食品を主力品に据えるドラッグストアが急成長している。業界5 位のコスモス薬品(福岡市)の17 年5 月期売上高は前期比12% 増、初の5000 億円超え。食品売上高は約2800 億円で55%を占め、リージョナルSM(食品スーパー)並みの食品販売規模を持つ。福井、石川、岐阜、愛知で展開するゲンキー(福井県坂井市)も17 年6 月期売上高は13% 増。同社は来夏までに約200 店全店に生鮮品を導入し、今期売上高は23% 増、初の1000 億円超を目指す。両社ともに「消耗品を便利に安く購入できる店」を目指し、「その中に薬も化粧品も食品もある」(柴田太コスモス薬品次期社長)という。安さを支えるのは標準化によるローコストオペレーションだ。

藤永賢一ゲンキー社長は、21日に都内で行われた決算説明会で前期に生鮮品を実験導入した6店舗の売上高が3割増えたと話した。「アオキ(石川県白山市)さんが3年前から生鮮を導入して様子を見ていた。顧客も便利で当社にもできるのではないかと実験した。薬も化粧品も以前より売れ、1カ所ですべて購入できることで、ご愛顧いただいている」と話した。

生鮮品は本社隣接の福井丸岡DC(在庫型物流センター)内にPC(加工センター)を設けて供給する。扱い品目は「水産は塩干のみだが、それ以外はフルライン」(藤永社長)。今期は当初50店の新規出店を30店に減らし、投資を既存店139店への生鮮導入に振り向ける。来期は出店を50店に戻し、残りの既存店への生鮮導入を完了させる。19年春には福井丸岡DC内に新設するPC、岐阜に新設する安八RDC内のPCで2カ所の生鮮供給体制が整う。惣菜は現在外部企業に委託するが、「米飯や和惣菜などは新PCで作る」(藤永社長)という。見切りなど新たな技術が必要になるが、「生鮮のスペシャリストのスカウトを進めている。後継者問題など先行きが不安な地方SMのM&A(企業の統合・買収)も視野に入れる。当社店舗は売り場面積300坪、同じ形、同じレイアウトで標準化されていることが高速出店とローコストを支えている。SMの看板替えはしない。同業のM&Aも考えていない」という。

一方、12日に都内で決算説明会を開いたコスモス薬品の柴田次期社長は、「当社はSMではないので生鮮にはチャレンジしない」と話す。他方、「食品市場は20兆円あり、大部分をSMやCVS(コンビニエンスストア)が占めるが、当社より高く販売している店もある。質と安さを追求して(食品市場を)取りに行き、(食品)業界内でのポジションを高める」という。また、「CVSは我々にはできないことをやっていてニーズが違う存在。ただ、消耗品は店舗規模が大きい当社の方が品揃えできる。1店舗の効率を上げれば、さらに安く販売できる」とも話す。生鮮の扱いについて正反対の両社だが、高齢化やネット社会については同じ考え方だ。

柴田次期社長は、「地方は100m先のCVSにもクルマで行くので、高齢者も免許を返納できない。我々が顧客の近くに出店していくしかない。徒歩5分でいろいろなものが購入できるのが高齢化社会での我々の使命」と話す。藤永社長は、「今後はECを使えるシニアも増えるが、チルド品の購入は近隣の店舗の方が良い。アマゾンも生鮮の扱いを始めたが、うまく行くまでには時間が掛かる。その間に顧客の近くに店を増やす。大型専門店の時代ではなく、何でもある小型店の方がシニアにとっては便利だ」と話す。

コスモス薬品は西日本から東へ出店エリアを広げ、現在は愛知県まで達し、前期末の店舗数は827店。20年に関東への出店も公表する。「10万人いれば10店作って地域を面で押さえる。チェーンストアはセンターありき。最初は小型センターを作り、店が増えたら大型に替える。物流は常にスクラップ&ビルド。エリアの最終形を見据えながら、ITも駆使して一番効率の良い形に投資していく」(柴田次期社長)という。ゲンキーは徹底したローコスト化で業界最小の人口7000人で成り立つモデルを構築する。「各県でシャアトップになるまでは他エリアには出ない。4県にもまだ出店の余地はある」(藤永社長)という。