ニッスイ家庭用冷凍食品、ワンプレート「まんぞくプレート」が大幅伸長/新規性ある丼メニューを投入し、さらなる活性化へ
ニッスイの家庭用冷凍食品事業2025年度実績は、市場の急成長に合わせて、ワンプレート「まんぞくプレート」が前期比50%増と大幅伸長となった。さらなる活性化に向け今春、新たに投入した丼タイプも堅調に推移している。今年3月に就任した家庭用食品部の村田達哉部長に、同事業の業績動向と今期の重点施策などについて聞いた。
――前期を振り返って
25年度家庭用調理冷食の売上高は、前期比0.6%増の414億円、数量ベースで6.2%減となった。カテゴリー別では、販促効果もありワンプレート「まんぞくプレート」シリーズが大きく伸長し、金額ベースで50%増。主力の焼きおにぎりは、価格改定の影響もあり同じく金額ベースでは前年越えも、数量ベースでは前年割れとなった。米価高騰を背景に、前期は2回価格改定を実施しており、その影響が数字に表れた。麺類で主力の「ちゃんぽん」類は、新商品「黒マー油豚骨 ちゃんぽん」の投入効果もあり、金額ベースでは前年越えとなった。米価高騰で米飯類から麺類への移行が見られたことが追い風となった。
一方、苦戦したのは春巻、コーンクリームコロッケなどの弁当類で前年割れとなった。数量ベースでも前年を割れており、米価高騰の影響が要因の一つと分析している。コメの価格が上がったことで、昼食時に手作り弁当を持参する人が減少、またコメの替わりにパンや麺類をメインに手作りする人も増え、必然的に、弁当用のおかず商材の売れ行きが落ち込んだ。当社の売り上げ構成比は、弁当類の占有率が高いため、ワンプレートと焼きおにぎりが前年越えを遂げたものの、弁当類の落ち込みが響き、トータルでの数量減につながった。

――ワンプレートが伸びている要因は
市場自体が急成長を遂げていることが最大の要因だ。当社の分析では、単身世帯の増加に加え、複数世帯でも個食が増えており、そうした層にワンプレートが支持されている。父親の帰宅が遅く、子どもは塾があるため先に夕食を済ませるなど、一人で食事を摂る「家庭内個食」が増加傾向にある。夫婦と子どもの複数世帯でも、家族全員で食事を囲む場面がかつてより減少している。そうなると、ごはんとおかずがバランス良く揃い、トレーのままレンジで温めるだけで一食が完成するワンプレートのニーズは高く、引き続き市場は成長する見込みだ。
当社が「まんぞくプレート」は発売したのは22年秋。釜で炊いた白いご飯とおかずのセット商品として投入し、一気に反響が高まったのが、24年春の「ふっくらごはんとカツカレー」の発売だ。ワンプレートにボリューム感を求める男性に支持され、大きく売り上げが伸びた。同シリーズはこれまで、豚肉の生姜焼き、チキン南蛮など肉系のメニューを多く揃えてきたが、魚系を求める声があり、昨年は「同 たらと野菜の黒酢あん」を発売。スタート時は男性をターゲットに投入したが、今後は徐々に商品の幅を広げていきたい。
――焼きにおにぎりも好調だった
主力「大きな大きな焼きおにぎり」シリーズの活性化に向けて、24年度から「ご当地おにぎり」を投入している。昨年は人気フレーバーの「九州甘口しょうゆ味」の再登場や、新フレーバーの「名古屋八丁味噌味」を発売し人気を集めた。また昨年は、「もち麦と五穀米が入った梅ひじきおにぎり」など健康軸の商品も投入し、おにぎりカテゴリー全体のラインアップを強化したことが功を奏した。競合するコンビニ各社では、米価高騰を受け、おにぎり製品を200円前後まで値上げしている。1個当たりに換算すると、当社商品に割安感があり、一定以上、支持されていると見ている。
――足元の家庭用市場全体の動向は
25年度の市場は、金額が伸長、数量も前年を達成した。
一方、SCI(全国消費者パネル調査、インテージ調べ)よる足元4~5月の数字では、金額は前年同期比2%増、数量ベースでは、前年並みとなった。当社は金額ベースでは前年並みとなっている。昨年は、各社とも複数回にわたって値上げを実施してきており、その影響が表れ始めているようだ。値上げが徐々に消費者に浸透してきており、買い控えが進む様相だ。
加えて、懸念は中東情勢の悪化によるナフサ不足だ。6月時点で、包材メーカーが概ね3割程度の値上げを行うとの報道があったが、当社へも同程度の影響が出ている。7月以降についても先行き不透明な状況が続く。当社では、納品用の段ボールにかける結束バンドを2本から1本に削減しており、細かな点も含めて、包材不足への対応を進めていく。
――今期の重点施策について
今後も単身世帯は増えると見ており、ワンプレートを重点施策に位置付けている。今春の新商品では、「まんぞくプレート」に新規性のある丼タイプ「まん福どん おだしの香るかつ丼」を発売し、好調に推移している。
丼タイプは、他社商品で洋風メニューはあるものの、和風や男性をターゲットとしたアイテムは少なく、新たな需要創出を狙い投入したもので、引き続き拡充を検討していく。
またここ数年、魚惣菜の強化を掲げて相次いで商品を投入しており、今春は「今日のおかず」シリーズに「レンジでできる さばの塩焼き」「同あじの梅しそフライ」など焼き魚とフライ計3品を投入した。魚のフライ製品については、家庭で調理するシーンが減っている一方で、量販店の惣菜売り場ではアジのフライが上位にランクインするなど安定した人気を誇っている。そうしたニーズを捉えようと、当社が得意とする魚加工品技術を生かして開発したもので、市場への定着化を目指す。

――今後の方向性について
一番の課題は、ナフサ不足を筆頭とするコストアップだ。9月にも価格改定を予定している。こうした背景もあり、数量アップに向けて、面で売り場を獲得する提案を強化していく方針だ。前述の「ちゃんぽん」や「大きな大きな焼きおにぎり」のように、定番品に加え、新たなフレーバー品を投入することで、シリーズ全体の配荷拡大に繋げていく。また内容量や具材を見直すことで価格を維持するなど、消費者の理解を得られる範囲で、価格改定を抑制する取り組みも合わせて実施していく。
生産面では、12月に最新技術を駆使した「スマートファクトリー」を掲げる北九州工場が竣工する予定で、生産体制の強化も図る。
コスト上昇に加え、中東情勢の悪化も要因に、食品業界全体で、引き続き価格改定が進むとみられる。給料が上がらない中、物価だけが上昇しており、消費者のバスケット単価はさらに低下していくだろう。そうした中で、選ばれる商品は、価値ある商品だと考える。いかに価値を提案できるかということがポイントになり、ワンプレートも価値があるからこそ市場が伸びている。価格改定を行っても、それに見合う価値を付けることができれば、引き続き支持されるだろう。そういった商品の開発を進めていく。
――最後に新部長としての意気込みを
当社の強みは、水産、冷食、チルド、常温など事業領域が多岐に渡る点だ。強みを生かして、今後成長が見込まれるカテゴリーへと注力していくことで、我々の持つ長所を最大限生かせると考える。家庭用食品部の戦略方針は、新しい価値の創出、新しい売り場の構築、新しい消費者意欲の創出で、社内外のコミュニケーションを充実させ、事業の収益拡大につなげていきたい。
【冷食日報2026年7月1日付】







