労働人口不足が様々な業態で課題となる中、多様な人材の採用と充実した人材育成が一層重要性を増している。コンビニエンスストアや外食店でも、外国人や高齢者が働く風景が増えてきているが、幅広い人材が活躍する上で、誰もが働きやすい環境をいかに構築するかが、企業の成長にとって大きな鍵となりつつある。

超高齢社会が進む中、病院・介護福祉施設における給食サービスの需要はますます高くなっており、多様な人材を採用する動きは給食業界でも活発化している。中でも、日清医療食品は今年で15回目を数える、社員の成長を目指す料理コンテストにおいて、障がいのある社員も参加する取組みを展開している。

同コンテストは8月31日に豪雨災害復興応援『広島を元気にしよう』をスローガンに、広島県の比治山大学で開催された。食事サービスの原点である「おいしい食事」をテーマに、全国の支店から管理栄養士(栄養士)、調理師、チャレンジド(障がいのある社員)の3人1組の16チームが参加し、おいしさを決める「だし」と「スープ」に重点を置いた調理に挑んだ。チャレンジドの参加には、障がいのある方もない方も互いに特別視されることなく、社会生活をともにするのが正常なことであり、本来の望ましい姿であるという理念が込められている。

調理審査では、選手間の卓越したチームワークが散見された。例えば、知的障がいのある方は難しいことは理解しにくいため、選手は平易な言葉を使用し、作業を分かりやすく伝える。聴覚障がいのある方には手で内容を伝達し、手順を確認し合う。それぞれ作業を分担し、声を掛けあい補足し合って、チームワークで一歩ずつ作業を進めていた。横浜支店のチームリーダーは「特別な配慮ではなく、相手に寄り添った行動が必要だ。内容をかみ砕いて伝えることや、声掛けも、やってよ、ではなく、お願いしますと伝えている」と語った。

審査員を務めた比治山大学健康栄養学部の寺岡千恵子教授は「3人のチームワークに感動した。リーダーは調理を進行しながら、時間を管理しメンバーに熱心に声を掛け、チャレンジドの方は作業を手際よく進めていた。心を打たれるものがあった」と称賛した。

仙台支店のチャレンジドの方は「リーダーがうまく誘導してくれて、調理作業に付いていきやすかった」と感想を述べ、中部支店のチャレンジドの方はコンテストを終えて「調理師の取得を目指す」と新たな目標を語った。

菅井正一社長は「障がいのある方を自立させ活躍する場所をどんどん作ることは大事と思い、チャレンジドの皆さんに参加してもらった。国の方針であり今の時代に沿うものである。当社には多様な方が業務に従事されており、誰もが快適に働くことができる環境づくりを目指していく」と抱負を語った。国が企業に求める障がい者の雇用率は2.2%だが、同社では2.23%。今後も積極的にチャレンジドの方はもちろん多様な人材を採用していくという。
日清医療食品・菅井正一社長

日清医療食品・菅井正一社長

優勝した仙台支店のメニューは「仙台らーはんセット」。ラーメンのデメリットである塩分過多の問題を解消し、心も身体も喜ぶ食事を提案。一般的に1杯あたり塩分6gを超えるとされるラーメンを、セットメニューで2.9gの塩分に仕上げた。かつおこんぶだしをうまく活用して食材の持つ旨みを引き出し、美味しさのシナジー効果を創出した。

優勝した仙台支店の「仙台らーはんセット」

優勝した仙台支店の「仙台らーはんセット」

リーダーの小原木裕樹さんは涙を流しながら「全支店が広島の復興を応援したいという思いで臨んだコンテストで賞をいただき大変光栄」と喜びを語り、「今後も、皆さんの料理から得られた知識や見映えのすばらしさを日々の業務に生かし、ますます努力し、16支店シナジー効果を起こし会社を盛り上げていきたい」と意気込みを語った。

菅井社長とともに優勝の喜びを分かち合う、仙台支店の選手とサポートした支店メンバー

菅井社長とともに優勝の喜びを分かち合う、仙台支店の選手とサポートした支店メンバー

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