ファミリーマート、冷凍麺が好調 話題性のある商品提案進める【コンビニ冷食の今#3】

「香酢が効いた旨辛たれビャンビャン麺」
「香酢が効いた旨辛たれビャンビャン麺」

ファミリーマートの冷凍食品事業は、直近で数量・金額ともに前年を上回り推移している。汁なし麺シリーズに「香酢が効いた旨辛たれビャンビャン麺」を投入し、若年層を中心に支持を獲得したほか、積極的なキャンペーン展開により購買層を拡大しているという。商品本部デリカ食品部の久野康之マネジャーに聞いた。

ファミリーマート 久野康之氏
ファミリーマート 久野康之氏

――貴社の推移は

当社の冷凍食品事業は非常に好調な推移が続いている。その要因には、中食などの価格が上がってきているなかで、冷凍食品の手軽さや価格の優位性が評価されているということがある。当社の冷凍食品は中高年層の男女をメインターゲットとしてきたが、話題性のある商品を投入することで、若年層の支持を得られていることも追い風になっている。

〈汁なし麺新商品とパスタ値下げが奏功〉

――カテゴリ別の動向は

最も調子が良いのは中華麺やパスタといった冷凍麺で、当社の冷食事業を押し上げていると言っても過言ではない。

中華麺では特に汁なし麺シリーズが好調に推移している。昨年の9月から発売している「香酢が効いた旨辛たれビャンビャン麺」は、冷凍食品の売上では「麺屋こころ監修台湾まぜそば」に次ぐ2位にランクインするなど、堅調に売上を伸ばしている。同品の話題性に乗っかり、「麺屋こころ監修台湾まぜそば」や「もちっと麺と濃厚だれの汁なし担々麵」など、他の汁なし麺の買い回りも増えている。

パスタについては、今年2月に値下げを実施した。中食のパスタの値段が上がってきているなか、女性を中心に気軽に利用していただきたいという想いから、規格を見直し298円という手ごろな価格にリニューアルした。この施策が奏功し数量が伸びたうえ、結果的に金額も前年を上回るなど好調に推移している。

中食との棲み分けについては、パスタを購入しているお客様を分析し、店内競合しない形での展開を進めている。例えば、冷凍は女性、中食は男性の購入者が多いことが分かったため、冷凍では女性向けに量目を減らしたほか、そのままレンジアップできるトレーを採用することで即食需要に対応している。

――冷凍野菜・フルーツの動向は

冷凍野菜は簡便性の高さや用途が消費者に広まってきた。様々な容量での商品展開など、提案できる商品の幅はまだまだあると感じている。

冷凍フルーツは、アイスからの代替などでそのまま食べる文化が浸透し、バリエーションも増えてきた。去年のタンフルブームで一気に認知が広がり、その勢いは今も続いている。当社でも伸びているカテゴリで、今後も追い続けたいと思っている。

――PB「ファミマルPREMIUM」の販売戦略は。

現在、冷凍食品では「じゅわっと肉汁国産豚の大焼売」「じゅわっとジューシー国産豚の大餃子」「薪窯で焼き上げたピッツァマルゲリータ」の3品を展開している。アイテム数は現在と大きくは変えずに、スポットで投入していく方針だ。プレミアムブランドの展開は差別化として重要なことだと思っていて、指名買いされるような商品を打ち出していきたい。

――注力されている取り組みは。

当社の冷凍食品を手に取ったことがない人に向けて引き続き販促を行っていく。

量販の冷凍食品の認知度は上がってきているが、コンビニでも購入してもらうためのきっかけを、キャンペーンや売り場づくりで提案していきたい。

例えば、毎週金曜日に冷凍食品を2個買うと50円引きになるキャンペーンを2年にわたって続けており、冷食売り場を見てもらうための誘引策として大きな成果が出ている。

同キャンペーンには女性の客層をしっかり取り込みたいという意図もあり、実際に支持をいただけている。金曜日は全体としても販売数が伸びるうえ、併買される商品も通常の日には見られないような商品が上位に来るなど、色々トライアルしていただいており、当社としても手ごたえを感じている。金曜日の売上の伸び率は、2年経った今でも当初と変わらないぐらい高く、キャンペーンの存在が浸透してきていると思う。

また、今年度は大容量商品を店頭ポップで訴求した。枝豆、ブロッコリー、チャーハン、おこわ、うどんなど当社でもコアとなる商品をラインアップしている。冷凍食品売り場は店頭ポップの訴求が目立ちづらいこともあり、ポップとともに塊で展開することで売り上げの上乗せにつなげていく。

〈若年層向けにチャレンジ性のある商品を展開〉

――今後の展開は。

新規顧客、特に若年層の人の目に留まるような話題性のある商品や販促提案を行っていく。既存の冷凍食品の枠にとらわれず、先述したビャンビャン麺のようなチャレンジ性のある商品を今後も打ち出していきたい。

――コラボなどの展開予定は。

11日に、プライベートブランド「ファミマルKITCHEN」から「元祖スタミナらーめん すず鬼 スタ満まぜそば」を全国で発売した。東京都三鷹市の行列店「元祖スタミナ満点らーめん『すず鬼』」の監修商品で、冷凍食品のコラボ商品は当社では初めてとなる。

「元祖スタミナらーめん すず鬼 スタ満まぜそば」
「元祖スタミナらーめん すず鬼 スタ満まぜそば」

麺は噛み応えのある極太麺を使用し、ソースには、刻みとおろしの2種のニンニクと濃口醤油ソースをあわせた。別添のガーリックオニオンパウダーを加えることで、監修店のジャンクでインパクトのある味わいを楽しめるようにしている。アブラとローストオニオンによる後引くコクと甘さも特徴となっている。

新商品の発売にあわせ、「ファミペイ」会員限定で対象の冷凍汁なし麺が30円引きとなるクーポンも配布している。

〈冷食日報2025年11月17日付〉

媒体情報

冷食日報

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
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