改善し、会社を変えたい」と意気込みを語った。これまでも、自社商品が使いにくいと思うことがあったという。
「ユーザーは、袋の大きさや開けにくさ、入数の多さなどをとても気にしている。弁当関連だけでなく病院・福祉施設なども同じ悩みを抱えている。そうした悩みを聞き取って、少しずつクリアすることでお客様の要望に応えたい」と力を込めた。
聞けば、爽健亭もジャパン・ベスト・フーズも、競合メーカーがやりたがらない少し手間がかかる仕事にあえて取り組むことで、お客様からの信頼を獲得、黒字化したという。「特に、大胆な合理化をしたわけではない。お客様のニーズに応えれば、自然と黒字化する」と持論を語った。
自社の強みについては「十分な設備を持った生産能力と、工場と直結した山形県下の開発部門だ」と話す。一方、課題は「強みが100%、お客様に伝わっていないところだ。大げさに言えば、壁を取り払い、風の流れを良くして、より良い商品がお客様にスムーズに届けられるようにしたい」と語った。
経営全般は嵯峨社長が主導し、塚田会長はその後ろ盾をしながら、山形県の地域貢献活動に注力する。