「コカ・コーラ」350mlPET・700mlPETを全国展開へ、スーパー・ドラッグの導入店舗では売上2割増/コカ・コーラシステム

「コカ・コーラ」350mlPET・700mlPETを全国展開へ
〈“飲み残しはもったいない”、食品ロス削減の意識からも浸透〉
コカ・コーラシステムは、自宅で飲むのに“ちょうどいいサイズ”として、「コカ・コーラ」350mlPET・700mlPETを3月29日から全国のスーパーマーケット、ドラッグストア、ディスカウントストアで発売する。また、シリーズ品の「コカ・コーラ ゼロ」と「コカ・コーラ ゼロカフェイン」も350mlPET・700mlPETを展開する。

炭酸飲料の小型サイズは、500mlPETの展開が中心だったが、自宅で飲む際に500mlは多くて飲み切れないという声があったという。そこで、コカ・コーラシステムは少子高齢化と少人数世帯の増加を踏まえ、2020年1月から東京都のスーパーやドラッグストアなどにおいて、1人でおいしく飲み切れる350mlPETと、2〜3人でシェアするのにぴったりな700mlPETを「コカ・コーラ」で提案した(9月以降に神奈川、埼玉、千葉県の店舗でも導入)。

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その結果、日本コカ・コーラ社によれば、350mlと700ml製品を導入した店舗は、導入しなかった店舗に比べて売り上げ金額が約2割増えたという。メインユーザーの30-40代の購入頻度が増えるとともに、“自分でも飲み切れるサイズが出た”ということから60代や10-20代の流入が増加した。“飲み残して余らせるのはもったいない”という食品ロスの視点からも生活者から“ちょうどいいサイズ”として認識されたようだ。

メーカー希望小売価格は、350mlで税別120円、700mlで税別195円。導入店舗での実勢価格は、割高に感じられない価格設定にされているケースが多く、導入店での販売動向は順調だ。

そもそも、なぜ350mlPETと700mlPETをスーパー、ドラックストア、ディスカウントストアで展開するのか。それは、コンビニや自販機で購入する人は、“その場ですぐに飲む=即時消費“が多く、スーパーやドラッグストアで購入する人は、 “家に持ちかえって飲む=将来消費”の方が多いことがある。同社によれば、家で飲む量は、外での即時消費より飲用量が少ないことがわかったため、おいしく飲み切れるサイズとして350mlPETを展開し、少子高齢化と少人数世帯の増加も考慮し、2人用の700mlPETを展開するに至ったという。

店頭の様子

導入した店舗の店頭の様子

 
日本コカ・コーラ社の調査では、購入場所によって飲む場所も変わることがわかっており、コンビニエンスストアは、「買ってすぐ飲む」70%、「持って帰って飲む」29%、「その他」 1%。自販機は、「買ってすぐ飲む」 90%、「持って帰って飲む」10%。スーパーマーケットは、「買ってすぐ飲む」27%、「持って帰って飲む」72%、「その他」 1%、という結果だったという。
 
つまり、コンビニと自販機はどちらで買う場合も買ってすぐ自分で飲んでいる一方、スーパーでは本来即時消費用の500mlPETが将来消費用に使われている上に、一人で飲むのにも複数で飲むのにも使われて、複数のニーズを担わされてしまっていた。それを350mlPETと700mlPETに分けることで、自分用とシェア用に特化してニーズを満たすことができるという考え方だ。
 
日本コカ・コーラ社で炭酸カテゴリーを担当する安念剛シニアマネジャーは次のように語る。
 
「2020年1月に350mlと700mlサイズをスーパーマーケットなどに導入するにあたり、500mlPET容器は当社の中でも主要な商材であるため、別のサイズに置き換えるという取り組みは一筋縄ではいかなかった。そこを熱意をもって辛抱強くお取引先と話を重ねる中で理解が徐々に広がり、なんとか東京でスタートでき、いまでは多くの店舗で採用いただくようになった」。
 
「350mlPET、700mlPET、従来からある1.5LPETという3製品を陳列している店舗の売上実績がよかったため、その状況を伝えることで理解が広がっていった。その運用結果をもとに、今度は全国で展開する。すでに導入を決めていただいている店舗もあり、これから徐々に広がっていくと思われる」
 
なお、全国展開に合わせ、「コークがなくっちゃ、はじまらない!」をキーメッセージにしたキャンペーンを3月29日から開始する。綾瀬はるかさんを起用した新テレビCM「Love 家 タイム」も全国放映する。350ml、700ml、そして1.5LPETの全国展開により、「コカ・コーラ」の家での楽しみ方や持ち帰り需要を掘り起こし、炭酸飲料市場を活性化する考えだ。