サントリー「BOSS」好調、2020年はレモンティー、エナジー、“イエナカ”に注力

「クラフトボス」新商品(スペシャルティ微糖・レモンティー)
サントリー食品インターナショナルの「ボス」は、“働く人の相棒”をテーマにしたブランド。昨年は飲料総市場が夏場の天候要因などで98%となった中、「ボス」ブランドは前年比104%の1億1180万箱を達成した。各社が苦戦している185g缶を中心としたショート缶においても、購入者数を増やす試みにより前年並みを維持している。

「ボス」の成長を牽引するのは、ペットボトル製品の「クラフトボス」である。昨年からはコーヒーの枠を超えて紅茶カテゴリーに進出したところ、購入者数が17年比で230%となり、販売数量も3400万箱を突破した。

今年は、3月3日に新微糖コーヒーの「クラフトボス スペシャルティ微糖」(500mlPET/170円税別、280mlPET/124円)を、4月21日から「クラフトボス レモンティー」(500mlPET/160円)を発売する。

「クラフトボス レモンティー」は、シチリア産有機レモン果汁を使用し、低温長時間抽出と高濃度アロマ抽出で、すっきりした甘さの透きとおるレモンティーに仕上げた。これまで紅茶飲料のなじみのなかったオフィスワーカーに向けて投入する。

同社常務執行役員食品事業本部の柳井慎一郎ブランド開発事業部長は2月19日の発表会で、「昨年の紅茶飲料500mlPET市場は、前年比122%となったが、その増分の65%は“クラフトボス”によるもの。新商品は、甘すぎるといった既存レモンティーへの不満を解決するとともに、デスクワークなど、仕事中の飲用増を目指す。カフェなどでレモンティーを飲まれる方々の嗜好を意識した味わいにしており、新しいお客様にアプローチしたい」と話した。

缶商品では、30~40代向けのエナジードリンク「サントリー アイアンボス」(250ml缶/150円税別)を3月17日に発売する。既存のエナジードリンクが10~20代を中心に飲用されていることから、ストレス過多の30~40代男性のニーズに合った商品設計にし、GABA配合&アルギニン・ビタミンなど栄養設計を強化している。味はコーヒーでなく、栄養感のある王道のエナジードリンク味にしたという。コミュニケーションでは、宇宙人ジョーンズを起用したWEBムービー・広告のほか、コンビニエンスストア発売時は、100万本規模の無料引換券のキャンペーンを実施する。

家の中で楽しむ“イエナカ”コーヒー市場に向けては、濃縮タイプ飲料の「ボス カフェベース」(340mlPET/278円税別)を3月10日から発売する。ラインアップは、ラテとブラック兼用の「無糖」、「甘さ控えめ」、「贅沢カフェインレス」と、ラテで楽しむ「焦がしキャラメル」、「紅茶ラテ」の5種類。

「ボス カフェベース」シリーズ

「ボス カフェベース」シリーズ

これまでは、「ボス ラテベース」として牛乳と割って楽しむラテイプを展開していた同社だが、ラテもブラックも楽しめる味わいに進化させた。また、これまでの4倍希釈を5倍希釈とし、容器を小さくしてさらに持ち運びやすくしている。
 
同製品の開発背景について、執行役員ブランド開発事業部の佐藤晃世副事業部長は、「共働き世帯は年々増加し、また、時短製品で生まれた時間を使って豊かに過ごすという意識は、あらゆるカテゴリーのキーワードになっている。当社が展開してきた“ボス ラテベース”は、昨年の実績が16年比で約8割増になるなど大きく伸長している。今後は、働き方の多様化がより進み、家は単にくつろぎの場所にとどまらず、テレワークやフレックスタイムの導入で、家を拠点に仕事をする人も増え、イエナカとイエソトのボーダレス化が進むだろう。そこで、“イエナカしごと”の際にリフレッシュできるコーヒー(ブラック)を提案するため、ラテもブラックも対応できる“ボス カフェベース”を発売する」と話した。

サントリー食品インターナショナル 佐藤晃世執行役員

サントリー食品インターナショナル 佐藤晃世執行役員

なお、佐藤執行役員は、今年から同社ブランド開発事業部の副部長に就任したが、それまでは酒類(チューハイ・低アル・ノンアル)歴15年の経験を持ち、酒類で“イエナカの豊かさを追求”してきたことで知られる。今後、酒類での経験をどのように清涼飲料に活かしていくかについては、「一人のお客様は、家の中で、お酒も飲むし、お茶もコーヒーも飲まれる。その意味では、“時短+豊かさ”というのは全て共通だと思っている。私がお酒を担当していた時に取り組んできたレモンサワーは、お店の味を家で簡単に楽しめる商品であり、今回発売する“カフェベース”と根底は似ている。お酒担当の時代の経験から、家の中でどんな風に豊かにできたかということを“ボス”にも取り込み、お客様、接点、飲用機会を増やしていきたいと考えている」と話した。