新商品「お~いお茶 新緑」で働く女性のニーズ取り込み/伊藤園

伊藤園「お~いお茶 新緑」
〈フレッシュでやわらかな“新しい味わい”〉
伊藤園は、緑茶飲料「お~いお茶 新緑」(470mlPET/税抜140円)を5月1日から発売する。フレッシュでやわらかな“新しい味わい”で、女性や若年層の獲得を図る。

国産一番茶を100%使用することで、爽やかなやわらかい香りと甘くすっきりとした後味にし、苦味や渋味を抑えるため、一番茶の凍結茶葉を一部使用し、水に近い低温で抽出する工夫も行っている。容器は、店舗のLEDの光から品質を守る新形状のボトルを採用した。

広告宣伝では、5月1日から女優の久保田紗友さんを起用した新製品のテレビCM「深呼吸」篇を放映するほか、WEB広告や100万本規模のサンプリング活動を展開予定。7日からは交通広告も行う。

新製品発表会には女優・久保田紗友さんが登場

新製品発表会には女優・久保田紗友さんが登場

〈女性のニーズは「フレッシュ」「ナチュラル」など〉
同社専務取締役の社三雄マーケティング本部長によれば、国内の女性雇用者数は、1985年に1548万人だったが、2016年には2531万人まで増加している(出典:総務省「労働力調査」)。

働く女性の増加により新しい市場が生まれたことは、飲料業界や小売業界に影響を与えている。緑茶飲料のユーザー構成比は男性が約65%、女性が約35%であり、女性にもっと飲んでもらえる活動が重要となる。

伊藤園によるインターネット調査では、働く女性は仕事や育児、家事などで日常的にストレスを感じている人が81%にものぼるという結果だった。そこで、女性が求める緑茶飲料を調べたところ、フレッシュさや体に良くてすっきりしていること、自然を感じるナチュラルさなどのニーズが高かったという。伊藤園は、一番茶100%を使用することと、新たに導入した低温抽出により、お茶の持つ旨み成分であるテアニンを多く含んだ「お~いお茶 新緑」を展開し、「リフレッシュを提供していく」考えだ。

雇用者数と共働世帯数の推移(伊藤園)

雇用者数と共働世帯数の推移(伊藤園)

〈緑茶飲料市場は3年連続で拡大 要因に各社の“女性向け”提案強化〉
緑茶飲料市場は、2017年に約4400億円となり3年連続で拡大中。これまで最も売り上げの高かった2005年の4470億円に次ぐ実績となっている(伊藤園調べ)。

好調の要因は、飲料各社が緑茶飲料で女性に向けた提案を強化していることも大きい。16年3月に大幅にリニューアルした「キリン 生茶」は、茶葉をまるごと味わえるような味覚の実現によるリピーターの獲得と、斬新でおしゃれな手に取りたくなるボトルにより、女性層を中心にパッケージ飲料以外からのユーザーの流入が大きかった。今年5月にカフェインゼロ緑茶飲料「キリン 生茶デカフェ」をリニューアルするのも女性ユーザー獲得を図る施策となっている。また、コカ・コーラシステムが2月に発売した「綾鷹 茶葉のあまみ」は、あまみの強い茶葉を厳選し、低温で抽出した緑茶飲料。こちらも女性から人気の高い商品だ。

清涼飲料市場全体では、500mlペットボトルのコーヒーや炭酸水が注目されているが、無糖茶ナンバーワンブランドの「お~いお茶」から、女性のニーズを狙った全く新しい商品が発売されることで、無糖飲料を代表する緑茶飲料市場への注目も高まってきそうだ。

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