新調理システム推進協会がこのほど開いた賀詞交歓会で渡辺彰会長は次のように述べた。「協会が発足して29年、当時のバブル景気の人手不足と現在の人手不足は様相が違う。当時は、お客様が沸くように来て、その対応ができないことが課題だった。手作業を機械化し、生産性を向上させなくては対応できないので、欧州で一般的だった真空調理法、クックチル、クックフリーズ等の考え方を導入しようと、海外研修を実施。帰国後、基準を作るため、この会を設立した。一方、現在の人手不足はどうだろうか。昨年、農林水産省主催の生産性向上セミナーを1年間開催して思うのは、AIやロボットは現場に必要だが、その前に人材を育てること――仕事をこなす人よりも、仕事に心を込めて料理を作る人たちを育成すること――も大事であると、痛感した。生産性を向上するためには人材育成が要である。それも正しく仕事をする人――自然に咲いている草花の匂いを嗅ぐ余裕を持ち、笑顔で接す人――を育成し、指導者にしなくてはいけない。そういう人を育てられなければ、この業界で大きな不祥事を起こすことになる」と語った。

同会では農林水産省食料産業局外食産業室の細川仁課長補佐が「外食・中食産業をめぐる情勢について」と題して講演を行った。細川課長補佐は「外食・中食産業は、調理や盛付け等、人手を要する工程が多い労働集約型産業である。生産性が低い現状を変え、持続的に発展するためには労働環境の改善に向けた取組みが急務である」とし、〈1〉労働条件の改善、〈2〉人材不足の解消、〈3〉新規需要開拓・付加価値向上の必要性を説いた。

外食産業の省力化の取組み事例としては次の2点を紹介した。1つ目は大手外食がコンベア式食器洗浄機に導入したアームロボット。労働生産性は4.6倍になり、洗浄時間を従来の2.3時間から0.5時間に削減。洗浄時の食器の浸漬・格納による腰・肩への負担や食器破損による手・指のけが、手荒れの危険が無くなり、安全性が向上したという。2つ目は弁当製造事業者が中皿容器フタかけ工程に導入したロボット。作業人数が従来30人から22人に、労働生産性は1.25倍に向上したという。

乾杯の挨拶で松屋フーズ宮腰智裕顧問は「新調理システムは大恩人だ。新調理に出逢う前まで当社は全国100店に満たなかったが、協会に入り新調理を学び、社内で横展開することで今や1,000店を超えた。食材価格と人件費が高騰しているが、備えあれば大丈夫。備えである“新調理"を大事に、外食産業をこれからも盛り上げていきたい」と述べた。

〈冷食日報 2018年2月15日付より〉