◎夏の冷たいスープに熱い視線

今年のスープ市場は春夏需要にも期待が高まっている。トップシーズンに入ってからは寒い日が多く、順調に推移、1月以降も好調を持続しているようだ。16年度(昨年4月~今年3月)のスープ市場は4~5%の増加で着地するものとみられる。秋冬需要が好調なことが最も大きな要因だが、今年度は引き続き、春夏需要の伸びも顕著だった。新年度となる4月以降も春の温かいスープ、夏の冷たいスープに熱い視線が注がれている。

スープ市場は野菜摂取意向の強まり、パン食の増加、朝食摂取への取組み、レンジアップ容器入りスープの普及などで着実に増加しており、16年度の市場規模は4~5%増の970億円に達すると見込まれる。総務省の家計消費では16年(1~12月)の乾燥スープの1戸当たりの購入金額は3110円で7・4%増と非常に高い伸びとなっている。

スープのトップシーズンはもちろん秋冬となるが、ここ数年、各メーカーが注目しているのが春夏需要だ。具体的には温かいスープの4~5月の需要喚起、さらに6月以降の夏は冷たいスープの成長だ。

食品業界は少子高齢化、人口減が本格化しており、簡便・健康・安心・容量容器など高付加価値化による需要拡大と需要創造が求められている。スープの場合でも野菜摂取や簡便さなどを追求しているが、もう一つが「時間差攻撃」という手法による需要創造となる。

スープはトップシーズンの6カ月(10~翌年3月)月で約6割の市場規模を持つ。家計消費の「乾燥スープ」では15年度は58%を占めた。レトルト、缶、スナックスープなども夏場が敬遠されがちだ。

そこで考え出された一つが春の温かいスープの訴求だ。14年4月の消費税増税時に、仮需の反動対策として味の素がテレビCMを放映して成果を上げた。4月で棚替えというイメージのスープに対して新風を吹き込んだ。図に示したように乾燥スープの夏場(4~9月)の購入額は06年から徐々に増加しているが、15、16年の伸びは顕著だ。

実際、東京の月平均気温(平年)を見ると、木枯らしの吹く11月(13・3℃)と4月(14・6℃)、シーズンインの10月(18・5℃)と春真っ盛りの5月(18・9℃)は大差ない。大阪、名古屋でも同様であり、4~5月の温かいスープの訴求が効果を上げたことはわかる。

さらに朝食が主となるパン食の普及、官民による朝食摂取への取組み、レンジアップ容器入りスープの普及などもプラス要因だ。

もう一つが盛夏における冷たいスープの訴求だ。牛乳などに溶かす粉末タイプとレトルトタイプが中心だが、どちらも認知が高まり、昨年は関東が天候不順でありながら、市場は着実に成長した。粉末タイプは牛乳嫌いな子供でもおいしく飲めることが、母親の信頼を得ている。レトルトタイプは大人を意識したおいしさ訴求が奏功していることに加え、簡単に野菜摂取ができる点も喜ばれている。

この他、缶スープの料理への汎用提案や和風・中華スープの味噌汁代わり需要の訴求なども春夏需要を押し上げている。