デジタル新時代のエナジードリンク「ZONe(ゾーン)」、10~20代のデジタルネイティブ層へ訴求 β版は大学・ネットで話題に

エナジードリンク「ZONe(ゾーン)」
エナジードリンクは、飲料の中で急成長しているカテゴリーだ。「レッドブル」、「モンスター」が市場をけん引し、2019年は「コカ・コーラエナジー」などの新商品も登場して、活性化している。ただ、2020年5月にはそれらのメジャーブランドに割って入りそうな強力なアイテムが登場する。デジタル新世代のエナジードリンクとして展開する「ZONe(ゾーン)」だ。500mlという容量と、eカルチャーなどへの“没入”状態を切りたくないというニーズに応えた取り組みが特徴となっている。

「ZONe」は、これまでの常識を覆す商品設計で、エナジードリンクでは珍しく、たっぷり容量の500ml缶。5月12日の正式発売前からβ版を2019年12月から、Amazonと大学生協で展開し、Amazonではエナジーカテゴリー新着ランキング1位(※2019/11/28調べ・ZONe βVer.0.8.5 6本パック)を記録するなど、各販売カ所で圧倒的な人気を誇ったことから、春の目玉商品として注目されている。

2アイテムあり、黒の通常版(ZONe Ver.1.0.0)はエナジー味で、赤は“ZONe FIREWALL(ファイアウォール)Ver.1.0.0”の名称で、こちらもどこかで飲んだことのあるような、若者にとって原体験のある味に仕上げたという。価格は税抜190円。

デザインのパッケージの中央に描かれたマークは、PCの起動スイッチのボタンを模したもので90度右に傾けた。製造はサントリー食品インターナショナル。

商品名は、スポーツ選手などが試合でハイパフォーマンス・好成績を残したときの状態を「ゾーンに入った」と表現することを参考にしたという。「ZONe」の担当者は、「10代~20代の方々は、パソコンやタブレット、スマホに囲まれているデジタルネイティブであり、モニター従事者といえます。仕事では無我夢中にやり終えたい、遊びでは今この瞬間を全力で楽しみたいという声が多く、目の前に“没入”したい、“没入”状態を切りたくないというニーズに応える“没入”できるエナジードリンクを新提案します」とする。

なお、フレーバー品の「FIREWALL」は、インターネット用語から着想を得て、“外部からのノイズを断つ超没入エナジー”が商品名の由来になっている。

当初500mlという容量は、量が多すぎて飲みきれるのかという不安もあったそうだが、事前調査では「作業中の飲み物なので量は多くてOK」、「多いときは2本買うので、コスパが良い方がいい」との意見が多く、91%が飲み切ったと回答したという。

機能設計では、アルギニン750mg、カフェイン75mg、パラチノース5g、ぶどう糖20g、ビタミンB群が含まれる(1本あたり)。パラチノースが入っていることが特徴だ。

コミュニケーションも、既存のエナジードリンクとは異なる手法で展開する。これまでのエナジードリンクは、モータースポーツやエクストリームスポーツ、ロック音楽など、フィジカルの限界に挑むカルチャーをサポートしてきた。一方、「ZONe」は、eスポーツやアニメ・漫画、デジタル系の音楽など、没入状態が必要なカルチャーをサポートし、デジタルカルチャーを複層的に押さえ、深くターゲットに入り込む戦略で、熱狂的なコアファンを生み出す施策を展開する。

エナジードリンク「ZONe」

エナジードリンク「ZONe」コミュニケーション

発売前から、動画やSNSで話題作りに取り組み、5月12日の発売後からは、YouTube、Twitter、Line、Twitch、Instagram、pixiv、Tonamel、TikTok、AbemaTVなどで、主要ターゲットである10~20代男性や、デジタルのゲーム、音楽、アニメに関心のある層にアプローチする。
 
「ZONe」戦略の特徴であるβ版の販売は、飲料ブランドとしての新たな挑戦だ。デジタルサービスやアプリ開発の手法では見受けられるが、なぜ、飲料で試したのか。担当者は「最終調整段階において、市場でテスト販売することでお客様の直の声を吸い上げました。その結果、“インパクトが少ない”“もっとエナジー感のある味にしてほしい”といった意見が寄せられ、今回の正式発売時の中味設計では、アルギニンを増量し、よりエナジーとしてパンチのある味にバージョンアップを図っています。パッケージも国産飲料製品としては初めて、全体(シェル、タブ)が黒色の、ステイオンタブ仕様缶蓋を採用(※サントリー調べ)し、よりブランドの世界観にあわせて進化させました」とする。
 
「ZONe」のコンセプトは、「圧倒的においしく、誰でも手軽に没入できるデジタル新世代のエナジードリンク」。容量、商品開発の手法、コミュニケーションまで、すべてがこれまでのエナジードリンクと一線を画した新エナジーは、デジタルネイティブの新世代に受け入れられるか注目したい。