コーヒー飲料市場、再栓容器がショート缶に迫る 500mlPETが女性や若年層呼び込み

コーヒー飲料市場で500mlPETが大きく伸長、再栓容器がSOT缶に迫っている
コーヒー飲料の市場は、今年1~9月の累計実績がほぼ前年並みで推移している。ただ、容器別の構成比では地殻変動が起きている。16年には、長年主流だったSOT(ステイオンタブ)缶の販売数量を、再栓できるボトル缶とPET(大容量含む)の合計で上回った。パーソナルサイズだけで捉えても、再栓容器はSOTに迫る勢いだ。
パーソナルサイズコーヒーの時代変遷

パーソナルサイズコーヒーの時代変遷

パーソナルコーヒー市場の約6割の販売構成比を占める185gのSOT缶(ショート缶)商品は、健康志向による“糖離れ”や、休憩時の過ごし方などの変化もあり、今年は前年比で10%程度減少した。一方、大きく伸長したのは500mlPET商品で、同20%以上増加している。これは、昨年の「クラフトボス」のヒットもあり、飲料・コーヒー各社が今春から相次いで参入したため。その影響で、PETと同じく再栓できるボトル缶の商品は同10%減少したが、コーヒーやミルク感の強さで独自価値を出せるため再成長の可能性はある。

また、900mlPETは、猛暑や新たな飲み方提案もあり、継続伸長を続けている。秋冬も注力し通年商材化を進める。再栓できるという、現代の飲料の基本スペックを満たすPETとボトル缶の商品が、コーヒー飲料市場を牽引していきそうだ。

清涼飲料の市場全体の容器構成比(2017年度)は、PETボトルが72.6%で、缶は14.1%にすぎない。だが、コーヒーにおいては、PETボトルが28.0%、缶は62.2%あり、同カテゴリーにおける缶の構成比は突出して高い。生活者の中でも比較的若い世代は、96年から500ml以下のPET飲料が普及したことにより、子どもの頃からPETに慣れ親しんでおり、飲料で再栓できる価値は当たり前になっている。そのため、コーヒー飲料においてもPETやボトル缶の容器構成比が高まるのは当然だろう。

コーヒー飲料等の生産量と販売金額の推移

コーヒー飲料等の生産量と販売金額の推移

〈飲料各社、500mlPETコーヒーに参入 「クラフトボス」を追う〉
今年は、500mlPETコーヒーで飲料各社の参入が目立った。これは、昨年発売された「クラフトボス」(サントリー食品)が、飲みやすい味わいと新容器の採用により、若年層と女性に支持されてヒットしたことが大きい。「クラフトボス」は今年も手を緩めず、6月には「同 ブラウン」を投入。10月からはホット商戦に、「同ブラック」「同ラテ」「同ブラウン」のフルラインアップで挑む。

コーヒー飲料等の容器別生産量推移

コーヒー飲料等の容器別生産量推移

「クラフトボス」を追いかけるのは、4月に発売された「ジョージア ジャパン クラフトマン」(コカ・コーラ)。水出し抽出コーヒーによる香りとコクのバランスの良さが特徴。10月からホット商品も展開する。

UCC上島珈琲は、香料を使用せず、水出し抽出法を独自技術で開発した「UCCブラック コールドブリュー」を3月に発売。ホット商品も10月から展開。デカフェの「ビーンズ&ロースターズマイルドラテ」も4月に投入している。

昨年から同カテゴリーに参入していた「タリーズコーヒー」(伊藤園)は、進化させた「同 スムースブラック」と、無糖ラテ「同 スムースラテ」を10月15日に発売する。

ほかにも、味の素AGF社は、アラビカ種100%を使用し、若年層を中心に訴求する「ブレンディ タグゴー」を6月に発売。アサヒ飲料は、コーヒーに茶葉を掛け合わせた新発想の「ワンダ TEA COFFEE」(525ml)を4月から展開。一風変わっているのは、キリンビバレッジの「世界のKitchenから 麦のカフェ セバダ」(600ml)。原料にコーヒー豆を使わず、大麦を使ってコーヒーの製法を取り入れた。

これほど一気に各社が特定カテゴリーに参入するのはまれであり、参入障壁が低いとはいえ、缶コーヒーの持続的成長に危機感を持っていたことがうかがえる。

〈今秋はSOT缶に注力の動きも〉
一方、この秋は、SOT缶に注力するメーカーが目立つことも特徴だ。一人でも、ある時には仲間と一緒に、つかの間の休憩時間におけるリラックス(一服)に寄与でき、ヘビーユーザーが最も多いカテゴリーでもあるため、今秋は新商品の投入やWEB動画の積極展開を行う企業が多い。

「ジョージア」(コカ・コーラ)は、深い、強い飲み応えの「同グラン微糖」を9月に発売。例年、秋は「同エメラルドマウンテンブレンド」に注力してきたが、缶コーヒーユーザーのニーズに真正面から応え、全く新しい商品を発売した。

サントリー食品は、最新鋭の焙煎機を導入したサントリーコーヒーロースタリー海老名工場を7月に竣工し、缶コーヒーでさまざまな味わいを提供できるようになったという。9月発売の「ボス ザ・カンコーヒー」にも同焙煎機で焼き上げた豆が使用されている。

「ワンダ」(アサヒ飲料)は、9月に「プレジデント オブ ワンダ」の発売とともにキャンペーンを強化し、人生を楽しく応援する前向きなブランドであることを訴求する。

「キリン ファイア」は、LINEと連動した自販機サービスから得たビッグデータをもとに、ユーザー像を想定。微糖と無糖を軸に、ニーズに合わせた商品と広告展開をスタートしている。

ボトル缶では、「タリーズコーヒー バリスタズ ブラック」(伊藤園)が、ブレンド内容を若干変更し、香りを高めた。ボトル缶市場を再活性化するねらい。

ポッカサッポロは、浅煎り焙煎のフルーティーな味と香りが楽しめる「カフェ・ド・クリエ 北欧コーヒーブラック」(ボトル缶)を9月から発売している。

コンビニエンスストアの春夏時期のコーヒー飲料棚は、新興のPET商品の専有面積がヘビーユーザーの多い缶商品を上回るチェーンが一部あり、業界内で話題になった。

ただ、トレンドを先取りしすぎた感もあり、ユーザー数や買い上げ点数と、アイテム数にギャップが生まれていた。コンビニ各社の秋冬展示会で確認する限り、PETはホットの新商品提案が目立ったものの、SOT缶とボトル缶の品揃えが増えており、10月以降は缶商品が盛り返しそうだ。

〈食品産業新聞 2018年10月8日付より〉