食品産業新聞社が主催する第47回食品産業技術功労賞の表彰式が、受賞33社(34件)の代表および審査委員ら約180人が参加して11月8日午前11時から、東京・上野精養軒で行われた。

表彰式では、弊社社長の馬上直樹が受賞各社代表に表彰盾を授与、村上秀徳選考委員長が講評を兼ねあいさつした。受賞者を代表して大塚食品の戸部貞信社長が謝辞を述べた。引き続き、記念祝賀パーティーが行われた。来賓の農林水産省大臣官房審議官兼食料産業局の丸山雅章氏が祝辞を述べた。井村屋グループの浅田剛夫社長が乾杯の発声をし、歓談が行われた。

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今回は6部門の34件が受賞、部門別内訳は商品・技術部門21件、資材・機器・システム部門1件、マーケティング部門8件、国際部門2件、環境・CSR部門1件、地方発部門1件。今回、受賞した商品をみると、独自技術を駆使した新商品がヒットし、受賞につながったケースが目立った。

その切り口は例年通り、健康、簡便、おいしさが多いが、環境配慮や国産農産物振興の見地からの受賞も見られた。日本産食品の輸出や国際普及関連では国際部門の2件の他にも輸出実績が評価された商品もあった。

商品・技術部門では、健康を切り口にした「クリアアサヒ贅沢ゼロ」や「零ICHI」のビール系およびビアテースト飲料、さらに「よいとき」「ニップンセラミド」などは独自技術の成果。家庭用の簡便ニーズでは「ボンカレーシリーズ」「かけうま麺用ソース」「カンタン黒酢」などが該当する。「もう一品」シリーズは市場拡大中のチルド包装惣菜の有力商品だ。業務用でも簡便や労務軽減を可能にする「厚焼玉子(焼目入)」、おにぎり品質向上剤「ナイスライス」、「THEWORLD MEATBALL」、「日清スーパーロングシリーズ」が受賞。おいしさでヒットした商品も多い。「とろけるきなきこ」「QTTA」「豊潤あらびきウィンナー」「ゴールドブレンドコク深めボトルコーヒー」「ザ・チョコレート」「パルム」などだ。

おいしさの実現は独自技術に裏付けられている。「おからパウダー」は廃棄物の有効活用などの環境配慮、「ライスグラノーラ」は国産米需要振興で受賞。「メイバランス」は介護食市場(施設、家庭用)のヒット商品で明治から2品同時受賞となった。

資材・機器・システム部門の「せいろパック」は独自技術の電子レンジ調理品用の包装資材。

マーケティング部門では井村屋グループのあずき、エスビー食品のチューブ入り香辛料は市場の開拓が認められた。6Pチーズは新しい食べ方「焼きロッピー」を提案。「低糖質麺」「グッドバランスミート」は健康を切り口に市場開拓を実現した。宝焼酎はサワーベースという切り口で焼酎甲類の新たな提案を行った。FDスープ「tabeteゆかりの」はおいしさ、楽しさが評価された。はくばくは様々な商品開発により国産大麦の振興に貢献した。

国際部門の小林生麺はグルテンフリーめん、神明はコメの輸出拡大が評価された。他部門ながら、むらせの「ライスグラノーラ」、エスビーのチューブ入り香辛料の輸出振興も注目された。

環境CSRの「美しい国から」プロジェクトは独自販売ルートにより地方の良質食材を全国に販売する点が評価された。地方発の「ロングライフチルド・フリーズ食品」は丁寧な加工により、おいしさとロングライフ、簡便性を実現し、医療機関から一般料飲店まで販路を拡大している。


【審査委員長あいさつ 食品産業センター理事長・村上秀德氏】
審査委員長あいさつ 食品産業センター理事長・村上秀德氏

食品産業センター理事長・村上秀德氏

審査については、9月12日と10月6日の計2回実施し、1品ごと厳格な審査を行い、技術の内容、特性、他の商品・類似商品との違い、販売の工夫、独自性、また売れ行きについても吟味した上で、受賞対象を決定しました。


〈独創的技術で他社製品と差別化〉
受賞作品についての特徴、私個人の印象は、「健康」「安全」「美味しさ」は基本的に各社取り組まれている横断的な点であり、部門ごとにみると、商品・技術部門では、独創的な技術で他社製品との差別化を図ったもの、新たな簡便な調理方法を導入したものが多く見られ、また従来からある素材を特殊な技術で処理することで、かなり汎用性をもたせたもの、機能性を非常に強調したものが印象的でした。

マーケティング部門では、長年継続的な技術の開発、改良の努力を続け、一つの食品ジャンルを確立したもの、いったんあまりポピュラーでなくなった分野を新たに再構築したもの、伝統的食材の活用の範囲を拡大したものが特徴的でした。

国際部門については、コメ輸出、グルテンフリー麺の海外への展開に貢献されているという点、また環境・CSR・地方発の各部門については、地域に根差した食材を活用するというものと、地方から病院施設への給食提供に貢献されていることが、印象に残っています。

資材機器部門は、簡便化の要請に応え、応用範囲の広い加熱パッケージを提案しており、食品メーカーの様々な製品開発に貢献するものと思っています。

 

〈健全かつ力強く食品産業を発展〉
いずれも日本の国内の社会のニーズ、消費者ニーズ、構造の変化に対応する形で新たな需要を開拓しており、我が国の食品産業のたくましい適応力、技術力の高さが出ています。日本の市場は縮小傾向ですが、国内市場の中でこういう対応がますます重要なると思っています。

他方で、海外における展開が重要になっており、TPPが今後どうなるか分かりませんが、早期発効にむけて今月のAPEC首脳会議の際に大まかな合意ができるかどうか(編集部注=11か国による大筋合意となったの)、また日欧EPAも大枠合意もあり、これから詳細が固まり、それ以外にも、日米の経済関係がどうなるかもあり、いずれにしてもこうした動きの中で国際展開を図っていかなくてはならないわけで、その中で、日夜新しい技術を開発し、改良し、工夫していく日本の食品産業の強みを活かしていくことが、重要になると思っています。

そういう意味でこの賞を47回にわたり実施されていることは、食品産業全体に対する貢献だと思います。

食品産業センターは、国際的な問題なども踏まえながら様々な問題に取り込んでおり、喫緊の問題はHACCPの義務化があり、中小企業が対応する上で具体的にどうやるのかを業種ごと示すために、手引書を作る方向が示されており、当センターも作成の手伝いをしています。

表示関係では、原料原産地表示の新しい表示基準が施行され、いろいろ問題が多いものと消費者側からも事業者側からも指摘されており、移行期間として4年半がありますが、実施に当たっては問題も生ずると踏まえて、政府に対し申し入れをしていこうと思っています。

また、遺伝子組み換え食品の表示の問題については、現在検討されており、消費者の関心に応えることは一方で大切なことではありますが、科学的に安全性が確認されたものであるという前提に立てば、必要以上にビジネスが疎外されるような形にならないようにやっていくことが重要であると考えています。

日本の食品産業が非常に変化する環境の中で、健全かつ力強く発展できるように、私も努力していきたいと思っています。

〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉