中元商戦“身内向け”傾向へ 味の素AGFは“エコで使いやすくカジュアルに”コーヒーギフトやオリーブオイル&バルサミコ酢ギフトなど展開

「AGFギフト」主力4品
中元ギフト商戦の時期になった。だが、企業間の虚礼廃止が進んだこともあり、中元・歳暮の市場規模は年々縮小している。ギフト事業に注力するメーカーは、親族など身内で贈答するユーザーの獲得に向けた製品開発を進めている。

コーヒーの「AGFギフト」と調味料・食用油などの「AJINOMOTOギフト」を展開する味の素AGF社は、2022年の中元期に向けて、生活者にとって使い勝手が良く、環境にも配慮したギフト商品を増やしている。さまざまな味わいのスティック飲料や濃縮飲料(ポーション)、そして新商品として紙容器のアイスコーヒーや菜種油(なたねあぶら/なたねゆ)などの提案だ。

会社間で贈り合う儀礼的なギフトが減り、親・兄弟など身内とのコミュニケーションのために贈るギフトが増えていることに着目したもの。多くのカテゴリーにおいて、重厚で“失敗しない”ギフトから、実用的で環境に配慮した“喜ばれる”ギフトへの転換を進めている。

2021年の中元ギフト市場は、金額で2664億円(前年比95%)、件数は6431万件(前年比95%)、単価は4118円(前年比100%)となった。贈答件数の減少が規模縮小の背景にあることがうかがえる。

中元ギフト市場の調査結果を発表した味の素AGFによれば、コロナ禍の影響で外出を控え、贈答を中止したケースが多かったと分析する。一方、帰省できなかった人が身内とのコミュニケーションのために贈答するケースは増えているという。贈答先との関係は、近親者贈答が約7割(両親・兄弟・子ども47%、親戚24%)を占めており圧倒的に多い。

そこで、味の素AGFは、贈り先のニーズに合わせ、エコで使いやすく、カジュアルでバラエティ豊かなギフトを展開している。

「AGFギフト」では、新たに紙パック容器の「ちょっと贅沢な珈琲店」ゲーブルコーヒーギフト(無糖1000ml×3本、低糖1000ml×2本)を発売する。一般的に、夏のアイスコーヒーギフトの容器は、ペットボトルや瓶が多い。紙パックを採用したのは、贈る相手の顔が見える関係だからこそ、使いやすさと環境配慮を重視したという。

AGFが市場のシェア約40%を占めるスティックギフトでは、バラエティ感を重視し、夏季限定フレーバーの「アイス宇治抹茶オレ」「アイス瀬戸内レモンオレ」を「ブレンディ」スティック アイス&ホットオレギフトのセットに組み込んだ。

また、水や牛乳で割って楽しむ「ブレンディ」ポーションアソートギフトは、深いコクと本格的な味わいが楽しめる4種(コーヒー〈無糖・甘さひかえめ〉、抹茶、甘熟苺オレベース)のフレーバーを入れた。

味の素AGF社ギフト開発グループ長の瀧川直美氏は次のように語る。「最近のギフトは、世帯構成の変化や身内への贈答が増えたことで、1杯ずつ楽しめるスティックやポーションギフトが増えている。バラエティ感を出すため、よりカジュアルで明るく、贈ってワクワクするようなデザインにしていることが特徴だ」。

なお、調味料・食用油の「AJINOMOTOギフト」では、エクストラバージンのオリーブオイルと国内製造バルサミコ酢を同梱した「オリーブオイル&バルサミコ酢ギフト」を展開する。「バルサミコ酢」は、コロナ禍の内食機会の増加により需要が拡大している。バルサミコ酢の売り上げは、2020年時に2016年比で157%まで増加しており、同社は「オリーブオイル&バルサミコ酢ギフト」を、2022年の注力商品に位置付けている。

そのほか、こめ油とアマニ油をセットにした「こめ油ギフト」や、たっぷり700g紙容器で6本入りの「一番搾りなたね油ギフト」も発売する。食用油の価格改定が報道される中、2021年から食用油ギフトの売り上げは伸長しており、今中元期も人気の傾向は続く見込みだ。

「AJINOMOTOギフト」主力3品

「AJINOMOTOギフト」主力3品