【令和6年6月の需給展望 牛肉】目立つイベント少なく末端需要は苦戦予想、荷動きはスソ物中心、輸入牛肉のコスト高でホルス堅調

外食・地方需要を中心にゴールデンウィーク(GW)期間中の末端消費はまずまず動いたが、連休明け以降の末端需要は日を追うごとに悪化した。5月末時点では、ロースなどの高級部位の動きが止まり、売れ筋は切り落とし用の低級部位という状況となった。GW以降も、夏日の日が多かったものの、やはり消費者の生活防衛意識が強く、輸入品を含めて単価の高い牛肉の消費は伸び悩んだ。このため、5月末の枝肉相場は、和牛去勢A5は2,400円台を維持したものの、A4は2,000~2,100円で推移、5月の相場としては過去10年で2014年(平均1,875円)に次ぐ安値となった。これに対して交雑種は去勢B2の場合、4月には1,500円台を付けるなど加熱相場となったが、5月も1,400円半ばと堅調を維持した。

例年、6月は梅雨入りで需要が低迷し、相場も下げに向かう時期となる。ことしは全国的に平年よりも遅めの梅雨入りと予想されているが、「父の日」以降はこれといった販促イベントもなく、ことしの6月は厳しい相場展開となりそうだ。

〈供給見通し〉

農畜産業振興機構の牛肉需給予測によると、6月の成牛出荷頭数は8万3,600頭(前年同月比6.0%減)としている。このうち、和牛が3万9,000頭(同4.0%減)、交雑種が1万9,500頭(7.6%減)、乳用種2万3,900頭(7.2%減)といずれの品種も減少が見込まれている。今後の枝肉相場の動向次第では出荷控えの動きが出てくるものとみられる。牛個体識別情報によると、乳用種去勢は9,200頭程度とみられ、前年の1.1万頭を大幅に下回るとみられる。

一方、6月の牛肉の輸入量は、チルドが1万5,900t(3.6%減)、フローズンは2万6,900t(0.8%減)と見込まれている。末端需要が弱いなかで、円安と外貨高の影響で供給量は限定的で、各パーツ相場はさらなる高値が予想される。

〈需要見通し〉

5月の連休明け以降も夏日が続いたことで、週末は焼肉用も比較的動いたようだ。それでも、下旬になるにつれて鈍化し、末端需要はスソ物の切り落としや煮込み用などが中心となった。交雑、乳用種のロースは、「母の日」のステーキでソコソコ動いたものの、こちらも下旬になると一服、浮遊玉も散目されるようになった。6月に入ってもこの傾向は続いており、今後は梅雨入りも控えるため、よりスソ物中心の展開になると予想される。とくに和牛はブリスケやモモ系に需要が偏り、パーツ相場も高値を維持しているものの、不振のロースは価格対応でしのぎ、カタロースは年末に向けた凍結回しで荷を回している状況だ。ホルスは輸入牛肉のコスト高からロースを除いて引合いは堅調だが、出回り量が限られるため、既存の顧客への販売で精一杯となっている。そのため、交雑の下位等級を提案するものの、GW前の状況とは異なり、一部は豚肉・鶏肉に需要が流れている。6月から食品や電気料金、医療費の値上がりで家計の負担が大きくなっており、梅雨入りと相まって、牛肉の販売は例年よりも厳しいと予想される。「これだけ和牛の枝肉相場が下がっているのだから、末端も思い切った売価で売らないと」(卸筋)と、需要喚起を求める声も。

〈価格見通し〉

6月の枝肉相場は、最近の需給の動向から見る限り、「相場の上げ材料は乏しい」との悲観的な見方が多い。ただ、「GW前にかけて、ようやく相場が追い付いてきたため、6月は何とか価格を維持して、7月以降の需要期に持っていきたい」という声も多く、実需と関係なく枝肉相場は一定レベルを維持する可能性もある。こうした状況からすると、6月の平均相場はやや軟調も、和牛去勢A5等級で2,400円前後、A4で2,100円前後、A3で1,900円前後、交雑種去勢B3で1,500~1,600円、同B2で1,400~1,500円、乳雄B2で1,000円前後と予想される。

〈畜産日報2024年6月5日付〉

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