企業のサステナビリティ(持続可能な成長)の関心が急速に高まっている。

これまで日本国内ではあまり重視されなかったが、売り上げ規模だけでなく社会に対する影響を重視するESG(環境、社会、企業統治)投資が活発化していることが大きい。海外のアナリストを訪問した企業のトップがサステナビリティの重要性に気づき、日本に戻って事業戦略を見直すことは、最近よく聞くケースだ。ESG投資の拡大は、今後、社会や経済の中心を担う若いミレニアル世代の社会貢献意識が高く、サステナブルな消費に高い関心を持つことが影響している。サステナビリティ新時代の幕開けだ。

企業がサステナビリティやCSV(共通価値の創造)の必要性を感じているのは、ミレニアル世代(1980年代~2000年代生まれ)の社会貢献意識が高いためだ。デロイト・トーマツが29カ国7800人以上の1982年以降生まれに行った15年の調査では、ミレニアル世代の75%が「ビジネスは社会を良くすることより、自社の利益ばかり考えている」と感じており、また、「ビジネスは社会にインパクトを与えることができるが、現在働いている企業が自らの持つ力を十分に活用している」と考えている人は28%にとどまっている。ミレニアル世代は、企業が利益だけでなく、社会に価値を生み出せるかに強い関心を持っている。

そのミレニアル世代の意識や動向を重視しているのが、年々拡大し、世界の株式の4分の1の規模となる2541兆円を占めるまでに至ったESG投資であり、投資を受けるために企業はサステナビリティへの取り組みを強化している。また、サステナビリティは、投資面だけでなく、購買行動でも大きな要素を占めている。ニールセンの「企業の持続可能性への取り組みに関するグローバル調査」(15年実施、60の国と地域で3万人以上を対象)によれば、「持続可能性を訴求するブランドに余分にお金をかけてもよい」と考える消費者が15年時点で66%にのぼり、13年調査の50%を大きく上回った。中でもミレニアル世代は73%が持続可能な製品なら高くても購入すると回答している。

世界中で、所得水準や製品カテゴリーを問わず、自分の価値観にあったものには余分にお金をかけてもよいと考える消費者が増えていることがわかっており、持続可能性への配慮が、所得水準にかかわらず一貫して必要であることを示している。

日本では、ESG投資の活発化や、公的年金の運用を行うGPIFが今春に1兆円をESG投資にすると発表してから一気に注目が高まっている。その中でもサステナビリティの会議やセミナーなどにおいて、積極的に活動へ取り組んでいると評価を高めているのが顧客との距離が比較的近い食品業界である。

日本におけるサステナビリティの浸透に、食品メーカーの役割は大きくなりそうだ。これからの各社の活動に注目したい。

〈食品産業新聞2017年10月16日付より〉