「需要は堅調も、厳しい状況。増税と価格転嫁が課題」洋酒輸入協会年会見

日本洋酒輸入協会は14日、恒例の年末会見を東京・広尾テラスモルチェで開催した。米井元一理事長(写真)は、今年を振り返り概略以下のように述べた。

今年の洋酒輸入業界を振り返ると、一言でいえば「ハードリカーもワインも需要としては、まあまあ良かった年」と言える。経済情勢では、中国経済減速による不安もあるが、国内では多くの企業で経常利益が最高益を記録しており、企業の業績好調は当面続くと思われる。一方で、個人の消費支出は後半、0.4%程度の増加が見られるとはいえ、食品などの値上げも相次ぐ中、単純に上昇傾向であるとはいえないと思う。

酒類全体の需要もほぼ前年並みないしは微減という統計値だが、輸入洋酒は10月までの輸入通関統計でも、ウィスキーが前年比24%増、2L以下のワインでは4%増と、需要面では「まあ良かった年」と表現できると思う。ただ、それが会員各社の経営にも影響しているかと言うと、実態はそうでもなかったように思う。

ドルを中心とした為替の影響、材料費のUP、物流経費の影響や、店頭価格を軸とした商品構成の変化に伴う収益寄与度の下方転換など、需要の伸びをそのまま享受できたわけではないのが実態だ。

来年の経済環境を考えると、GDPの伸びは増税前の駆け込み需要を含んでも、1%台前半と言われる中、我々、洋酒輸入協会会員各社の関心は、「需要」である。今年のトレンドは続くと見込まれる中、ワインも国別は別として微増は続くのではないか。ウイスキーも原酒不足という問題があるなかでも、消費者の再評価が定着したように思う。

問題は消費税10%の影響だ。酒税の税制改訂は来年見送られほっとしたが、再来年には実施となる恐れがある。我々としては断固反対の立場だが、いずれにせよ消費税増税の問題はマイナス要因となるだろう。

ふたつめは、インポーターの経営にとって、為替の変動と消費税10%になった時の価格転嫁がスムーズにいくかどうかである。一方、TPPの発効が具体的にいつになるかは見通せないが、輸入酒業界にとっては明るいニュースとして、早期の実現を願う。