〈営業機能の高度化目指す〉
加藤産業は今期(18年9月期)、連結ベースで売上高1兆円、経常利益110億円と増収増益を計画する。

引き続き、卸売業としてのコアコンピタンスである自販力を強化する。自販力強化のため、営業マンの育成、得意先・仕入先との取組会議の開催、マーケティングサポート機能の強化に取り組み、営業機能の高度化を目指す。一方海外展開では、マレーシアの有力卸であるレイン ヒンを買収した。「ネットワーク化することで、これまでの点から面で展開できる」とし、事業としての成長を目指す。

――創立70周年を迎えた昨年を振り返って

70年まで存続できた。その先について考え、変わっていかなければならないという認識を共有した一年だった。業績については、15年度(15年9月期)、16年度と数字を思うように出せず、目の前の対策を優先してきた。前期(17年9月期)は無事に増収増益となり、遅れながらも前へ進めた。前期の経常利益は104億円となったが、過去最高の121億円(12年度)には近づいていない。13年度の114億円にも届いてない。ただ、今の我々がやれる数字が出てきた。

――今期は、売上高は大台の1兆円、経常利益110億円を計画している

創立70周年にグループ売上高1兆円を達成するという長期ビジョンを掲げていた。売上規模そのものではなく、その規模になるために必要な機能、仕組み、体制を整備する基準としていた。数字そのものにあまり意味はない。達成した先に何があるか。71年目以降、目指すべきところを模索していく。

――重点取り組みの一つである「グループ経営の強化」の成果は

成果はまだまだだが、前へ進んでいる。前期は、加藤産業各部のグループ会社への責任範囲を明確にし、一体感を出した。加藤産業の経営陣がグループ全体を普段から意識するようになった。以前はグループ会社に対して関連事業本部が窓口となり、グループ会社を管理する仕組みだったが、本体の各部がグループ会社と接点を持ってやっている。引き続き、連携とシナジー創出を図る。

グループ企業については、前期にケイ低温フーズが黒字化した。ほとんどのグループ企業の業績が底を打ち、上に向かい始めている。ただ、赤ちゃんがヨチヨチ歩きを始めたところ。走りだしたら、ガバナンスがうまくいったと言える。

〈海外事業はネットワーク化〉
――マレーシアの「レイン ヒン」を買収し、海外事業が新しい段階に入りました


レイン ヒンは300億円を超える卸売業で、これにより当社海外グループ売り上げは400億円程度になる。売上規模感がまったく変わる。中国、ベトナム、シンガポールに次いでマレーシアに進出し、ネットワーク化することで、これまでの点から面で展開できる。

海外事業を、事業として成長させるため、人員も強化している。マレーシアがスタートした段階で、日本人スタッフは日本でのサポート要員数名含む10名体制となる。日本人のスタッフが多ければいいということではない。日本での卸のノウハウ・スタイルを海外へ移転しようとしている。卸のノウハウは暗黙知の部分がある。現地スタッフと交流し、ノウハウを移していく。まずはマレーシアの足固めをしながら、海外各企業の経営サポートにより、成長を目指す。

――71年目以降、何を目指しますか

東京五輪の景気浮揚感がなくなった5年後の22年に向けて、「何」をするか考えている。5年で過去最高利益達成といった数字というより、プロセスを考える方が大事。数字は、最終的に評価されるもの。

今期は引き続き、卸売業としてのコアコンピタンスである自販力を強化する。自販力は、仕入先や得意先との取り組みと、それを生かした“つなぎ”、提案型営業、仕入先とのマーケティングパートナー的な機能などにより、売上や粗利を確保する、その根本である。自販力強化のため、営業マンの育成(提案型営業成果発表コンクールの継続、研修の再構築)、得意先・仕入先との取組会議の開催、マーケティングサポート機能の強化に取り組む。得意先もメーカーも大事にし、半歩ずつでも踏み込んでいき、営業のレベルを上げていく。

――取引先スーパーで好調店の共通点を

軸がぶれない。こんな店でこんな価値を提供したいと、お客を正面から見ている店は支持されている。既存のお客を大事にしながら、少しずつ広げている。

――オンラインショップの勢いが増しています

オンラインショップに積極展開する予定はない。当社の強みである自販力、営業力を生かせないと現時点では考えている。

――今年の見通しを

なんとなく株価が上がって一服感――これが続くか続かないか。株価が2万円を割れ込むと、気分的に冷え込むリスクがある。政治要因等、何が出てくるかわからない。何も出てこなければ、大きなぶれはないだろう。

気になるのは、人手不足のなかで最低賃金、時給が上がっているのに、必ずしも収入増につながらないこと。残業代の減少、社会保険料の増加で、可処分所得は実は減っているのではないか。正社員も同様だ。そうなると、食費を減らす人も出てくる。今年以降、働き方改革の余波が出てくる可能性がある。

――サステナビリティへの関心が急上昇しています

気運としては、昨年は特に盛り上がりを感じた。食資源という観点では必要なこと。それぞれの分野で本気で取り組まないといけないテーマである。その一環でロスの削減がある。だが、流通ロス、返品廃棄ロス、家庭内のロスも売り上げという考え方もある。経済合理性とどう一致し、どう反するのか。反するところはどうするのか。規制するくらいのことをしないと、前へ進まない気はする。

〈食品産業新聞 2018年1月1日付より〉