ニチレイフレッシュ ブランド豚肉「ごまんてん」本格販売スタート、ゴマ配合飼料で「セサミン」摂取、新たな健康価値食肉

ニチレイフレッシュ、新ブランド豚肉「ごまんてん」ロゴ
ニチレイフレッシュ、新ブランド豚肉「ごまんてん」ロゴ

ニチレイフレッシュは4月から、新たな「健康価値食肉」のブランド豚肉として、「ごまんてん」を本格的に販売開始する。

飼料にごま油の製造過程で発生するゴマの搾りかすなどを給餌して育てた豚肉で、ゴマ由来の健康成分「セサミン」を摂取することができる。味わいも、一般豚に比べてコクがある濃厚な仕上がりながらも、しつこくなく、脂肪の口溶けが良い、アッサリとした後味が特徴だ。

3年間の研究を踏まえ、2022年5月から出荷を開始。一部先行販売を経て、2023年度から本格的なブランディング活動を展開していく方針だ。ニチレイフレッシュが展開する「亜麻仁の恵み」シリーズと同様に、こだわりの「健康価値食肉」として販路を拡大していく。

ニチレイフレッシュは、畜産事業で「健康価値食肉」を掲げて生活者の健康に役立つ畜産品の開発に取り組んでいる。その主軸となる「亜麻仁の恵み」シリーズ(牛肉・豚肉・鶏肉)は、健康素材「亜麻仁」由来の成分を飼料に配合することで、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスを改善した食肉として訴求している。今回発売する「ごまんてん」も「亜麻仁の恵み」と同様に、他の食肉と比較して脂質に優位性があるというコンセプトで訴求していく。

ゴマを給餌する技術は、1990年代から大学や研究機関で研究されていた。それによって背脂肪が薄く抑えられるという効果が知られてきたが、ニチレイフレッシュでは、食味への効果に着目し、「セサミン」が脂肪へ移行できれば、「亜麻仁の恵み」と同様のコンセプトの豚肉を展開できるのでは、との着想から研究を進めたという。脂質の組成や融点の変化は、ひいては豚肉の味わいや品質にも影響するためだ。ゴマは比較的輸入量も多く、日本人に親しまれてきた食材のため、この取組みを大規模化し、消費者にとって身近なブランド豚肉として販売につなげたいとの思いもあった。

これまで研究されてきたものは、主にゴマ(すりごま)そのものを飼料に配合して給餌するものだった。これに対してニチレイフレッシュはゴマの搾りかすに着目、2019年度から北海道の酪農学園大学の協力のもと、ゴマの搾りかすを与えることで味わいや機能性成分がどのように変わるのか給餌試験をスタート。2020年度には、豚肉の脂肪に「セサミン」が移行し、味わいも良化していることが実証され、中部飼料と共同事業契約を締結し、「ごまんてん」の本格生産を開始した。

実は中部飼料でも、ゴマを採卵鶏に与えて「ごまたまご」としてブランド展開しており、独自にゴマを豚へ給餌する研究を開始していたという。結果、両社が目指している方向性が一致し、共同で取り組むことに至った。

具体的には、ニチレイフレッシュが「ごまんてん」のブランド開発やマーケティングを、中部飼料が飼料プログラムの設計や飼料供給など生産部分を担い、さらに肉豚の飼育管理と食肉加工製造は、香川県の(株)七星食品(本社:さぬき市、東原寛二代表取締役)で行っている。

開発に携わった畜産第二グループの松原夏月氏は、「これまでの開発では、機能性成分の移行を安定させることが非常に難しかった。ゴマの食い込みも畜種や個体によって異なるため、いかに均質化させる点も課題だった。ゴマの搾りかす以外にも一部粉砕したゴマを与えているが、ゴマ自体、食品メーカーなどからの引合いがかなり強く、原料を確保することにも苦労した」と振り返る。

「基本はLWD(三元豚の主流品種)だが、どのような品種が『セサミン』が効率良く脂質に移行するのか、生産成績が最も高い種豚は何か、給餌する期間はどの程度が最適なのかといった研究開発を中部飼料ととxもに継続し、向こう3年ぐらいかけてベストな生産体系を確立していきたい」と松原氏は語る。

2022年5月から「ごまんてん」の出荷が開始され、現在は1週間当たり30~40頭規模の出荷ペースという。生産開始と同時に、得意先の量販店に提案を進めてきた。畜産第二グループの赤羽俊彦氏(ポークチームリーダー)は、「試食を通じてバイヤーの方に『ごまんてん』の特徴や『健康価値食肉』のコンセプトを提案している。味わいについても、非常に味が濃く、うま味があるという評価を頂いている。『セサミン=健康価値』 といったコンセプトが非常に面白いと、興味を持たれるお客様が増えている」と手ごたえを感じているという。
xブランディングを展開するにあたって、アンケート調査も実施した。「“おいしさ”と“健康”という部分をバランスよく伝えることが最も重要だという点を認識した。『ゴマ』『セサミン』といったワードが比較的、中高年層の女性によく響いたことが判明し、スーパーだけでなく、食肉専門店やデパート、通信販売など、さまざまな形で食肉を購入している人が、品質面や安全性、機能性に対して非常にポジティブに評価する傾向にあることも分かった。こうした調査結果を踏まえて、販売戦略を磨き上げていきたい」(赤羽氏)という。

すでにブランドの商標も登録し、販促資材も制作しているという。赤羽氏は、「『ごまんてん』は、ニチレイフレッシュの健康価値訴求食肉のひとつの柱としてブランド展開をしていく。豚肉の食味やおいしさも欠かすことはできない要素だが、生活者にとって『健康価値』というニーズも、これからますます高まってくると確信している。そこに選ばれる商品となるべく提案していきたい。その意味で、いまは、お客様を捉えて『ごまんてん』としてしっかり販売することができる基盤づくりを進めている段階だ。そして、この春からはフェアなども開いて本格的な販売ができれば」と抱負を語る。

〈畜産日報2023年4月10日付〉

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