スリランカ(旧セイロン)の紅茶ブランド「ディルマ」(Dilmah)が注目されている。茶葉の栽培から収穫、製造までを現地で一貫して行い、産地発ブランドならではの高鮮度が特徴だ。日本国内でも愛飲者が増えており、2018年の売上高は2005年比約440%と大きく伸長した。

現在、「ディルマ」の日本総代理店を務めるのは、ワルツ(愛知県豊橋市)だ。同社は1952年の創業。自社焙煎したコーヒーを中心に製菓・製パン材料、食材などの卸売販売、直営店舗「ワルツ」での小売事業等を展開している。さらにグループ会社デイリーカフェ&フーズでは「珈琲家 暖香」「珈琲家 牧歌」などの喫茶店を愛知県内中心に直営、FC(フランチャイズ)含め10店舗以上展開している。三代目の片桐鉄也社長は、「当社は戦後間もない時代に、コーヒーが人々の生活を豊かにするという思いの下に創業した。コーヒーロースターから始まり、時代の変化やお客様のニーズにあわせて業容を広げる中で、豊かなカフェ文化を創りたいという考えに至り、各事業を通してそれを実現してきた」と話す。
「ディルマ」日本総代理店・ワルツの片桐鉄也社長

「ディルマ」日本総代理店・ワルツの片桐鉄也社長

同社が「ディルマ」の日本総代理店業務を継承したのは2005年のこと。取引先から「コーヒー同様、鮮度にこだわった紅茶が欲しい」という相談をうけたことがきっかけだった。一口飲んで、そのおいしさに魅了されたという。「喫茶文化を語るうえでは、紅茶も重要な嗜好品だ。質重視のコーヒーと紅茶を提案し、喫茶文化を盛り上げていきたい」(片桐社長)。
 
一般に日本でも人気の大手紅茶ブランドは、インドやスリランカなど茶葉の産地と、ブランドを管理する国とが異なる場合が多い。このため世界中で収穫した茶葉をヨーロッパなど第三国に集めてブレンドし、その後、消費国へ発送しているため、摘採から製品化には平均8カ月ほどかかるといわれる。
 
一方、「ディルマ」は他国産茶葉をブレンドせず、スリランカ国内で茶葉の収穫から製品化まで行うため、摘採から4週間前後で製品化されるという。「このスピード感によって、渋くない紅茶を提供できる。収益は現地へ還元されるため、スリランカの人々の暮らしの持続的、自律的な発展にも貢献できている」(ディルマ紅茶販売グループ井村誠氏)。
 
当初は売り上げが伸びず、苦しい日々が続いたが、「歴史ある大手ブランドが市場シェアの大半を占める紅茶市場で後発として提案するからには、他社とは異なる販売戦略が必要と考え、業務・家庭用共に紅茶好きの消費者が集まるルートに絞って提案を始めた」(井村氏)。すると、エアラインや外資系ホテルで採用されるようになり、徐々に配荷が拡大していく。
 
6年前から導入している「世界の銘茶コレクション ディルマ t-シリーズ」はホテルの客室やラウンジ等での紅茶の要望に幅広く応えらえる品揃えが特徴。18年の売り上げは前年から約70%増と好調だった。
 
片桐社長は、「訪日外国人の増加や東京五輪、大阪万博等の国際的なイベントが続くのは当社にとって追い風とみている。『t-シリーズ』を中心とする業務向けの高品質ラインの拡充に努めるとともに、小売ルートの開拓にも力を注いでいく」とする。