(公社)日本メディカル給食協会は去る8月24日、「第13回治療食等献立・調理技術コンテスト」の2次審査を華学園栄養専門学校(東京)で開催した。協会が会員企業の献立作成および調理技術の向上を目的に隔年で開催している一大イベントで、1次審査の献立審査を突破した20社が2次審査の調理実技・プレゼンテーションで白熱した戦いを繰り広げた。部門は3つ。治療食部門「脂質異常症食」は10社、一般食部門「人材不足を補う省労力メニュー」は5社、行事食部門「世界を旅するお弁当」は5社。

本稿では表彰式の模様を紹介するとともに、選手がプレゼン審査で情熱を込めて発表した献立の創意工夫をまとめる。
第13回治療食等献立・調理技術コンテスト 審査結果
治療食
部門
一般食
部門
行事食
部門
厚生労働大臣賞 ニッコク
トラスト
厚生労働省
医政局長賞
LEOC 富士産業 ニチダン
日本医師会会長賞 日本ゼネラル
フード
フジ産業 日総
日本病院会会長賞 東住吉
マルタマフーズ
全日本病院協会会長賞 南テスティパル メフォス ベネミール
日本医療法人協会会長賞 メーキュー
医療関連サービス振興会
理事長賞
日清医療食品 トモ 津山商店
日本病院調理師協会会長賞 ハーベスト
日本メディカル給食協会
会長賞
馬渕商事、
エム・エム・ピー
グリーン
ハウス
シダックス
フードサービス

〈中村審査委員長「調理・プレゼンは甲乙つけがたく、選手の努力に感銘」〉
審査結果の発表はKKR ホテル東京で行われた。会場には全20チームの選手と各社の代表とサポーターが集結し、賑わいを見せている。調理・プレゼン審査を終えた選手は審査結果を気にしながらも、緊張をほどいて応援メンバーと楽しそうに話している。

厳正な審査の結果、治療食部門の厚生労働大臣賞は(株)ニッコクトラストが受賞。医政局長賞は、治療食部門で(株)LEOC、一般食部門で富士産業(株)、行事食部門で(株)ニチダンがそれぞれ受賞した。

審査委員長を務めた全日本病院協会の中村康彦副会長は「厨房での姿、プレゼンの上手さはどれも甲乙つけがたい内容だった。病院の仕事を管理・運営する立場として、なかなか実際に厨房を見る機会が少ない中、皆さんの努力に感銘を受けた。そして、コンプライアンスを遵守して、医療安全・食品安全のために様々なところに注意を払い、きめ細かい心遣いにも感服した」と述べ、「皆さんが作ってくれた病院給食・施設給食が患者様・入所者様の口に入った時に、それが大きな治療になる。素晴らしいものを食べて元気になる。医療の大きな一翼を担う部門であることを確信した」と高く評価した。

審査委員長・全日本病院協会 中村康彦副会長

審査委員長・全日本病院協会 中村康彦副会長

〈川畑室長「治療のための食事でも、美味しく感じさせることが仕事」〉
続いて、厚生労働省の医政局地域医療計画課医療関連サービス室の川畑測久室長は「本日審査した料理の中には、ごはんを大盛りにしている作品もあった。健常者である私には嬉しいことだが、患者様に対してはどうだろうか。審査項目に、“適切な量か"をチェックする項目もあったので、その作品には普通の点数を付けた。次回は量も気を付けて欲しい」と審査で気になった点を述べた。

そして、「病院で管理課長として勤務していた時、患者様からは『病院の食事は美味しくない』という話を聞くこともあった。病院給食・施設給食の食事は治療のための食事であり、それは仕方ないと思う。しかし、具合の悪い方への食事だからこそ、普通の人が食べてもそこまで美味しくない料理をより美味しく感じさせることが皆様のお仕事であり、今日の審査を通して、その努力をつぶさに拝見した。非常に苦労されていることが分かった」と評価した。「今は、政治家の方々含め対外的に、皆様が活動されている内容をPR する仕事をしている。これからもいろいろな機会で皆様のすばらしい取り組みを伝えていくので、引き続き、現場の力で美味しい食事の提供に努力していただきたい」と期待をかけた。

厚生労働省 医政局地域医療計画課医療関連サービス室 川畑測久室長

厚生労働省 医政局 地域医療計画課医療関連サービス室 川畑測久室長

〈山本会長「安全・安心で喜んでもらえる食事の提供にまい進して欲しい」〉
山本裕康協会会長(メーキュー(株)社長)は「昨今の人手不足のなかで、各チーム、現場で何回も練習して、選手を指導する方々もご苦労があったと思う。お疲れさまでした」とねぎらい「病院や施設を利用されている方にとって、食事は指導や生活の大事な役割を担っている。今後とも協会会員はコンテストをはじめ様々な研修を通じて、安全・安心で喜んでもらえる食事の提供にまい進して欲しい」とエールを送った。

日本メディカル給食協会 山本裕康会長

日本メディカル給食協会 山本裕康会長

〈次回は2020年8月21日に北海道・札幌で開催〉
表彰式の開会の辞は、コンテスト実行委員長を務めた落合順副会長((株)グリーンハウス取締役専務)が行い、医療関連サービス振興会の奈良岡和夫常務理事が乾杯した。閉式の辞は、中村勝彦副会長(富士産業(株)社長)が実施した。次回、第14回コンテストは北日本支部が担当する。実行委員長は平井英司副会長((株)日総代表取締役)である。2020年8月21日に北海道・札幌の光塩学園調理製菓専門学校で開催される予定だ。

〈中村審査委員長「患者さんの生活サイクルに合わせることが一番大事」〉
治療食部門のテーマは「脂質異常症」。近年増え続けている動脈硬化性疾患の予防として、食生活を改善するメニューが求められる。

治療食部門を主に審査した中村康彦審査委員長に面白かった調理の工夫について尋ねると、牛乳の代わりに豆乳を使用しエネルギーと脂質を抑えた事例や、パンケーキの中に高野豆腐を使った事例が挙がった。

各チームの献立をみて「どの作品も患者さんの生活サイクルに合わせた献立だった。それが一番大事。決められた栄養の範囲内でユニークな料理が多く、食欲を増す工夫もされていた」と高く評価し、プレゼンについては「我々に問いかけるように話すプレゼンが多く、親近感を感じた」と称賛した。

〈西村東京都栄養士会会長「完調品のアレンジは家庭にも必要」〉
一方、一般食部門の「人材不足を補う省労力メニュー」では、完調品を多用することで時間短縮に努め、かつ創意工夫を施すことで付加価値を付けたメニューが多かった。審査員の西村一弘東京都栄養士会会長は「一手間加えることで、調理済食品が単調なものから特別なものになる。例えば、完調品のパンプキンサラダに卵を加えてボリュームを加えたり、コロッケを一から手作りするのではなく、完調品の肉じゃがを使用することで手間を削減しながら手づくり感を出したメニューもあった。栄養価を高め、見かけも良くする工夫は大事だ。超高齢社会で病院・施設だけでなく、調理能力が低い家庭においても完調品・半完調品をアレンジすることは求められており、大きなヒントになる」と述べた。

行事食部門のテーマは「世界を旅するお弁当」。有料老人ホームで行事食として常食を召し上がる方が、日本に居ながらにして世界を楽しめるお弁当メニューを提案するもの。各チームは外国の料理を日本人でも楽しめるようアレンジするとともに、色彩豊かに演出。見ても食べても楽しいお弁当を作り出していた。

治療食部門で厚生労働大臣賞の栄冠に輝いたニッコクトラストの皆さん

治療食部門で厚生労働大臣賞の栄冠に輝いたニッコクトラストの皆さん

〈給食雑誌「月刊 メニューアイディア」2018年10月号より〉